自由を求めて三千里
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「あ、ヤソップさん、船長さん見かけませんでした?」
船長さんにちゃんと好きですって伝えようと思って部屋に行ったら居なかった。
ので、歩いて探していたところヤソップさんを発見したので聞いてみた。
ヤソップさんは、
「トレバーの部屋で見たぜ」
と教えてくれた。
トレバーさんの部屋、かあ。
じゃあお邪魔しちゃ悪いかな、なんて考えながら結局お部屋まで来て。
・・・・・・・・・・・コンコン、と控えめにノック。
「・・・・・・・・トレバーさーん」
「開いてる」
短く返って来た返事にほっとして、
「失礼しまーす」
入った部屋。
「・・・・・・・アコ」
「あ、船長さん」
船長さんは私を見て変な顔をした。
「あ、お話中なら私、」
「アコに話しがある」
「・・・・・・・はい」
あ、また。
こないだもお話ししようと思ったら、
船長さんに話しがあるって言われたんだよね。
「トレバー、悪いが」
「・・・・・・・・了解」
さっきまで船長さんと話していたはずのトレバーさんは船長さんに一瞥して自分の部屋から出て行った。
え、話し・・・・って。
ここでするの?
「あの、船長さん何か・・・・」
それでもやっぱり船長さんのお話しが気にかかって。
声をかけた瞬間、
腕を引かれて抱きしめられた。
「せん、」
驚いて顔をあげたら、
「ん・・・・・っ」
今度は性急な口付け。
「・・・・・・・・は、っ」
「アコ」
「・・・・・・・・・・せんちょう、さん?」
その顔が妙に苦しそうで。
助けてあげたい、と思った。
でも次に船長さんの口から告げられたのは。
「次の島で船を降りろ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」
信じられない言葉だった。
今、船長さんは船を降りろ、と言った。
・・・・・・・・・・・気がした。
いやいやいや、え?
「住むとこも働くとこも俺が見つける」
「・・・・・・・・・・ここに居ちゃ、駄目なんですか?」
「ああ、そうだ」
「何で、ですか」
「・・・・・・飽きた」
「・・・・・・・・・・・・・・それは・・・・私に、ですか」
「・・・・・・・・・・ああ」
淡々と語る船長さんの目はとても冷たい。
「嫌、です」
私はまだここに居たい。
けれど私のそんな言葉は、
「船長命令だ」
すぐにかき消された。
「・・・・・・・・・嫌・・・・です・・・っ!!」
「アコ」
びく、と肩が震えた。
「降りるんだ」
・・・・・・・・・・・私はその時、
『YES』とも、
『NO』 と言うこともなく。
ただ、黙って部屋を出た。
「・・・・・・・・はーっ」
甲板まで走ってきて、息が切れてる。
・・・・・・・・・何かもう、訳わかんない。
「逃げてきたのか?」
「・・・・・・・・トレバーさん」
隣に立ったトレバーさんは、
私を見ることなく話しかけてくる。
「お頭に船を降りろ、と言われて逃げてきたんだろ?」
「・・・・・・・きちゃいました」
「降りるのか、船」
「・・・・・・・・・いいえ」
降りたくない、絶対に。
「でも船長命令って言われたんだろ」
「言われました」
「住むとこも働くとこも世話してくれんだ、いいんじゃねーの」
ただ海を見つめて呟くトレバーさんも、
船長さんと何処か似てる。
・・・・・・・・でも私は、
「嫌ですよ!」
「・・・・・じゃあどうすんだよ」
そんなの嫌。
「断固抵抗します。だって納得出来ません」
「何が納得出来ないことがある?」
「船長さんの態度です。あとトレバーさんも」
「・・・・・・・・俺?」
そこで初めてトレバーさんが私を見た。
すんごい嫌そうな顔。
ちょっとだけ笑える。
「船長さんとさっきお話ししてましたよね?その時言われました?私を降ろす、って」
「・・・・・・・言われたが」
「その時他にも言われたんじゃないですか?」
「・・・・・・・・・・お前」
「何言われました?」
「お前の本当の好きな奴は俺なんだと」
「・・・・・・・・・・・・・は?」
予想外の答えに我ながら間抜けな声が出た。
何か言われたんだろうなーとは思ってたけど。
まさか、そんな。
「腹割って話してくれ、と言われた。アコをどう思っているんだ、と」
「・・・・・・・そんな」
「悪いが恋愛感情なんてもんは持ってねェからな俺は」
「でも仲間としては認めてくれてるんですよね?」
「・・・・・・・・まぁな」
「でも・・・私がちゃんと、好きだって言わなかったから」
こんなことに、なった。
「そうなるな」
「・・・・・・・っトレバーさん、お願いがあるんです」
「あ?」
「私もう逃げるつもりないんで。仲間だって思ってくれてるなら一緒に戦って欲しいんですけど」
「戦うってお前、」
「お願いします!」
今まで・・・・今も、
逃げてきた。
でももう逃げちゃいけない。
・・・・っていうか、
ここで逃げたら女が廃る!!
