何度でも、君と
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18年ぶりの、再会。
ようやく会えたアコに声をかければ、逃げられた。
逃げていく後ろ姿を見つめて、変わらないな、と思う。
数年前に手に入れたアコの卒業アルバム。
俺の知らない、3年の時のアコを知りたくて手に入れた物だったが、持っていて良かった。
こういうものには連絡先が載っている。
手に入れた情報によると1人暮らしだそうだが、実家に電話すれば携帯の番号くらいわかるだろう。
案の定電話をしてみれば、アコの母親は何の疑いもなくアコの携帯番号を教えてくれた。
知らない電話番号にアコが出るかは賭けだ。
しかし運良くか、アコは電話に出た。
『2人きりで会いたいんだ』
そう言えば頑なに拒否するアコに、いっそ攫って閉じ込めてしまおうかと思った。
それを堪えて、今の仕事だけ聞いて通話を切った。
そしてすぐに調べさせた。
わかったことはアコの住んでいる場所と勤めている家庭教師の会社、そして偶然にもルフィの担当をしているということだった。
『じゃあアコはこれから来るんだな?』
『ああ、いつもこの時間に来るんだ!』
『助かったよルフィ。それと、このことは内緒だからな』
『わかった!』
ルフィのわかった、はあまり当てにはならないが内心ほくそ笑む。
少なくともすぐには話したりしないだろうから、早めに行って待ち伏せが出来る。
予想通りアコがルフィの家に入っていくのを見届けて数分後、授業を終えるにはまだ早い時間にアコは出てきた。
そして、
『げ』
あからさまに嫌そうな顔に、高校の頃を思い出す。
・・・・・・・大人になって、『可愛い』から『綺麗』になった彼女だが、
こういうところは変わっていないんだな、と改めて実感する。
それでも逃げようとする彼女に、紙を手渡した。
ここで逃げられる訳にはいかないんだ。
半ば無理やり受け取らせて、
待ってるとだけ伝えて指定したホテルへ向かった。
ルフィから自分のところが最後だと聞いていたから、1度家に戻ってから来るだろうと信じて。
ホテルに着いて数時間後、緊張した表情のアコが入ってきたのが見えた。
「アコ、来てくれたのか」
「そりゃあんな風に言われたら来ます、けど」
何処か拗ねたようなアコの姿は、先ほどとは違い、ドレスアップされた姿。
化粧も少しはっきりしたようだ。
・・・・・・・・・やっぱり、ここのホテルを指定して良かった。
「けど?」
「こんな高級ホテル指定されたらどんな格好で来ていいかわかんないじゃないですか・・・」
アコならそうするだろうと思ったからだ。
「どんな格好でもいいさ。アコが来てくれるなら」
「・・・・・でも、遅くなってすみませんでした」
「いや、来てくれただけで十分だ。丁度飯時だし、レストランでも入らないか?」
「あ、ハイ、そうです・・・・・・・ね・・・・」
このホテルを選んだもう1つの理由が、このレストランにあった。
「アコ?どうした?」
「・・・・・・・・・・・・・すみません私お金そんなに持ってきてないんですが」
「心配するな。無理言って来て貰ったからな、俺が出させてもらう」
「や、でも」
本当ならアコの行きたい店でもいい、と言いたいところだが。
「ここのコース料理の最後に出てくるザッハトルテが美味いと評判らしいんだが」
甘い物に目がない、特にチョコが好きであろう彼女に食べさせたいものがあった。
「アコはチョコレートが大好きだっただろう?」
「・・・・・・・・っ!!食べたい、です」
「よし、入ろう」
アコは少しの間悩んだ様子を見せた後、真剣な顔でそう言った。
ここの料理がアコには手が出せない金額であることも知っていた。
だからこそ、ここで俺が払えば今日1回会って終わり、とは出来なくなるだろうと思ったからだ。
アコの性格からして少しは出す、とか言うんだろうが。
それでも気にするだろうな。
「おいっしい!!」
それから運ばれてきた料理を幸せそうに頬張るアコがただ可愛かった。
会社のことを話せばアコは驚いて、こんなことをしてていいのか、と聞く。
問題ないと答えれば、
「・・・・・・・・・相変わらずですね、先輩」
苦笑を浮かべるアコは、何を考えているのか。
「アコは少し変わったな」
「え、そうですか?」
「綺麗になった」
「そりゃ大人になりましたから」
