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「よし、帰るぞ。立てるか?」
「え、あ、ハイ」
あっという間に全員倒してしまったエースさんは、何事もなかったかのように私に手を伸ばしてくれた。
私はエースさんの手に捕まって何とか立ち上がる。
「サッチがすげェ心配してたからな」
「サッチさん、が」
「これでわかっただろ?あんま治安良くねェんだぜここは」
「・・・・・・・はい。でも」
「・・・・俺のことも怖くなったか?」
突然真面目な顔になってそう聞いてくるエースさんの眼差しにドキっとした。
「怖くはないんですけど。さっきの、大丈夫だったんですか?」
「さっきの?」
「エースさんの腕から、火が」
私の見間違いではないはずで、
それは手品かそれとも超能力か。
「メラメラの実食ったからな」
あ、新しい単語。
「メラメラ?」
「悪魔の実だ。それぞれに能力があって、食った奴は能力者になるんだ」
「それで、エースさんが食べたのがメラメラの能力、なんですね」
「おう。ちなみにルフィ・・・弟はゴムゴムの実を食った」
「弟さん居るんですか!?・・・・弟さんも、海賊、ですか?」
「全身ゴム人間のルーキーだ。・・・手のかかる弟さ」
その瞬間、ふ、と笑ったエースさんの顔が、
『お兄ちゃん』で。
すごく優しくて。
「すごい兄弟なんですね・・・・」
「つーか怖くねェのか?」
「え、何がですか?」
今の話の要素に怖いとこあったっけ。
「火が出るんだぜ?」
「えーすごいじゃないですか!めっちゃ便利ですよ!ガス要らず!超節約でき・・・・あ、すみません・・・・」
毎日が節約生活の私にはまるで夢のような人なんだけど、さすがに失礼だったかも。
慌てて口を噤んだけど、出た言葉は戻らないわけで。
ちら、とエースさんを見る。
「はははっ!アコお前、人を何だと思ってんだよ・・・・仕方ねェなァ」
「え、」
楽しそうに笑うエースさんの姿。
・・・・・・・・・ああ、やっぱり優しい人だ。
「じゃあ行くぞ」
「あ、でもご迷惑、」
「迷惑だと思ってたら迎えにこねェよ。いいから来い」
「ええええ!?」
力強く腕を捕まれて、私は引っ張られるように(実際引っ張られて)私は船へ戻ってきた。
「サッチー!アコ連れ戻して来たぜ」
さっきの、食堂。
サッチさんは私を見ると、
「アコちゃーん!無事だった!?俺すんごい心配したんだぜ?マルコの馬鹿のことなんか気にすることないんだって」
私の無事を喜んでくれて、それからゆっくりと頭を撫でてくれた。
「サッチ、さん」
「な?だから言っただろ」
エースさんがそう言ってにし、と笑いかけてくれた。
少しだけ肩の力が抜けて、
ああ私はこんなにも緊張してたんだなと今更にわかった。
あ、でも。
マルコさん、は。
「これくらいで逃げ出すような奴はここではやっていけねえよい」
珈琲を啜りながらぽつりとマルコさんが呟いた。
「・・・・・・・・・・・・・え?」
「わかりにくいんだよマルコは。ここに居ていい、ってことなんだぜ、アコ」
「マルコさん・・・・・・・それ本当にわかりにくいです・・・・・!!」
「・・・・・うるせえよい」
ああなんて、
優しい人達。
この優しさはどうしてだろう、
信じることが出来る。
「エースさん、本当に有難う御座いました。探してくれたことも、助けてくれたことも」
「気にすんなって。アコも怖い思いしただろ?」
「怖い思いしたんならもうここには居たくないんじゃねえのかい」
「え?」
マルコさんの言葉の意味がわからなくて首を傾げれば、
「どうせ他の海賊に襲われてたんだろい?ここも海賊船だよい」
真面目な顔のマルコさん。
・・・・・・・これは、心配してくれてるんだろうか。
「あの人達は怖かったですけど、皆さんは怖くないですよ?」
海賊全部が怖いなんて思わない。
東京の人は皆恐ろしい、なんて考えが昔はあったけど今は違うって知ってるから。
本当の親切心で声をかけてくれた人もいたし、今は大学で信用出来る友達も出来た。
東京の人=皆怖い が成り立たないように、
海賊=皆怖い も成り立たないと私は思う。
「というかですね、あの人達私のことまあまあの女って言ったんですよ。失礼ですよね!」
あの時のことを思い出す。
「は?」
「そりゃ私は可愛い部類には入らないですけど、本人目の前に言うことないですよ」
ぽかん、と口を開けたままのマルコさん。
「ぶははは!!」
弾けたように笑い出したサッチさんと、エースさん。
・・・・・・・・・・・・・・・え。
「良かったな、マルコ。怖くないってよ」
しばらく笑った後サッチさんが嬉しそうにそう言って、
「な、いいだろマルコ」
エースさんも同じように笑った。
「拾ったのはお前だからなエース。ちゃんとお前が面倒見ろよい」
マルコさんは深くため息を吐いて、呆れたようにそう言った。
・・・・・・・・・・・エースさんが拾った、ってそれ私のことですか。
「わかってるって。家が見つかる方法、一緒に探してやるよ、アコ。ここで」
「ほんと、ですか」
「ああ。任せとけ」
「・・・・・・・有難う御座います!」
私はここに居てもいい。
その嬉しさに浸っていると、
「それにアコはまあまあじゃねェし。ちゃんと可愛いよな!」
「え」
あ、そっか。
エースさんのこの笑顔が。
・・・・・・・・・・・・信じられるんだ。
+信じる理由 終+