3千万ベリーの恋
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私は起こされなければ何時間でも寝れる。
とはいえ、ここに来てから私は遅くまで寝ていることはなかった。
不安や緊張もあったんだと思う。
昨日までは。
『任せろ』
シャンクスのその言葉に泣いた昨日。
たまっていたものを吐き出すように泣けたからか、それともその言葉に安心した所為かもしれない。
とにかく今日私は、目が覚めたらお昼という事態に陥った。
「ああ・・・・やっちまったよう」
居候になってる身で昼間で寝てるとか。
私は仕方なく遅めの朝御飯もといお昼ごはんをとるため食堂へ向かった。
「おやアコちゃん、今朝は美味しそうに食べてくれる姿が見れなくて寂しかったよ」
なんて言ってくれるコックさんから魚介のパスタをもらって、椅子に座った。
「んーウマー!」
さすが海賊、海鮮モノにハズレがない。
「よく寝れたようだな」
ふと隣に座ってきたのはベンさんだった。
「はい、久し振りに爆睡・・・って私がこの時間まで寝てたことが何故バレてるんですかね」
「アコの寝顔を見に行く、と言って聞かないのがいたんだ」
「え、そんな奇特な方がこの船に?」
ていうか気持ち悪い、そんな人いるのか。
そう思っていたらベンさんが苦笑い。
「お頭だ」
「お頭て。まさかのシャンクスですか」
「まさかのソレだ、残念ながらな」
「すみませんでした」
私は即座に謝罪した。
この船の頭で私の恩人である人を奇特呼ばわりしてしまった。
「いや、謝るのはこちらだ。すまんな。・・・ところであらかたの話は聞いたが」
「ちなみにどう思われました?」
「出来るだけのことはさせてもらうつもりだ」
「・・・・やっぱり信じてくれるんですね」
「グランドラインだしな」
グランドラインすげえな!
何でもアリですか!
「・・・・だがアコ」
「はい?」
「1つだけ忠告しておく。あまりウチとは深く関わらないほうがいい」
ベンさんの目は細められ、鋭くなった。
私はその言葉の意味がわからなくて、首を傾げる。
「帰れることになった時傷つくのはお前だ」
優しい人だ、と思った。
「俺達と関わればそれだけ悔いが残ることもあるだろう」
厳しく見つめてくるベンさんを見返して、私はへら、と笑った。
「有難う御座いますベンさん。でも手遅れですよ」
「手遅れ?」
「だって私ベンさんのこと大好きですもん。あ、この船の皆大好きですけどね」
ベンさんは目を丸くした。
「それにせっかく会えたのに関わらないで帰るほうが悔い残りますって。でもって人と関わる以上傷つくのは承知の上でっす」
言い終わってから私は残っていたパスタを頬張った。
ベンさんはあっという間に食べ終わっていて、食後の一服をするとこだった。
煙草を手に持ちながらベンさんは面白いものを見ているかのように笑う。
「そうか・・・余計なお世話だったか、すまん」
「いえ、美味しいです!・・・じゃなかったあ嬉しいです!げふん!」
言い間違えた!
そして今度こそベンさんは声に出して笑った。
それから煙草に火をつけ、口に銜えようとして、ベンさんは何かに気づいたような顔をした。
「・・・言うのが遅れたが、大丈夫か?」
くい、と煙草を持つ手をあげた。
やっぱ優しい人だなあ。
「有難う御座います、私は吸わないけど大丈夫ですよー」
私が答えると、ベンさんはじゃあ遠慮なく、と言って嬉しそうに吸い始めた。
+優しい人 終+