何度でも、君と
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「無理だ」
「・・・・・・・・仕事しろ」
はあ、と目の前であからさまにため息を吐く男、ベンベックマンには血も涙もないのかと問いたい。
「・・・・・・・この状況で普通仕事出来ると思うか?」
「某パテシエのケーキ引換券に映画のチケットを手に入れて、コネ使いまくってシフトまで把握した」
その通りだ。
「仕事にかこつけて会う機会を増やしてまで口説いてたにも関わらず無理やりキスしてフられてんじゃ世話ねえな」
「まだフられた訳じゃねえ」
「じゃあ何でそこまで凹んでんだ」
「・・・・・・・・アコを傷つけた」
実際あれから電話しても出てくれない。
もう傷つけない、と誓ったのに。
俺はまた彼女を傷つけた。
「いっそもう襲って完全にフられて来い」
「・・・・・・・・・ベン」
昔からの付き合いとはいえこれは酷すぎるだろうと思えば、秘書がやって来てベンに何かを耳打ちした。
「わかった。通してくれ」
「・・・・・・客か?会う気はないぞ」
「帰しちまっていいのか?」
「誰とも会う気はない」
今はそんな気分じゃないと断った、のだが、
「そうか。ならアコには悪いが帰ってもらうか」
あり得ないはずの名前がベンの口から出た。
「待て。お前今何て言った?」
「誰であろうと会う気はないんだろ?」
「・・・・・・・・・アコが来てるのか?今?ここに?」
そんな馬鹿な、と思いながら問い質せば、
「来てる」
平然と答えが返って来た。
「・・・・・・・会うに決まってるだろう」
例えアコがどんな理由で来たのであれ、許してくれないにしても謝るチャンスだ。
何より顔が見たい。
「お連れしました」
秘書に連れられて来たアコは、怒ってる、というより困惑してるような顔だった。
知らない番号から着信があった。
気まぐれに出てみれば、
「株式会社レッドフォースのベンベックマン」
さんだという。
・・・・・・・・・・先輩の会社の人。
用件を聞けば、先輩が仕事をしてくれないとか。
それと私に何か関係がありますか、と聞けば、
私に申し訳ないことをしたと反省してるんだそうだ。
だから会ってやって欲しいと。
車をうちに向かわせてる、と。
ただそれだけ私に伝えて一方的に電話を切ったベンベックマンさん。
・・・・・・・車が来たって乗るつもりなんかなかった。
なのに、
私の足は自然と車に乗り込んでいた。
先輩から何回電話が来たって無視してたのに。
美人な秘書さんに案内されて着いた社長室。
・・・・・・・・・・来ちゃったけど。
どうすればいいの?
何て言えばいいの?
この状況にまだ頭が追いつけないでいる。
「・・・・アコ」
不意に呼ばれた名前に、
「あ、はい」
思わず返事。
「すまなかった」
「・・・・・・それは何に対して、ですか」
「アコの話を聞かずに傷つけた」
「そこまでわかってんならもういいです。それより仕事して下さい」
「電話、」
「これからは出ます」
・・・・・・・・・・電話に出たら泣いてしまいそうだと、出ることはなかったけど。
いざ会ってみれば泣くことはなくて。
「・・・・・・・だから、仕事して下さい。私仕事してる時の先輩の顔、好きです、から」
「アコ・・・」
「こないだの紅茶、発売されるの楽しみにしてますから。・・・されたら、クッキー、焼いて持ってきます、から」
『この紅茶と一緒に食べるなら何がいいと思う?』
『えーと・・・・私ならクッキー、ですかね』
そんな会話を思い出しながら伝えれば、先輩は嬉しそうに笑った。
そして、
「好きだ、アコ。やっぱり俺にはお前しかいない」
真っ直ぐな目に、
真っ直ぐな言葉に、
きゅう、っと胸がしめつけられた。
+仕事をしろ、と 終+
「・・・・・・・・仕事しろ」
はあ、と目の前であからさまにため息を吐く男、ベンベックマンには血も涙もないのかと問いたい。
「・・・・・・・この状況で普通仕事出来ると思うか?」
「某パテシエのケーキ引換券に映画のチケットを手に入れて、コネ使いまくってシフトまで把握した」
その通りだ。
「仕事にかこつけて会う機会を増やしてまで口説いてたにも関わらず無理やりキスしてフられてんじゃ世話ねえな」
「まだフられた訳じゃねえ」
「じゃあ何でそこまで凹んでんだ」
「・・・・・・・・アコを傷つけた」
実際あれから電話しても出てくれない。
もう傷つけない、と誓ったのに。
俺はまた彼女を傷つけた。
「いっそもう襲って完全にフられて来い」
「・・・・・・・・・ベン」
昔からの付き合いとはいえこれは酷すぎるだろうと思えば、秘書がやって来てベンに何かを耳打ちした。
「わかった。通してくれ」
「・・・・・・客か?会う気はないぞ」
「帰しちまっていいのか?」
「誰とも会う気はない」
今はそんな気分じゃないと断った、のだが、
「そうか。ならアコには悪いが帰ってもらうか」
あり得ないはずの名前がベンの口から出た。
「待て。お前今何て言った?」
「誰であろうと会う気はないんだろ?」
「・・・・・・・・・アコが来てるのか?今?ここに?」
そんな馬鹿な、と思いながら問い質せば、
「来てる」
平然と答えが返って来た。
「・・・・・・・会うに決まってるだろう」
例えアコがどんな理由で来たのであれ、許してくれないにしても謝るチャンスだ。
何より顔が見たい。
「お連れしました」
秘書に連れられて来たアコは、怒ってる、というより困惑してるような顔だった。
知らない番号から着信があった。
気まぐれに出てみれば、
「株式会社レッドフォースのベンベックマン」
さんだという。
・・・・・・・・・・先輩の会社の人。
用件を聞けば、先輩が仕事をしてくれないとか。
それと私に何か関係がありますか、と聞けば、
私に申し訳ないことをしたと反省してるんだそうだ。
だから会ってやって欲しいと。
車をうちに向かわせてる、と。
ただそれだけ私に伝えて一方的に電話を切ったベンベックマンさん。
・・・・・・・車が来たって乗るつもりなんかなかった。
なのに、
私の足は自然と車に乗り込んでいた。
先輩から何回電話が来たって無視してたのに。
美人な秘書さんに案内されて着いた社長室。
・・・・・・・・・・来ちゃったけど。
どうすればいいの?
何て言えばいいの?
この状況にまだ頭が追いつけないでいる。
「・・・・アコ」
不意に呼ばれた名前に、
「あ、はい」
思わず返事。
「すまなかった」
「・・・・・・それは何に対して、ですか」
「アコの話を聞かずに傷つけた」
「そこまでわかってんならもういいです。それより仕事して下さい」
「電話、」
「これからは出ます」
・・・・・・・・・・電話に出たら泣いてしまいそうだと、出ることはなかったけど。
いざ会ってみれば泣くことはなくて。
「・・・・・・・だから、仕事して下さい。私仕事してる時の先輩の顔、好きです、から」
「アコ・・・」
「こないだの紅茶、発売されるの楽しみにしてますから。・・・されたら、クッキー、焼いて持ってきます、から」
『この紅茶と一緒に食べるなら何がいいと思う?』
『えーと・・・・私ならクッキー、ですかね』
そんな会話を思い出しながら伝えれば、先輩は嬉しそうに笑った。
そして、
「好きだ、アコ。やっぱり俺にはお前しかいない」
真っ直ぐな目に、
真っ直ぐな言葉に、
きゅう、っと胸がしめつけられた。
+仕事をしろ、と 終+