自由を求めて三千里
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船長さんのことが好きなんだ、と。
気づいてからずっと落ち着かない。
側に居たいのに、
居るとドキドキが止まらないし、
でも気になるからその姿を目で追ってしまう。
見えない時は何してるか気になるし。
はあ、とため息。
私も好きです、って言うだけなのに。
・・・・・・・・・なのに、
いざとなると言えない。
こんなにも勇気がいる。
好きだって、言うこと。
船長さんは私のこと好きだって言ってくれたのに。
ああ!情けない!
洗濯物を干しながらパンパン、と思いをこめて叩く。
とそこへ、
「おい、アコ」
トレバーさんがやって来た。
「はいー何でしょう」
「その洗濯物に、」
「・・・・・・・・・・あー!!!!」
もういっそ無理やり奪っちまおうか、なんてのも時々考える。
のんびりと進んで行く船とは逆に、
焦る想い。
どうしたもんか、と甲板で酒片手に散歩していると、
「せんちょおさんっ!!」
「ん?」
「船長さん船長さんっ」
「アコ?」
慌てた声を出して走ってきたのは、
まさに今思っていた、アコだった。
何だ、珍しいなアコがこんなに慌てるなんて。
「隠して下さいっ!」
「は?」
必死の形相でそう言うと、アコは俺の後ろに回りこみ、
マントの下に潜り込んだ。
・・・・・・・・・・何かから逃げてるのか?
「アコ、」
何事かと声をかけようとすれば、
どたばたと慌ただしい足音が再び。
「頭!!アコ見ませんでしたか!?」
「アコ?見てないな」
トレバーと仲の良いクルーが同じように必死な顔で叫ぶもんで、
咄嗟に庇った。
「くっそ・・・・何処行ったんだあいつ!」
そのまま違う方向へ走っていたクルーを見送って、
「・・・・・・・・・行ったぞアコ」
もぞ、と後ろで動くアコに声をかけた。
すぐに真っ赤な顔のアコが出てきて、
「・・・・・・・・・ご迷惑おかけしました」
と頭を下げた。
「何やったんだ、アコ?」
苦笑しながら聞いてみれば、
「・・・・・・・・・・実は、その」
「ん?」
「手紙が入った衣類を洗濯してしまいまして」
「・・・・・手紙はバラバラ、か」
「・・・・・・・・・・・・・・はい」
「しかしそりゃ入れたままにしといたやつの方が悪いだろう」
それでアコを責めてんなら俺が加勢してやろうかと思ったが、
「そうなんです・・・・」
「・・・・・・・それで何か問題があったのか?」
いまいち事情が掴めない。
「入れっぱなしにしておいた人も悪いですけど、気づかずに洗濯しちゃった私も悪いじゃないですか」
「まあ、そうなるか?」
「でもあの人すっごい勢いで謝ってくれて、何でもするからさせてくれーって」
「・・・・・・・・で?」
「お互い様だからいいですーって言ってるのに全然聞いてくれなくて。それで逃げてきたんです」
・・・・・・・・・何ともまあ、
アコらしい。
「・・・・・・・く、っはっはっは!そうか!それで逃げてたのか。まったく可愛いなぁアコは」
こみあげてきた笑いをそのまま口に出せばアコは膨れっ面。
「私ものすっごい必死だったんですよ!?」
「見りゃわかる。だがそんな必死になることないだろ?何かさせりゃ気も済む」
「させられないですよ!私も悪いんですから!」
「まあそう固く考えるこたァねェだろう。いつも洗濯してんだ、そんなこともある」
「・・・・・・・・・でも」
頑なに納得しようとしないアコに、
「わかった。じゃああいつと話してくるから待ってろ」
「・・・・・・・・・・?わかりました」
・・・・・・いい考えが浮かんだ。
悪い笑顔を浮かべて私の前から離れた船長さんに、良い予感はまったくない。
何を話すんだろ。
・・・・・・・・・っていうか、
顔まだ熱い。
咄嗟に船長さんのマントに隠れちゃったけど、
距離近いし船長さんの体温が感じられて、
苦しかった。
・・・・・・心臓が、どうにかなりそうで。
あの時、トレバーさんが来て仲の良い方が手紙を服に入れっぱなしにしてしまったと言う。
洗濯物を見てみればいろんな服についた紙。
トレバーさんと手紙の持ち主さんに謝りに行ったら、
むしろ洗濯やり直しにさせてしまった、と逆に謝られてしまった。
・・・・・・・・どんな手紙だったんだろう。
大切なものだったんじゃないのかなあ。
ここの人は本当に皆優しい。
はああ、と深いため息。
それから数分後、
船長さんはにこやかな笑顔で戻ってきた。
「・・・・・・・船長さん?」
「話はついた、アコ」
「え?」
「俺の好きにしていいそうだ」
「・・・・・・・・・・・はい?」
今幻聴が聞こえた。
「あいつの代わりに俺がアコの喜ぶことをしてやるってことでカタがついた」
「ええええええ!?」
「で、何して欲しい?」
平然と聞いてくる船長さんに私の口は開いたまま。
ぽかーん。
「えーと・・・・・じゃあ、お願いが」
「おう」
「新しい洗濯ばさみとハンガーが欲しいです・・・!!」
「・・・・・・・・・おい」
「あ、あと出来れば最新の洗剤と柔軟剤!」
決定権がある船長さんだからこその、
お願い。
これがあれば今の洗濯がすごいことになると思うんだけども。
「おいおい。そんなんでいいのか?」
「むしろお願いします!」
「よし、わかった」
やった!
