何度でも、君と
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「おいっしい!!」
こんな美味しいものがこの世に存在したのか。
そう感動するほどに運ばれてくる料理はどれも美味しいものばかりだ。
・・・・・・・でも気になるのは。
ちら、と目の前で完璧な食事マナーをこなして料理を食べているシャンクス先輩だ。
こんな高級ホテルに呼びつけることが出来て、なおかつレストランに平然と入れる、ということ。
いったいどんな仕事してるんだろ。
先輩はただにこにこと嬉しそうに私を見ている。
「・・・・・・・・・先輩は今どんな仕事されてるんですか?」
「ああ、結構前に会社を立ち上げたんだ」
会社を立ち上げた・・・・・って、
「・・・・・・・社長さんってことですか?」
「まあ、そんなとこだな。名刺いるか?」
「あ、どうも」
すい、と自然な動作で差し出された名刺。
つい癖で受け取ってしまって、名前を見て危うく落としそうになった。
「・・・・・・・・・・・株式会社レッドフォース?」
「聞いたことあるか?」
聞いたことある、なんてもんじゃない。
・・・・・・・・・・・・めっちゃ有名じゃん。
数年前からテレビや雑誌で何度か取り上げられたのを見たこともある。
「・・・・・先輩ならいつか何かやるとは思ってましたけど」
「たいしたことはしてねえんだ。仲間達が優秀なだけだからな」
「ていうか社長がこんなとこでこんなことしてていいんですか?」
社長ってのはさぞかし忙しいものではないのかと。
思いきや、
「言っただろう?仲間が優秀だから、問題ない。何かあれば連絡くらい来るだろう」
「・・・・・・・・・相変わらずですね、先輩」
やることが大胆、というか。
たくさんの人に囲まれて、引っ張っていけてるとこも。
仲間を大切にするとこも。
「アコは少し変わったな」
「え、そうですか?」
「綺麗になった」
どくん、と心臓が大きく跳ねた。
「そりゃ大人になりましたから」
平静を装って、私は笑う。
こんなの社交辞令だもの。
「見たところ指輪はしてないな?結婚はしてないのか?」
・・・・・・・・・聞かれたくないことをずばっと聞く、ところも。
変わってない。
私はあえて微笑んで、
「あらやだ、年頃の女性にそういうこと聞くと嫌われますよ、先輩」
「どうなんだ?」
「・・・・・・・・・・・・・してませんけど」
大人らしくかわそうとしたけど、駄目だった。
じ、っと見つめるその姿は、まるで獲物を見つけた獣のようだ。
「じゃあ付き合ってる男は居るのか?」
「居ません」
「好きな奴は?」
「・・・・・・・・・・内緒です」
そこまで言ってたまるか、とそう答えれば先輩の顔が一瞬真顔になった。
「・・・・・・・・ほう?」
そして、悪い顔で笑った。
怖い、と思った。
こんな顔、私は知らない。
「先輩怖いです」
ズバリ言ってしまえば、先輩は今度は驚いた顔をして、それからすぐに嬉しそうに笑った。
「アコのそういうところは本当に変わってねえんだなァ」
「そういうとこ?」
「普通本人に面と向かって言わないだろう?そんなこと」
と、言われても。
そりゃ見知らぬ人には言わないだろうけど。
知り合いなら普通に言ったりするもんじゃないだろうか、と思う。
「・・・・・・・ひょっとして、お嫌でしたか?」
相手が誰であろうと不愉快にさせたのであれば謝らなければ、と思った。
けれど、
「いや、そういうところも好きだ」
・・・・・・・・・・・・そう言って優しく笑う先輩に、もやもやしながらも、
「そう、ですか」
短くそれだけ返事した。
「そういえば、まだ話してなかったな」
「え?」
「俺がアコの卒業アルバムを持っていた理由」
言われてみれば、私と会った時に理由を話す、ということになってたっけ。
「お待たせ致しました、デザートのザッハトルテで御座います」
とそこへ、念願のデザートが到着。
きらびやかな金色の紙の上に乗せられたザッハトルテ生クリーム添え。
なんって美味しそう・・・・!!
