自由を求めて三千里
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風邪は1日寝たらだいぶ良くなった。
だから、と思って動いたら船長さんに見つかってベッドに連れ戻されてしまった。
仕方なく部屋でバレないように掃除をして、
更に次の日こそは!と意気込んで朝起きてみればぶすっとした顔のトレバーさんがドアの前に居た。
『悪いな、船長命令だ』とのこと。
それだけで私はすべてを理解した。
・・・・・・・・・・船長さんの心配のし過ぎだって。
もうすぐ島に着くっていうのにこんなんじゃ着いても私外に出してもらえないかも。
それはすごーく憂鬱。
そこで私は考えた。
それならバレないようにこっそり1人で出ちゃえばいい。
欲しいものもあるし、他の人には頼めないものもあるから絶対私が行きたいし。
そして数日後、無事に船が島に着いたのを見計らってこっそりと船を降りた。
我ながら上手くやれたと思う。
でももう少ししたら他の皆も降りてくるし、
早いとこ買い物済ませて何事もなかったかのように戻りたい。
船長さんはきっと心配するし、
心配させたくはないから。
・・・・・・・・・・・っていうか、怒るだろうなたぶん。
まずはリップクリーム。
こないだ風邪引いて熱が出た時唇がカサカサになって、気づいた。
リップクリームが残り少なかったことに。
女の子にはなかなか必需品なのです、これが。
目的の1つであるこのリップクリームはすぐに買えた。
特にこだわりもないから、安いやつ。
問題はもう1つの目的。
・・・・・・・・・・船長さんにプレゼント。
船長さんが大切にしたお酒を割っちゃったから。
代わりのものを、せめて私の買える精一杯のものであげられたらと思ったんだけど。
・・・・・・・・・・・私の少ないお小遣いじゃ無理だったようだ。
でも諦めたくはなくて、うろうろしていた私ははっとなった。
「・・・・・・・・・・・・え」
まさかこれは。
「ここ何処」
的な。
・・・・ってことはこれ、
迷子?
そうだよね、知らない町を何も考えずに歩いてたらそうなるよね・・・!!
人に聞いて戻るべきなんだろうけど、
船長さんへのプレゼントが決まってないまま帰れない。
このまま迷子続けさせてもらおう。
・・・・・・・やっぱりお酒がいい。
何か、いいお酒。
やっぱり何も考えずに歩いていたせいか、
はたと気がつけば狭い路地裏に入ってた。
これはさすがにヤバイかも。
変なことに巻き込まれても嫌だし、
「君可愛いね、今暇?」
・・・・・あああああ!思った側から絡まれた!
構ってる暇ないのに!
「今忙しいです!」
「そんなつれないこと言わないでさぁ」
「今!!忙しい!!言葉わかります!?」
「あ・・・・・うん」
早く買って船長さんとこに戻らないといけないのに!
「いやでも君、何か困っ「てない!」」
こうしてる間にも船長さんが私が居ないことに気づくかもしれないのに!!
「・・・・・・・・・あ、はい」
男の人を思いっきり睨みつけて、
その後ろにある古ぼけた酒屋さんに気づいた。
ここ入ろう!
た・・・・高くないといいな。
「・・・・・らっしゃい」
白髪のおじいさんが愛想なく出迎えてくれた。
「あの・・・・ここおススメのお酒って教えて下さい」
恐る恐る聞いてみると、おじいさんは黙ってとある棚まで歩いていく。
慌てて後ろをついていって、
「これだね」
「・・・・・・・おいくらですか?」
そしておじいさんが答えてくれた値段に私は笑って、
「これ下さい!」
と言った。
もう夕方になっちゃったよ・・・!!
人に聞きながら何とかここまでたどり着いた。
びくびくしながら船に戻ってみたら、船長さんが居た。
町に出てなかったんだ。
お酒を飲んでる船長さんの姿が何だか寂しげでどうしようもなく胸が締め付けられた。
とりあえず、とこっそり部屋に戻ってお酒とリップクリームを置いた。
それからどうしよう、とこっそり船長さんの姿を見ていると、
「あ」
船長さんが立ち上がって、目が、合った。
「アコ」
「ど・・・・どうも」
気まずいものを感じながら近づいていくと、
強い力に腕を取られて閉じ込められた。
・・・・・・うわぁ、これはやっぱり怒ってらっしゃる。
「・・・・・・・・・・や、やっぱり怒ってます、よね」
謝らないと、いけないのに。
やっぱり私の口からは謝罪の言葉は出てこない。
「それもある。・・・・・が、今はもう怒ってねェさ」
怒ってないと言いながら少し怖い。
「あの・・・船長さん?」
「逃げられたのかと、思ったが」
「いやいやいや!それはないです!」
「じゃあ何故誰にも言わず出かけた?」
ああ、やっぱり心配させちゃったんだ私。
反対されても言うべきだったんだ、きっと。
「だって・・・・病み上がりだからって船長さん心配してたから」
言ったら絶対止められると思ったんです。
「で、何処に行ってたんだ?」
「リップクリームがなくなったので、買いに」
「・・・・・・・それだけの割には遅かったんじゃねえのか」
「・・・・・・・・・迷子になりまして」
「迷子?」
「・・・・ここ何処だろう、みたいな」
迷子になったのは本当だし。
「・・・・・・・く、くははっはははっ!そうか、迷子か!アコらしいな!」
船長さんは楽しそうに笑ってから、
そっと腕を離してくれた。
そして、
「うぎゃ!」
ごつん、と軽く頭を小突かれた。
痛くないけどびっくりするからやめて欲しい!
