自由を求めて三千里
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「・・・・・・・・おい」
「え?」
「思いっきりゴミスルーして歩いてんじゃねーよ。何考えてんだアコ」
トレバーさんにめちゃくちゃ睨まれた。
はて、と思いながらトレバーさんの指す先には確かに大きな紙ゴミ。
「あ、すみません」
「・・・・・・・・・・・何かあったのか」
「・・・・・・・・・・・・トレバーさぁぁぁんん!!!!」
私の悩みを見抜いてくれたトレバーさんに思わず涙腺が緩んで泣きつけば、
「・・・・・・・言わなきゃ良かった」
とか言われた。
「そこを何とか!」
「・・・・・・・・・早く言え」
ああ、やっぱり優しい!
「どうして船長さんは私を選んだのかなって色々考えちゃいまして」
思い切って相談してみたら、
「俺が知るか」
・・・・ばっさり。
それはそうなんですけど!
「本人に聞け、本人に。今までのお前ならそうしてたんじゃないのか?」
「・・・・・・・・・・それは」
そう、なんですけど。
でも何か今、
胸がもやもやして。
・・・・・・・・船長さんの顔、見るの辛い。
「喧嘩でもしたのか?」
「・・・・・・してないです」
「じゃあ行けばいいだろ」
「・・・・・・・・・・ですよね」
わかってるんですけど・・・・!!
「何なんだお前」
「トレバーさん・・・・私」
私、私・・・・・は。
何て言おうか迷ってる私に、
「俺に言うことじゃないだろーが。お頭に言って来い、全部」
「・・・・・・・・・・・・・はい」
呆れた顔でトレバーさんはさっさと行ってしまった。
全部、か。
聞きたいことがこれだけじゃないって、見抜かれてるってことかあ。
こんな時・・・いつもなら何故か船長さんが入れ違いでやってきたりする。
でも今日は、来ない。
それが寂しいような、
嬉しいような。
はあ、と安堵なのか憂鬱なのかわからないため息を吐いて、掃除を続行する。
気抜かないようにしなきゃ。
「アコ」
私の名前を呼ぶその声に、
思わずドキッとした。
「な・・・・何でしょうか」
振り向いた先に居たのは予想通りの、
船長さん。
・・・・・・・今安心したばっかりだったのに。
「・・・どうした?」
「へ?」
「顔が引きつってるみたいだが」
上手く笑顔を作れたと思ってた。
・・・・・・・・・・・自信喪失。
「や・・・・何でしょう、疲れてるんですかね」
「風邪がぶり返したか?」
言いながら心配そうな顔で近づいてくる船長さんに逃げたい気持ちが湧き上がってくる。
「え、いえ」
さりげなく視線を逸らした隙に、
「ひゃっ」
額に船長さんの大きな手が当てられた。
「熱はねェな。他に症状は?」
「・・・・・・・・いえ、別に」
あれ、何でだろう。
ドキドキ、する。
・・・・・・・・落ち着かない。
「そうか?」
「そ・・・それより船長さん、何か御用でした?」
「ああ、これから雨になるそうだから洗濯する時は気をつけろよ」
「あ、わかりました。有り難う御座います」
「・・・・・・・・・顔が赤いな。本当に大丈夫か?」
熱はない筈なんだがな、と首を傾げる船長さんの顔が見れない。
「だい、じょぶです」
「その顔で言われても説得力ねェんだけどなァ・・・・」
ぼりぼりと頭をかきながら困ったように船長さんは笑って、
「ま、無理はすんな」