と喜んだのも束の間。
「じゃあ次はアコの番だ」
「え、私ですか?」
何が?
「お互い様なんだろう?だからアコにも俺が喜ぶことをしてもらう」
や・・・・・!!やられた!!
したり顔で迫ってくる船長さんにそんな言葉しか思い浮かばない。
「な・・・・・何すればいいですか?」
「そうだな・・・・・キスしてくれ」
「っっ!!!!」
思わず頭を抱えてしゃがみこんだ。
「アコ?」
「・・・・・っ乙女の唇はそんな簡単なものじゃありません!!」
すると今度は船長さんがきょとん顔。
「今まで散々してた奴がなぁ・・・・どんな心境の変化だ?」
い・・・・・・・今だ!
好きですって言うなら今しかない!
「あ・・・・あのっ!!」
「ん?」
「私・・・・・・・・・・・・っ!!」
ばくばくと暴れる心臓の音を聞きながら、
さあ!!とまさに言おうとした時、
「何だ、告白されるみてェだなァ」
のんびりとした船長さんの声に、
がっくりと肩を落とした。
まさしく今しようとしてたんですけどね!
告白!!
一瞬にして、粉々に崩れた私の覚悟。
「・・・・・・・・私、だって」
「アコ?」
私だって、
「私だって女の子ですから!」
思い切り叫んだ私に船長さんは何を思ったのか、
「それは・・・・好きなやつが出来たってことか?」
じろりと笑いながら睨んでくる。
え、怖い。
がし、と掴まれた腕。
「ひゃっ・・・・っ」
「誰だ?」
「せん、ちょさん、痛い・・・・です」
「なあ、アコ」
その目の冷たさに、
初めてこの人を本気で怖いと思った。
+好きです、と 終+
気づいてからずっと落ち着かない。
側に居たいのに、
居るとドキドキが止まらないし、
でも気になるからその姿を目で追ってしまう。
見えない時は何してるか気になるし。
はあ、とため息。
私も好きです、って言うだけなのに。
・・・・・・・・・なのに、
いざとなると言えない。
こんなにも勇気がいる。
好きだって、言うこと。
船長さんは私のこと好きだって言ってくれたのに。
ああ!情けない!
洗濯物を干しながらパンパン、と思いをこめて叩く。
とそこへ、
「おい、アコ」
トレバーさんがやって来た。
「はいー何でしょう」
「その洗濯物に、」
「・・・・・・・・・・あー!!!!」
もういっそ無理やり奪っちまおうか、なんてのも時々考える。
のんびりと進んで行く船とは逆に、
焦る想い。
どうしたもんか、と甲板で酒片手に散歩していると、
「せんちょおさんっ!!」
「ん?」
「船長さん船長さんっ」
「アコ?」
慌てた声を出して走ってきたのは、
まさに今思っていた、アコだった。
何だ、珍しいなアコがこんなに慌てるなんて。
「隠して下さいっ!」
「は?」
必死の形相でそう言うと、アコは俺の後ろに回りこみ、
マントの下に潜り込んだ。
・・・・・・・・・・何かから逃げてるのか?
