3千万ベリーの恋
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『気に入った』
衝撃の事実と、その言葉を言われてから数日が経過した。
あれから戦闘もなく、割と平穏だ。
シャンクスも今までと変わらず何かと気にかけてくれる、
でも何も聞かない。
だから私は何も言えない。
・・・・というか、完全に言うタイミング逃した。
ていうか、
異世界から来ました★
貴方のこと知ってます★
なんて言ったところで信じてくれるもんなのか。
いや、でもシャンクスは本当のことを話してくれた訳だし。
シャンクスにとっては3千万ベリーで買われたと思わせておいた方が何かと都合が良かっただろうに。
だから私も言うべきだ。
・・・・とは思うんだけど。
「アコは掃除が好きだなー」
苦笑いしながらシャンクスがやって来た。
「・・・・断じてそんなことは御座いません」
イエス、私は今掃除中。
「することもないですし、何ていうか・・・癖、なんですかね」
雑巾で拭き掃除しながら答える。
実際することも(つか出来ることが)ないし、食品を扱っていたとこで働いていたせいもあるのだろう。
「そしたら本でも読むか?」
「おお!それは有り難い・・・あ、でも」
こっちの世界の字って読めないんじゃね?
「・・・・でも?」
「私たぶん字読めないデス」
「そうなのか?何、心配するな。俺が読んでやる」
「・・・・なんで字が読めないのか聞かないんですか?」
聞いてくれたら言いやすかったのに、なんて。
「別にたいした問題じゃないからな。あ、それとその言葉遣いも直してくれ」
「はい?」
「もっとざっくばらんに話してくれないか?」
シャンクスのその人懐っこい笑顔でそう言われると、頷くしかない。
「シャンクスがそう言うならそうするけど」
私がそう言えば、シャンクスは満足げによし、と笑った。
うう、さすがに胸が痛い。
「・・・・シャンクスは嫌じゃないの?」
「ん、何がだ?」
「こんな得体の知れない女を船に置いて」
「それを言うならアコもじゃないのか?」
私は、違う。
私はシャンクスを知っている。
まったく知らない訳じゃない。
言うなら今だ。
「違うね。私はシャンクスを知ってた」
「ああ、やっぱりそうか」
・・・・・・・・・・・・・・・え?
「え、今、なん、て」
「いやー実はそうじゃないかとは思ってたが」
あっけらかんとシャンクスは笑った。
何でだ!
「ちょっと待てえええ!どういうこと!」
「初めて会った時、っつーか目があった時か?驚いた顔をしてただろう?」
「うん」
「その顔を見たときにピンときた」
「ええええ」
「しかもただ驚いてる顔じゃない、何でこいつがここに居るんだ、居るはずがないって顔をしてた」
「・・・・・はあ」
「顔を知ってるならわかる。四皇として顔も知られてるしな。ただアコは四皇を知らないと言う」
やだ何それシャンクス恐い!
探偵か!
「てかそんなんますます怪しくね?私が言うのもなんだけどさ」
「そうか?まあ気にするな!」
気にしろよ!
「皆は何も言わなかったの?」
「ほとんどの奴らは何も言わないんだがなあ。一部の奴らには言われたな」
「一部?」
「まあ、ベンとかヤソップとか、あとルウとかだな」
「で、何て言ったの?」
「アコと会って話してみろ、と言った」
「何それ責任重大すぎる」
シャンクスってこんな人だったっけ。
何か頭痛くなってきた。
「でも大丈夫だっただろう?」
ドヤ!と言わんばかりのきらめく笑顔。
そして頭の上に乗せられた大きな手。
「俺はアコが何者でも気にしない」
「・・・・・何かさあ」
「ん?」
「そこまで言われると黙ってるの逆に辛い。話して、いい?」
そこまでわかってしまうなら。
そこまでわかってくれるなら。
・・・言ってもいいか、と思った。
+黙ってられない 終+