何かあったら言えよ、と言って私の頭にその手を乗せた。
それが優しくて。
あたたかくて、むず痒くて。
「せっ・・・・船長さん」
「ん?」
考えるより先に、やっぱり声が出ていた。
さっきまで考えてたのに。
考えて、声かけるのが怖かったのに。
顔見たら、聞かなきゃ、ってなった。
でもその前に、深呼吸。
「・・・・・・・何で私を、好きになってくれたんですか?」
「さぁなァ」
ドキドキの間もなく、あっさりとした返答。
「船長さんは・・・本当に私のこと、好きでいて下さってるんでしょうか?」
「・・・・・・・どういう意味だ?」
「私・・・・可愛くも美人でもないですし、強くもないです」
出来ることと言ったら家事雑用だし。
「この間の人の方が美人だし武術の心得もあったし」
「それで、自信喪失か?」
「・・・・と言いますか、疑問に思ったんです」
「疑問、なぁ」
「船長さんが私のこと認めてくれてるのは、あんな美人さんに慣れちゃったからじゃないですか?」
「・・・・・・慣れた?」
「いっつも贅沢なもの食べてたらたまに質素なものが食べたくなるのと同じで」
だから、私を。
なんて思った。
「贅沢してるつもりはねェが・・・・アコは言うなら珍味だろうな」
「・・・・・・・・・・珍味」
う・・・嬉しいような嬉しくないような。
「で、それじゃ駄目なのか?」
「へ?」
「俺みてェなのは美人で強い女を好きにならなきゃ駄目って訳じゃないだろう」
「あ・・・・・・・・」
どん、と当たり前のように紡がれていく言葉たちに私は唖然。
「仲間にするなら強いに越したことはねェが、惚れた女なら関係ない話しだな」
すーっと心に入ってくる笑顔。
・・・・・・・不思議な人。
「私・・・・私の何処を、好きになって下さったんですか?」
「頑固なとこ。不器用なとこ」
「・・・・・・・えええ」
「甘えベタなとこだろ、それから笑った顔が好きだな」
「・・・・・・・・私も、船長さんの笑った顔、好きです」
思ったことをそのまま伝えたら、
「・・・・・・・そりゃ嬉しいな」
と、
本当に嬉しそうに笑った船長さんが。
眩しくて。
ああ、
私船長さんのこと好きなんだなと思った。
+珍味です 終+
「え?」
「思いっきりゴミスルーして歩いてんじゃねーよ。何考えてんだアコ」
トレバーさんにめちゃくちゃ睨まれた。
はて、と思いながらトレバーさんの指す先には確かに大きな紙ゴミ。
「あ、すみません」
「・・・・・・・・・・・何かあったのか」
「・・・・・・・・・・・・トレバーさぁぁぁんん!!!!」
私の悩みを見抜いてくれたトレバーさんに思わず涙腺が緩んで泣きつけば、
「・・・・・・・言わなきゃ良かった」
とか言われた。
「そこを何とか!」
「・・・・・・・・・早く言え」
ああ、やっぱり優しい!
「どうして船長さんは私を選んだのかなって色々考えちゃいまして」
思い切って相談してみたら、
「俺が知るか」
・・・・ばっさり。
それはそうなんですけど!
「本人に聞け、本人に。今までのお前ならそうしてたんじゃないのか?」
「・・・・・・・・・・それは」
そう、なんですけど。
でも何か今、
胸がもやもやして。
・・・・・・・・船長さんの顔、見るの辛い。
「喧嘩でもしたのか?」
「・・・・・・してないです」
「じゃあ行けばいいだろ」
「・・・・・・・・・・ですよね」
わかってるんですけど・・・・!!