「アコ、」
何事かと声をかけようとすれば、
どたばたと慌ただしい足音が再び。
「頭!!アコ見ませんでしたか!?」
「アコ?見てないな」
トレバーと仲の良いクルーが同じように必死な顔で叫ぶもんで、
咄嗟に庇った。
「くっそ・・・・何処行ったんだあいつ!」
そのまま違う方向へ走っていたクルーを見送って、
「・・・・・・・・・行ったぞアコ」
もぞ、と後ろで動くアコに声をかけた。
すぐに真っ赤な顔のアコが出てきて、
「・・・・・・・・・ご迷惑おかけしました」
と頭を下げた。
「何やったんだ、アコ?」
苦笑しながら聞いてみれば、
「・・・・・・・・・・実は、その」
「ん?」
「手紙が入った衣類を洗濯してしまいまして」
「・・・・・手紙はバラバラ、か」
「・・・・・・・・・・・・・・はい」
「しかしそりゃ入れたままにしといたやつの方が悪いだろう」
それでアコを責めてんなら俺が加勢してやろうかと思ったが、
「そうなんです・・・・」
「・・・・・・・それで何か問題があったのか?」
いまいち事情が掴めない。
「入れっぱなしにしておいた人も悪いですけど、気づかずに洗濯しちゃった私も悪いじゃないですか」
「まあ、そうなるか?」
「でもあの人すっごい勢いで謝ってくれて、何でもするからさせてくれーって」
「・・・・・・・・で?」
「お互い様だからいいですーって言ってるのに全然聞いてくれなくて。それで逃げてきたんです」
・・・・・・・・・何ともまあ、
アコらしい。
「・・・・・・・く、っはっはっは!そうか!それで逃げてたのか。まったく可愛いなぁアコは」
こみあげてきた笑いをそのまま口に出せばアコは膨れっ面。
「私ものすっごい必死だったんですよ!?」
「見りゃわかる。だがそんな必死になることないだろ?何かさせりゃ気も済む」
「させられないですよ!私も悪いんですから!」
「まあそう固く考えるこたァねェだろう。いつも洗濯してんだ、そんなこともある」
「・・・・・・・・・でも」
頑なに納得しようとしないアコに、
「わかった。じゃああいつと話してくるから待ってろ」
「・・・・・・・・・・?わかりました」
・・・・・・いい考えが浮かんだ。
悪い笑顔を浮かべて私の前から離れた船長さんに、良い予感はまったくない。
何を話すんだろ。
・・・・・・・・・っていうか、
顔まだ熱い。
咄嗟に船長さんのマントに隠れちゃったけど、
距離近いし船長さんの体温が感じられて、
苦しかった。
・・・・・・心臓が、どうにかなりそうで。
あの時、トレバーさんが来て仲の良い方が手紙を服に入れっぱなしにしてしまったと言う。
洗濯物を見てみればいろんな服についた紙。
トレバーさんと手紙の持ち主さんに謝りに行ったら、
むしろ洗濯やり直しにさせてしまった、と逆に謝られてしまった。
・・・・・・・・どんな手紙だったんだろう。
大切なものだったんじゃないのかなあ。
ここの人は本当に皆優しい。
はああ、と深いため息。
それから数分後、
船長さんはにこやかな笑顔で戻ってきた。
「・・・・・・・船長さん?」
「話はついた、アコ」
「え?」
「俺の好きにしていいそうだ」
「・・・・・・・・・・・はい?」
今幻聴が聞こえた。
「あいつの代わりに俺がアコの喜ぶことをしてやるってことでカタがついた」
「ええええええ!?」
「で、何して欲しい?」
平然と聞いてくる船長さんに私の口は開いたまま。
ぽかーん。
「えーと・・・・・じゃあ、お願いが」
「おう」
「新しい洗濯ばさみとハンガーが欲しいです・・・!!」
「・・・・・・・・・おい」
「あ、あと出来れば最新の洗剤と柔軟剤!」
決定権がある船長さんだからこその、
お願い。
これがあれば今の洗濯がすごいことになると思うんだけども。
「おいおい。そんなんでいいのか?」
「むしろお願いします!」
「よし、わかった」
やった!
と喜んだのも束の間。
「じゃあ次はアコの番だ」
「え、私ですか?」
何が?
「お互い様なんだろう?だからアコにも俺が喜ぶことをしてもらう」
や・・・・・!!やられた!!
したり顔で迫ってくる船長さんにそんな言葉しか思い浮かばない。
「な・・・・・何すればいいですか?」
「そうだな・・・・・キスしてくれ」
「っっ!!!!」
思わず頭を抱えてしゃがみこんだ。
「アコ?」
「・・・・・っ乙女の唇はそんな簡単なものじゃありません!!」
すると今度は船長さんがきょとん顔。
「今まで散々してた奴がなぁ・・・・どんな心境の変化だ?」
い・・・・・・・今だ!
好きですって言うなら今しかない!
「あ・・・・あのっ!!」
「ん?」
「私・・・・・・・・・・・・っ!!」
ばくばくと暴れる心臓の音を聞きながら、
さあ!!とまさに言おうとした時、
「何だ、告白されるみてェだなァ」
のんびりとした船長さんの声に、
がっくりと肩を落とした。
まさしく今しようとしてたんですけどね!
告白!!
一瞬にして、粉々に崩れた私の覚悟。
「・・・・・・・・私、だって」
「アコ?」
私だって、
「私だって女の子ですから!」
思い切り叫んだ私に船長さんは何を思ったのか、
「それは・・・・好きなやつが出来たってことか?」
じろりと笑いながら睨んでくる。
え、怖い。
がし、と掴まれた腕。
「ひゃっ・・・・っ」
「誰だ?」
「せん、ちょさん、痛い・・・・です」
「なあ、アコ」
その目の冷たさに、
初めてこの人を本気で怖いと思った。
+好きです、と 終+