「腹割って話してくれ、トレバー」
「・・・・・・・厄介な話なら御免ですが」
面倒くさそうな顔で俺を招き入れたトレバーに苦笑して、
それでも真面目な話を始める。
「アコが惚れてるのはお前だと思うんだが」
「・・・・・・・・・・・・・どうでしょうね」
「でもって俺は・・・・・アコを次の島で降ろそうと思う」
「・・・・・・・・そりゃまた」
「元々アコは自由になりたくて家を出た訳だからな・・・俺が束縛したら意味がねェ」
「それで惚れた女を手放すと?」
「元々俺が無理やり手に入れただけの話だ。このままじゃ逃げていくのも時間の問題だろうしな」
それに、何より。
「海賊の名を背負わす訳にはいかないんだ・・・アコに」
元々、たまたま乗り込んだ船が海賊船だった、ってだけだ。
安全なところで、
笑いながら過ごせるならそれがいい。
「・・・・・俺にどうしろと?」
「アコが船を降りるのを拒んだら説得してくれ。お前から言われりゃ納得するだろう」
「アイツが俺の言うことを聞くと思いますか?」
「頼む」
「・・・・了解」
トレバーから言われりゃ納得するかと思う。
でなきゃ無理矢理降ろすまでだが。
その時コンコン、と、ノック音。
「トレバーさーん」
トレバーが短く、「開いてる」
と返事をすれば元気な声で、
「失礼しまーす」
アコが入ってきた。
「・・・・・・・アコ」
「あ、船長さん」
無邪気なその姿に、思いは強くなる。
「あ、お話中なら私、」
「アコに話しがある」
「・・・・・・・はい」
今、言う時だ。
「トレバー、悪いが」
「・・・・・・・・了解」
トレバーは俺に一瞥をくれて出て行った。
すべてを察してくれる、いい仲間だ。
「あの、船長さん何か・・・・」
ドアが閉まったのを見計らって、アコの腕を強く引いて閉じ込めた。
・・・・・両腕があったら確実に逃がさねェのにな。
「せん、」
驚いて顔をあげたアコに深く口付ける。
「ん・・・・・っ」
舌をねじ込んで、アコを味わう。
・・・・もう2度と、出来ないんだからな。
「・・・・・・・・は、っ」
「アコ」
「・・・・・・・・・・せんちょう、さん?」
本当はこんなこと言いたくねェんだ。
側に置いておきたい、いつまでも。
・・・・・・・・・それでも、言うしかないんだ。
「次の島で船を降りろ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」
目を丸くして、ただ俺を見る。
「住むとこも働くとこも俺が見つける」
「・・・・・・・・・・ここに居ちゃ、駄目なんですか?」
「ああ、そうだ」
「何で、ですか」
「・・・・・・飽きた」
情けないことにこんな言い訳しか思いつかなかった。
出来るだけ冷めた目でアコを見る。
・・・・・・・・わかった、と言って欲しいような、欲しくないような。
「・・・・・・・・・・・・・・それは・・・・私に、ですか」
「・・・・・・・・・・ああ」
「嫌、です」
言うと思った。
それならこっちは、
「船長命令だ」
「・・・・・・・・・嫌・・・・です・・・っ!!」
「アコ」
押しに弱い、アコは。
それでも泣かずに、
「降りるんだ」
逃げるように走り去った。
+やっぱり私は 終+