「何なんだお前」
「トレバーさん・・・・私」
私、私・・・・・は。
何て言おうか迷ってる私に、
「俺に言うことじゃないだろーが。お頭に言って来い、全部」
「・・・・・・・・・・・・・はい」
呆れた顔でトレバーさんはさっさと行ってしまった。
全部、か。
聞きたいことがこれだけじゃないって、見抜かれてるってことかあ。
こんな時・・・いつもなら何故か船長さんが入れ違いでやってきたりする。
でも今日は、来ない。
それが寂しいような、
嬉しいような。
はあ、と安堵なのか憂鬱なのかわからないため息を吐いて、掃除を続行する。
気抜かないようにしなきゃ。
「アコ」
私の名前を呼ぶその声に、
思わずドキッとした。
「な・・・・何でしょうか」
振り向いた先に居たのは予想通りの、
船長さん。
・・・・・・・今安心したばっかりだったのに。
「・・・どうした?」
「へ?」
「顔が引きつってるみたいだが」
上手く笑顔を作れたと思ってた。
・・・・・・・・・・・自信喪失。
「や・・・・何でしょう、疲れてるんですかね」
「風邪がぶり返したか?」
言いながら心配そうな顔で近づいてくる船長さんに逃げたい気持ちが湧き上がってくる。
「え、いえ」
さりげなく視線を逸らした隙に、
「ひゃっ」
額に船長さんの大きな手が当てられた。
「熱はねェな。他に症状は?」
「・・・・・・・・いえ、別に」
あれ、何でだろう。
ドキドキ、する。
・・・・・・・・落ち着かない。
「そうか?」
「そ・・・それより船長さん、何か御用でした?」
「ああ、これから雨になるそうだから洗濯する時は気をつけろよ」
「あ、わかりました。有り難う御座います」
「・・・・・・・・・顔が赤いな。本当に大丈夫か?」
熱はない筈なんだがな、と首を傾げる船長さんの顔が見れない。
「だい、じょぶです」
「その顔で言われても説得力ねェんだけどなァ・・・・」
ぼりぼりと頭をかきながら困ったように船長さんは笑って、
「ま、無理はすんな」
何かあったら言えよ、と言って私の頭にその手を乗せた。
それが優しくて。
あたたかくて、むず痒くて。
「せっ・・・・船長さん」
「ん?」
考えるより先に、やっぱり声が出ていた。
さっきまで考えてたのに。
考えて、声かけるのが怖かったのに。
顔見たら、聞かなきゃ、ってなった。
でもその前に、深呼吸。
「・・・・・・・何で私を、好きになってくれたんですか?」
「さぁなァ」
ドキドキの間もなく、あっさりとした返答。
「船長さんは・・・本当に私のこと、好きでいて下さってるんでしょうか?」
「・・・・・・・どういう意味だ?」
「私・・・・可愛くも美人でもないですし、強くもないです」
出来ることと言ったら家事雑用だし。
「この間の人の方が美人だし武術の心得もあったし」
「それで、自信喪失か?」
「・・・・と言いますか、疑問に思ったんです」
「疑問、なぁ」
「船長さんが私のこと認めてくれてるのは、あんな美人さんに慣れちゃったからじゃないですか?」
「・・・・・・慣れた?」
「いっつも贅沢なもの食べてたらたまに質素なものが食べたくなるのと同じで」
だから、私を。
なんて思った。
「贅沢してるつもりはねェが・・・・アコは言うなら珍味だろうな」
「・・・・・・・・・・珍味」
う・・・嬉しいような嬉しくないような。
「で、それじゃ駄目なのか?」
「へ?」
「俺みてェなのは美人で強い女を好きにならなきゃ駄目って訳じゃないだろう」
「あ・・・・・・・・」
どん、と当たり前のように紡がれていく言葉たちに私は唖然。
「仲間にするなら強いに越したことはねェが、惚れた女なら関係ない話しだな」
すーっと心に入ってくる笑顔。
・・・・・・・不思議な人。
「私・・・・私の何処を、好きになって下さったんですか?」
「頑固なとこ。不器用なとこ」
「・・・・・・・えええ」
「甘えベタなとこだろ、それから笑った顔が好きだな」
「・・・・・・・・私も、船長さんの笑った顔、好きです」
思ったことをそのまま伝えたら、
「・・・・・・・そりゃ嬉しいな」
と、
本当に嬉しそうに笑った船長さんが。
眩しくて。
ああ、
私船長さんのこと好きなんだなと思った。
+珍味です 終+