Thank you for...
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「今後このようなことがないよう」
「今後、このようなことがない、よう」
「気を引き締めて、精進することを誓います」
「気を引き締めて・・・・・その後何て言った?」
「精進することを誓います!」
「・・・・・・・・ちかい、ます。よし!」
場所はエースさんの部屋。
エースさんは机に向かっていて、
私はエースさんの後ろに立っている。
何をしているのかというと、
「書けました?」
「書けた!反省文50枚!」
マルコさんに言われた反省文50枚。
のお手伝い。
さすがの私も50枚分の文章を考えるのはものすごく大変だった。
でも、
「助かった!サンキューアコ!」
なんて極上スマイルを頂いちゃうとその苦労も報われるというもの。
「いえいえ。お疲れ様でした」
「わかってると思うけど、マルコには内緒な?」
「まあバレるとは思いますけどね。でも言わないでおきます」
「アコはほんといい奴だよなァ。マルコにあのことも黙っててくれてるし」
楽しそうなエースさんに、あのことって何だっけ、と一瞬考えてすぐに思い至った。
「・・・・・・・・・・パイナップルのことですか?」
「そうそう。俺が言ってたってバレてたら更に50枚は追加されてたぜ、反省文」
そのものすごーく嫌そうに歪んだ顔からマルコさんの怒ってる顔が想像出来てしまった。
・・・・・・・・・・怖いかも。
「自称空気の読める女です!」
「空気?」
「その場の雰囲気とかを考えて発言するのには慣れてるんです」
慣れない東京で、頑張る為に。
「空気、ねェ」
「・・・・・エースさん?」
いきなり表情が曇ったエースさんに呼びかけてみるけど、返事はない。
何かを考えるように黙り込んでしまったエースさん。
そしてガタ、と音をたててエースさんは立ち上がった。
「俺の前でもそうなのか?」
「え?」
「俺といても空気読んでんのか?」
怒ったようなエースさんの口調に戸惑う。
「え、あ、あんまり考えたことないです、エースさんの前では」
・・・・・・・・・ていうか良く考えてみると。
むしろ全然空気読めてないのでは。
まさかのガス代節約発言しちゃったし。
あれはかなりの失礼だったと思う。
エースさんも人のことなんだと思ってんだ、って言ってたし。
・・・・・・・・笑って、くれてたけど。
そしてエースさんはそんな私の答えにやっぱり、
「そっか。ならいいんだ」
と笑った。
・・・・・・・・・・あれ、
何か今きゅんってなった。
「そういやアコ、出航は明後日だからな」
「出航?」
「ここ出る前に必要なもんは買っとけってよ」
「・・・・・・・・・・・・・・買い物。って私お金持ってないです!!」
「オヤジがくれるっつーから心配すんな。買い物行く時は俺が一緒に行く」
大変なことに気づいた。
私はこの世界のお金を持っていないのだ。
勿論着替えも何もない。
持ってるのは鞄に入れていたハンカチティッシュと財布、携帯くらい。
ちなみに携帯は圏外になっていて、電池も残り少ない。
「で、でも」
「ちなみに悪いから断るってのはナシな。それとお前の部屋、俺の隣に決まった。買った物はそっちに運べよ?」
「えええええ!?部屋あるんですか!?雑魚寝でいいですよ私」
お金ももらって住まわせてもらってる上に部屋まで与えてもらうなんて!
「馬鹿。雑魚寝なんかしてたら5秒で襲われるぞお前」
5秒で・・・・ってそんな馬鹿な。
けれどエースさんが冗談を言ってるようには見えなくて、どぎまぎする。
「ですが私みたいな色気の欠片もない小娘を襲う人なんて居ませんよ。ここにいらっしゃったナースさんのほうが、ねえ?」
「俺が襲う」
「はいいい!?」
エースさんの爆弾発言に心臓が飛び出るかと思った。
「で、いつ行くんだ買い物」
「え、ええと、じゃあこれから、とか。あ、でももう夕方、ですけど」
「んじゃ行くか」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・お願いします」
ここで頑なに断っても申し訳ないし、と仕方なく頷いた。
「お前、今俺に気ィ遣っただろ」
「え、」
「嫌なら嫌って言えよ。わかんねェだろ?」
あ、私もしかして今エースさんを傷つけてしまったのかも。
「嫌じゃないです。ただ、申し訳ないっていうか。だって私ほんとに何も出来なくて」
「弁当くれたし反省文書くの手伝ってくれたじゃねェか」
「・・・・・・・・・・・それだけじゃ足りないです」
「気にすんのもわかるけどよ。ここでくらいやりたいようにやれよ、アコ」
「と、言われましても」
「海賊は自由なんだぜ、アコ」
物凄く嬉しそうなエースさんには申し訳ないけど、
「や、私海賊じゃないので」
「細かいことはいいんだよ。とにかく俺の前でくらいホントのアコを見せろ」
エースさんの強くて真っ直ぐな瞳と真剣な声音に、頷くしかなかった。
「は、い」
「よし。んじゃ行くぞ」
「うあ!はい!よろしくお願いしますっ」
満足そうに笑って手を出してくれたエースさんに、一気に顔が熱くなった。
+自称●●な女 終+