「見たところ指輪はしてないな?結婚はしてないのか?」
「あらやだ、年頃の女性にそういうこと聞くと嫌われますよ、先輩」
「どうなんだ?」
指輪をしていないだけでは、結婚してないとは言い切れない。
それだけはどうしても聞いておかなければいけなかった。
「・・・・・・・・・・・・・してませんけど」
「じゃあ付き合ってる男は居るのか?」
「居ません」
アコの答えにほっと安堵するも、
「好きな奴は?」
「・・・・・・・・・・内緒です」
この答えに、相手が誰だかもわからないのにふっと湧く殺意。
「・・・・・・・・ほう?」
思わず出た低い声音に、
「先輩怖いです」
アコらしい言葉。
思わず笑みが零れた。
さっきまであった渦巻く黒い物は何処かへと消えて行く。
「アコのそういうところは本当に変わってねえんだなァ」
「そういうとこ?」
「普通本人に面と向かって言わないだろう?そんなこと」
機嫌をとるように笑ってみたり、
会話を変えてみたりするのが普通だ。
「・・・・・・・ひょっとして、お嫌でしたか?」
ああ、俺は本当に彼女が愛おしいと思い知らされる。
「いや、そういうところも好きだ」
「そう、ですか」
「そういえば、まだ話してなかったな」
「え?」
「俺がアコの卒業アルバムを持っていた理由」
以前知りたがっていたな、と思えば、
「お待たせ致しました、デザートのザッハトルテで御座います」
アコは運ばれてきたケーキに目を輝かせた。
「頂きますっ」
目の前に俺が居ることさえ忘れているように、目の前のケーキを口に入れる姿。
「・・・・・・・・・・ふっわふわ!スポンジふわふわ!や、むしろふあふあですよこれっ」
本当に美味そうに食うよな、こいつは。
「チョコ濃厚ー!甘いっ幸せー!」
だがそろそろ声をかけるか、と思っていたところへ、
「先輩も食べてみて下さいよっすっごく美味しいですよーこれ!」
親しげに話しかけられ、あの頃を思い出す。
・・・・また、こんな風に笑いかけてくれるなんてな。
「その顔が見たかったんだ」
「はい?」
「俺がここに連れてきた理由と、卒業アルバムを手に入れた理由」
「と、おっしゃいますと」
「俺はまだ諦めてない。もう1度、俺と付き合ってくれないか、アコ」
その為なら俺は、
きっと何でもするだろう。
+その為なら 終+
ようやく会えたアコに声をかければ、逃げられた。
逃げていく後ろ姿を見つめて、変わらないな、と思う。
数年前に手に入れたアコの卒業アルバム。
俺の知らない、3年の時のアコを知りたくて手に入れた物だったが、持っていて良かった。
こういうものには連絡先が載っている。
手に入れた情報によると1人暮らしだそうだが、実家に電話すれば携帯の番号くらいわかるだろう。
案の定電話をしてみれば、アコの母親は何の疑いもなくアコの携帯番号を教えてくれた。
知らない電話番号にアコが出るかは賭けだ。
しかし運良くか、アコは電話に出た。
『2人きりで会いたいんだ』
そう言えば頑なに拒否するアコに、いっそ攫って閉じ込めてしまおうかと思った。
それを堪えて、今の仕事だけ聞いて通話を切った。
そしてすぐに調べさせた。
わかったことはアコの住んでいる場所と勤めている家庭教師の会社、そして偶然にもルフィの担当をしているということだった。
『じゃあアコはこれから来るんだな?』
『ああ、いつもこの時間に来るんだ!』
『助かったよルフィ。それと、このことは内緒だからな』
『わかった!』
ルフィのわかった、はあまり当てにはならないが内心ほくそ笑む。
少なくともすぐには話したりしないだろうから、早めに行って待ち伏せが出来る。
予想通りアコがルフィの家に入っていくのを見届けて数分後、授業を終えるにはまだ早い時間にアコは出てきた。
そして、
『げ』
あからさまに嫌そうな顔に、高校の頃を思い出す。
・・・・・・・大人になって、『可愛い』から『綺麗』になった彼女だが、
こういうところは変わっていないんだな、と改めて実感する。
それでも逃げようとする彼女に、紙を手渡した。
ここで逃げられる訳にはいかないんだ。
半ば無理やり受け取らせて、
待ってるとだけ伝えて指定したホテルへ向かった。
ルフィから自分のところが最後だと聞いていたから、1度家に戻ってから来るだろうと信じて。
ホテルに着いて数時間後、緊張した表情のアコが入ってきたのが見えた。
「アコ、来てくれたのか」
「そりゃあんな風に言われたら来ます、けど」
