もう1つの家族
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「じゃーねアコ!また月曜日!」
「ん!ばいばーい」
学校が終わって、いつものように
友達と別れる。
そして暗くなる空を見ながら家へと向かう。
今日の夕飯何かなあ、なんて。
すれ違う主婦の荷物を見ながら。
それはいつものコト。
そしていつものように終わる一日。
・・・・・・・・のはずだった。
家に帰る、その瞬間までは。
「ただいまー」
「あ、おかえりー」
靴を脱いで、家に入る。
台所では母が夕飯の支度中だ。
今日のご飯なんだろー。
「アコ帰ったのか。おかえり」
「ん、ただいまお父さん」
食卓では父親がテレビを見ていて。
「お、帰ってきたな!アコ、おかえり!」
「あーただいまー」
そして横には漫画本を読んでる男の子。
「・・・・・・・え?」
男の子?
黒髪でそばかすで上半身裸でハーフパンツで。
うっわいい筋肉してるわァ。
しかもやっぱイケメン!
さすがエース!
今日もカッコイイ!
・・・・・・って、
「エースぅぅぅ!?」
「おう、エースだ!今日からこの家で世話になる。以後よろしく!」
それはそれは大変爽やかな笑顔で、
大変礼儀正しく深くお辞儀したその人は。
『ONE PIECE』
火拳のエース
「あ、どうも、こちらこそよろしく」
慌てて私も頭を下げて、
「っじゃねええ!!!何これ!どういうこと!?」
驚きを隠せず父親に向き直る。
しかし父親はテレビを見て笑っているだけ。
駄目だ!ヤツは大のテレビっ子だ!
「おかーさん!私が居ない間に何があったの!?」
台所に居る母親に声をかける。
母親は美味しそうな炒め物を手に食卓へやって来た。
「それがね、昼過ぎにお風呂場にいたのよ」
いたのよ。
てアンタ。
「この子エース君でしょ?あんた好きだもんね」
「確かに好きだけど!」
大好きだけど!
「事情聞いたら知らないうちにここに居るし、
帰り方もわからないっていうじゃない」
うん、まあ逆トリップの定番だよね!
「だからしばらくうちに居てもらうことにしたから」
母親の説明を聞いてもパニック。
ちら、と横に居るエースを盗み見る。
私の視線に気づいたエースは、にこっと笑いかける。
くそう、人の気も知らないで。
「人形より本物のほうがいいだろ?」
「え」
嬉しそうに微笑むエースの言葉の意味が、
わかった瞬間。
「おかーさぁぁぁんんん!!!!見せたの!?」
「あら、見ちゃったのよ。いいじゃない」
顔が一気に熱くなった。
そう、私の机の上には。
『ONE PIECE』のエースを始め、
他の方々のフィギュアが置いてあるのだ。
中でもエースのフィギュアの数は多い。
いやでもまさか本人来るとか予想出来る訳ないじゃんね!
「お、お父さんはいいの?」
「おー俺は構わんぞ。まあ仲良くやれ」
な
ん
だ
こ
の
夫婦!!!
「お、ウマそうだなこれ!食っていいのか?」
「いっぱい食べてねーエース君」
「酒も飲むか?エース君」
「いただきます!」
馴染みすぎだろ!
「アコ」
不意にエースに名前を呼ばれた。
嬉しい筈の状況なんだけども、
いかんせんまだ頭がついていけない。
しかもエースは肉にかぶりついたまま。
「・・・何?」
「夜は一緒にゲームしようぜ!」
にしし、と笑うエースに私は、
「・・・・うん」
とだけしか答えられなかった。
+ようこそ我が家 終 +
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