自由を求めて三千里
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「で、何が言いたいんだお前」
「怖かったですーって」
「・・・・・・・・・・よく逃げられたな」
真っ先に逃げてきた、
その先が。
トレバーさんの部屋だった。
「私だって考えるようになったんです!成長したんです!って言って逃げてきました」
トレバーさんはいつもの呆れた顔で、
「とにかくこんなとこに居たらまた怒られんぞ」
私をたしなめる。
「でも・・・・・・・・」
「でもじゃねーよ。俺は面倒ごとに巻き込まれんのは御免だ」
・・・・・・・・前科があります、ハイ。
私が迂闊にトレバーさんに大好きって言ったが為にトレバーさんに迷惑をかけてしまったことが。
でも、
それでも今はトレバーさんに縋りたかった。
「・・・・・・・・・・ごめんなさい」
「お頭のこと嫌いになったか?船を降りたいと思ったのか」
「・・・・・・いいえ」
大好きです。
大好きだから、
悩んでるんです。
「じゃあ問題ねーよ。つーか言っちまえ、好きだって」
「はへ!?私トレバーさんに言いました!?」
「見てりゃわかんだよ馬鹿」
「・・・・・・・・・・馬鹿ですもん」
船長さんのことが好きだ、って言うチャンスだったのに。
逃げてきた私は馬鹿としか言いようがない。
そんなの自分がよくわかってる。
「俺は辛気臭いやつとは一緒に居たくねーんだよ。さっさと出てけ」
「・・・・・・・・もしかして頑張れって言ってくれてます?」
「何処をどう聞いたらそんな風に聞こえるんだ」
「何となく」
「そのおめでたい考え方だけは評価してやるよ」
言いながら優しく笑うトレバーさんは、
やっぱり優しい。
「頑張ります!」
びしっと敬礼をしてトレバーさんの部屋を出た。
そうだ、頑張らなきゃ。
い・・・・言わなきゃ!!
まず、逃げたこと謝って。
それからちゃんと、船長さんが好きですって言わないと。
さっきのとこに居るかな、と思って戻ってみたけど居なかった。
そして、意を決して船長さんの部屋の前。
・・・・・・・・・・・よっし!
コンコン。
「船長さーん・・・・・」
船長さんの部屋のドアをノックして、
声をかけてみるけど返事はない。
「いらっしゃいませんかー?船長さーん?」
・・・・・・・やっぱり何もなし。
居留守、じゃないよね?
居たら絶対来てくれるよね?
「・・・・・・・・・・・・・・何処だろ」
それから図書室、
調理場、
お風呂場にトイレ(は流石に他の人に見てきてもらった)も居なかった。
・・・・・・・・・・あっれー?
広い広い船をぐるりと歩き回る。
「船長さー・・・・・・ん」
いい加減寂しくなってきた。
「あの、船長さん見かけませんでした?」
「お頭?ああ、そういやさっきアコを探してたぜ」
「え、じゃあもしかしてすれ違い・・・・・」
「かもなあ。さっきまで調理場に居たぜ」
「あ、有り難う御座いますっ」
その言葉に慌てて調理場に行くけど、
「船長さんっ!?」
「お、アコ。お頭が探してたぜ」
「どっち行きました!?」
「アコの部屋」
「有り難う御座います!!」
私の部屋っ!!
「せんちょー・・・・・・さん」
私の部屋にも、居ない。
一瞬落ち込みかけるけど、
負けてらんない!!
何とかして会うんだ!!
私は再び、調理場へ。
「お邪魔します!」
「お、アコ。お頭には会えたか?」
「会えませんでした。なのでここで待ち伏せします!!なのでアレ出してもらっていいですか?」
「あいよ」
テーブルの上に2つの盃。
1本のストック。
待ち構えるは、
船長さん。
もうすぐ夕飯だし、ここで待ってればきっと来てくれる!
さあ来い!
「ずっとそこで待ってるつもりかい?」
「勿論ですとも」
お酒の力は借りないけどね。
それでも、
一緒にこのお酒を飲みながらお話しすることを決めた。
ストック。
その花言葉は、
見つめる未来。
だから。
ふと、鮮烈な赤が見えた。
「アコ・・・・ここに居たのか」
「・・・・・・・・・お待ちしてました」
思ってたより待つことなく来てくれた船長さんは盃の置いてある、私の隣に座った。
「色々言いたいことはあるだろうが、俺から話していいか?」
「あ、はい。どうぞ」
な・・・・・何だろう船長さんのお話。
ドキドキしながら、
それでも私は船長さんの盃にお酒を注いだ。
「・・・・・飲もう、アコ」
「・・・・・・・・・・はい」
船長さんの不敵な笑みに頷いて、
自分の盃にも注いだ。
「では・・・・乾杯」
「ああ、乾杯」
カチン、とグラスを合わせてから2人同時にお酒を口に含む。
すっきりと爽やかな味。
「美味しい、ですね」
「・・・・美味いな」
自然と緩む頬。
でも、
「・・・・・・・船長さん、お話しって」
「アコ。俺の女になってくれ」
「え、」
「悪いがもう待てねェ。俺のものになってもらいてえんだ」
「っは、はい!」
思っても見なかった、
船長さんからの再度の告白。
これ幸いとばかりにその時の私は、
「いいのか、アコ?」
「はい・・・!」
「今からお前は・・・・・・俺の女だ」
「・・・・・・・・はい!」
ただ、
頷くしか出来なかった。
+酒を酌み交わし 終+