何処か拗ねたようなアコの姿は、先ほどとは違い、ドレスアップされた姿。
化粧も少しはっきりしたようだ。
・・・・・・・・・やっぱり、ここのホテルを指定して良かった。
「けど?」
「こんな高級ホテル指定されたらどんな格好で来ていいかわかんないじゃないですか・・・」
アコならそうするだろうと思ったからだ。
「どんな格好でもいいさ。アコが来てくれるなら」
「・・・・・でも、遅くなってすみませんでした」
「いや、来てくれただけで十分だ。丁度飯時だし、レストランでも入らないか?」
「あ、ハイ、そうです・・・・・・・ね・・・・」
このホテルを選んだもう1つの理由が、このレストランにあった。
「アコ?どうした?」
「・・・・・・・・・・・・・すみません私お金そんなに持ってきてないんですが」
「心配するな。無理言って来て貰ったからな、俺が出させてもらう」
「や、でも」
本当ならアコの行きたい店でもいい、と言いたいところだが。
「ここのコース料理の最後に出てくるザッハトルテが美味いと評判らしいんだが」
甘い物に目がない、特にチョコが好きであろう彼女に食べさせたいものがあった。
「アコはチョコレートが大好きだっただろう?」
「・・・・・・・・っ!!食べたい、です」
「よし、入ろう」
アコは少しの間悩んだ様子を見せた後、真剣な顔でそう言った。
ここの料理がアコには手が出せない金額であることも知っていた。
だからこそ、ここで俺が払えば今日1回会って終わり、とは出来なくなるだろうと思ったからだ。
アコの性格からして少しは出す、とか言うんだろうが。
それでも気にするだろうな。
「おいっしい!!」
それから運ばれてきた料理を幸せそうに頬張るアコがただ可愛かった。
会社のことを話せばアコは驚いて、こんなことをしてていいのか、と聞く。
問題ないと答えれば、
「・・・・・・・・・相変わらずですね、先輩」
苦笑を浮かべるアコは、何を考えているのか。
「アコは少し変わったな」
「え、そうですか?」
「綺麗になった」
「そりゃ大人になりましたから」
「見たところ指輪はしてないな?結婚はしてないのか?」
「あらやだ、年頃の女性にそういうこと聞くと嫌われますよ、先輩」
「どうなんだ?」
指輪をしていないだけでは、結婚してないとは言い切れない。
それだけはどうしても聞いておかなければいけなかった。
「・・・・・・・・・・・・・してませんけど」
「じゃあ付き合ってる男は居るのか?」
「居ません」
アコの答えにほっと安堵するも、
「好きな奴は?」
「・・・・・・・・・・内緒です」
この答えに、相手が誰だかもわからないのにふっと湧く殺意。
「・・・・・・・・ほう?」
思わず出た低い声音に、
「先輩怖いです」
アコらしい言葉。
思わず笑みが零れた。
さっきまであった渦巻く黒い物は何処かへと消えて行く。
「アコのそういうところは本当に変わってねえんだなァ」
「そういうとこ?」
「普通本人に面と向かって言わないだろう?そんなこと」
機嫌をとるように笑ってみたり、
会話を変えてみたりするのが普通だ。
「・・・・・・・ひょっとして、お嫌でしたか?」
ああ、俺は本当に彼女が愛おしいと思い知らされる。
「いや、そういうところも好きだ」
「そう、ですか」
「そういえば、まだ話してなかったな」
「え?」
「俺がアコの卒業アルバムを持っていた理由」
以前知りたがっていたな、と思えば、
「お待たせ致しました、デザートのザッハトルテで御座います」
アコは運ばれてきたケーキに目を輝かせた。
「頂きますっ」
目の前に俺が居ることさえ忘れているように、目の前のケーキを口に入れる姿。
「・・・・・・・・・・ふっわふわ!スポンジふわふわ!や、むしろふあふあですよこれっ」
本当に美味そうに食うよな、こいつは。
「チョコ濃厚ー!甘いっ幸せー!」
だがそろそろ声をかけるか、と思っていたところへ、
「先輩も食べてみて下さいよっすっごく美味しいですよーこれ!」
親しげに話しかけられ、あの頃を思い出す。
・・・・また、こんな風に笑いかけてくれるなんてな。
「その顔が見たかったんだ」
「はい?」
「俺がここに連れてきた理由と、卒業アルバムを手に入れた理由」
「と、おっしゃいますと」
「俺はまだ諦めてない。もう1度、俺と付き合ってくれないか、アコ」
その為なら俺は、
きっと何でもするだろう。
+その為なら 終+