「頂きますっ」
見た目からして美味しそうなケーキに感動しつつ、フォークで一口ぶんに切ったものを口にそっと運んだ。
「・・・・・・・・・・ふっわふわ!スポンジふわふわ!や、むしろふあふあですよこれっ」
口に入れた瞬間の食感に感動。
そして、
「チョコ濃厚ー!甘いっ幸せー!」
私はそれまで何を話していたのかも、状況すら忘れて、
「先輩も食べてみて下さいよっすっごく美味しいですよーこれ!」
先輩に話しかけていた。
先輩はただ微笑ましそうに私を見つめていて、そんな視線とぶつかって私は我に返った。
「その顔が見たかったんだ」
「はい?」
「俺がここに連れてきた理由と、卒業アルバムを手に入れた理由」
「と、おっしゃいますと」
そういえばさっきまでそんな話してたっけ、と次のケーキを口に入れた。
「俺はまだ諦めてない。もう1度、俺と付き合ってくれないか、アコ」
2口めのケーキが、さっきより苦く感じた。
+ザッハトルテ 終+
こんな美味しいものがこの世に存在したのか。
そう感動するほどに運ばれてくる料理はどれも美味しいものばかりだ。
・・・・・・・でも気になるのは。
ちら、と目の前で完璧な食事マナーをこなして料理を食べているシャンクス先輩だ。
こんな高級ホテルに呼びつけることが出来て、なおかつレストランに平然と入れる、ということ。
いったいどんな仕事してるんだろ。
先輩はただにこにこと嬉しそうに私を見ている。
「・・・・・・・・・先輩は今どんな仕事されてるんですか?」
「ああ、結構前に会社を立ち上げたんだ」
会社を立ち上げた・・・・・って、
「・・・・・・・社長さんってことですか?」
「まあ、そんなとこだな。名刺いるか?」
「あ、どうも」
すい、と自然な動作で差し出された名刺。
つい癖で受け取ってしまって、名前を見て危うく落としそうになった。
「・・・・・・・・・・・株式会社レッドフォース?」
「聞いたことあるか?」
聞いたことある、なんてもんじゃない。
・・・・・・・・・・・・めっちゃ有名じゃん。
数年前からテレビや雑誌で何度か取り上げられたのを見たこともある。
「・・・・・先輩ならいつか何かやるとは思ってましたけど」
「たいしたことはしてねえんだ。仲間達が優秀なだけだからな」
「ていうか社長がこんなとこでこんなことしてていいんですか?」
社長ってのはさぞかし忙しいものではないのかと。
思いきや、
「言っただろう?仲間が優秀だから、問題ない。何かあれば連絡くらい来るだろう」
「・・・・・・・・・相変わらずですね、先輩」
やることが大胆、というか。
たくさんの人に囲まれて、引っ張っていけてるとこも。
仲間を大切にするとこも。
「アコは少し変わったな」
「え、そうですか?」
「綺麗になった」
どくん、と心臓が大きく跳ねた。
「そりゃ大人になりましたから」
平静を装って、私は笑う。
こんなの社交辞令だもの。
「見たところ指輪はしてないな?結婚はしてないのか?」
・・・・・・・・・聞かれたくないことをずばっと聞く、ところも。
変わってない。
私はあえて微笑んで、
「あらやだ、年頃の女性にそういうこと聞くと嫌われますよ、先輩」
「どうなんだ?」
「・・・・・・・・・・・・・してませんけど」
大人らしくかわそうとしたけど、駄目だった。
じ、っと見つめるその姿は、まるで獲物を見つけた獣のようだ。
「じゃあ付き合ってる男は居るのか?」
「居ません」
「好きな奴は?」
「・・・・・・・・・・内緒です」
そこまで言ってたまるか、とそう答えれば先輩の顔が一瞬真顔になった。
「・・・・・・・・ほう?」
そして、悪い顔で笑った。
怖い、と思った。
こんな顔、私は知らない。
「先輩怖いです」
ズバリ言ってしまえば、先輩は今度は驚いた顔をして、それからすぐに嬉しそうに笑った。
「アコのそういうところは本当に変わってねえんだなァ」
「そういうとこ?」
「普通本人に面と向かって言わないだろう?そんなこと」
と、言われても。
そりゃ見知らぬ人には言わないだろうけど。
知り合いなら普通に言ったりするもんじゃないだろうか、と思う。
「・・・・・・・ひょっとして、お嫌でしたか?」
相手が誰であろうと不愉快にさせたのであれば謝らなければ、と思った。
けれど、
「いや、そういうところも好きだ」
・・・・・・・・・・・・そう言って優しく笑う先輩に、もやもやしながらも、
「そう、ですか」
短くそれだけ返事した。
「そういえば、まだ話してなかったな」
「え?」
「俺がアコの卒業アルバムを持っていた理由」
言われてみれば、私と会った時に理由を話す、ということになってたっけ。
「お待たせ致しました、デザートのザッハトルテで御座います」
とそこへ、念願のデザートが到着。
きらびやかな金色の紙の上に乗せられたザッハトルテ生クリーム添え。
なんって美味しそう・・・・!!
「頂きますっ」
見た目からして美味しそうなケーキに感動しつつ、フォークで一口ぶんに切ったものを口にそっと運んだ。
「・・・・・・・・・・ふっわふわ!スポンジふわふわ!や、むしろふあふあですよこれっ」
口に入れた瞬間の食感に感動。
そして、
「チョコ濃厚ー!甘いっ幸せー!」
私はそれまで何を話していたのかも、状況すら忘れて、
「先輩も食べてみて下さいよっすっごく美味しいですよーこれ!」
先輩に話しかけていた。
先輩はただ微笑ましそうに私を見つめていて、そんな視線とぶつかって私は我に返った。
「その顔が見たかったんだ」
「はい?」
「俺がここに連れてきた理由と、卒業アルバムを手に入れた理由」
「と、おっしゃいますと」
そういえばさっきまでそんな話してたっけ、と次のケーキを口に入れた。
「俺はまだ諦めてない。もう1度、俺と付き合ってくれないか、アコ」
2口めのケーキが、さっきより苦く感じた。
+ザッハトルテ 終+