「・・・・っやっぱ船長さん怒ってる!」
「俺は束縛したくはねェんだ、アコ。だからこれは命令じゃない」
「・・・・・・・何ですか?」
船長さんはどこか寂しそうに微笑んで、言う。
「俺の前から居なくなるときは、知らせてくれ。じゃないと酒が不味くて仕方ない」
その言葉が嬉しくて、
「・・・・はいっ」
私はゆっくり頷いた。
・・・・・・・・・で、そのお酒をいつ渡すか、というのが問題で。
完全にタイミングなくした。
というか何と言って渡せばいいのかもわからない。
ただ単にこの間割ったお酒のお詫びですって言っても気にしなくていいって言っただろ、とか言われそうだし。
受け取ってくれるだろうけど、どうせなら喜んで欲しい。
でも今回いっぱい心配かけちゃったし渡さないと。
・・・・・・・・問題は山積みだ。
何かをこんなに考えたことないから頭痛い。
でも今回は考えなくちゃだ。
船長さんの為にも。
「どうしたアコ?」
「・・・・・おぉっと。考え事をしておりました」
とくとくと目の前で注がれていくお酒に目をやってはっと我に返った。
そうだった今私は船長さんにお詫びのお酌中。
・・・・って私がお酌されてるし。
「考え事?アコが?そりゃ珍しいな」
「・・・・・・・・・はい、自分でもそう思います」
「誰だ?」
「へ?」
船長さんが私の頭をじぃっと見つめる。
「アコの頭ん中を占めてるのは・・・誰だろうなァ」
「や・・・・誰っていうか・・・・・・」
人じゃないです。
「あのですね!ちょっと待ってて下さい!」
「アコ?」
「すぐ!すぐ戻ってきますから!」
今がチャンス!と私は立ち上がった。
急いで部屋に行って、お酒を取る。
ああでも何て言おう、って考えて。
考えるのをやめた。
考えてる暇なんかないもん。
「あのっ船長さん!このお酒!」
「酒?」
買ったお酒を船長さんの前に持って行って、
「私と一緒に飲んでくれませんか!?」
「ほう」
「さっき迷子になった時に見つけたお店で買ったんです。船長さんと一緒に飲みたいなって」
「・・・・・・・・それが考え事か?」
「いつ言おうかなって」
そう言ったら船長さんはぶはっと吹き出した。
「そうか。じゃあアコの頭を占めてたのは俺だったってことか」
「・・・・・・・・と、お酒です」
「だっはっは!細けェことは気にすんな!飲もう、アコ。有り難くもらうよ」
船長さんの笑顔にほっとして、私のグラスと船長さんのグラスにお酒を注いだ。
「乾杯」
「かっ乾杯」
グラスを合わせて、1口飲む。
「・・・・・・・・美味い。何処の酒だ?」
うん、確かに美味しい。
「あ、何かこの島で作ってるお酒らしいです」
それから船長さんはお酒のラベルを見て目を見開いた。
「・・・・・・そうか、この島だったか」
「え?」
「有名な酒なんだ。いつか飲んでみたいと思っていた。・・・噂以上だったな、高かっただろう?」
「え・・・私のお小遣いで買えましたけど」
「よし、じゃあ明日行こう。案内してくれるか?」
「は・・・・・はい」
とは言ったものの。
たまたま迷子になった場所に連れて行けるかは、
少し不安です。
+乾杯の酒 終+
だから、と思って動いたら船長さんに見つかってベッドに連れ戻されてしまった。
仕方なく部屋でバレないように掃除をして、
更に次の日こそは!と意気込んで朝起きてみればぶすっとした顔のトレバーさんがドアの前に居た。
『悪いな、船長命令だ』とのこと。
それだけで私はすべてを理解した。
・・・・・・・・・・船長さんの心配のし過ぎだって。
もうすぐ島に着くっていうのにこんなんじゃ着いても私外に出してもらえないかも。
それはすごーく憂鬱。
そこで私は考えた。
それならバレないようにこっそり1人で出ちゃえばいい。
欲しいものもあるし、他の人には頼めないものもあるから絶対私が行きたいし。
そして数日後、無事に船が島に着いたのを見計らってこっそりと船を降りた。
我ながら上手くやれたと思う。
でももう少ししたら他の皆も降りてくるし、
早いとこ買い物済ませて何事もなかったかのように戻りたい。
船長さんはきっと心配するし、
心配させたくはないから。
・・・・・・・・・・・っていうか、怒るだろうなたぶん。
まずはリップクリーム。
こないだ風邪引いて熱が出た時唇がカサカサになって、気づいた。
リップクリームが残り少なかったことに。
女の子にはなかなか必需品なのです、これが。
目的の1つであるこのリップクリームはすぐに買えた。
特にこだわりもないから、安いやつ。
問題はもう1つの目的。
・・・・・・・・・・船長さんにプレゼント。
船長さんが大切にしたお酒を割っちゃったから。
代わりのものを、せめて私の買える精一杯のものであげられたらと思ったんだけど。
・・・・・・・・・・・私の少ないお小遣いじゃ無理だったようだ。
でも諦めたくはなくて、うろうろしていた私ははっとなった。
「・・・・・・・・・・・・え」
まさかこれは。
「ここ何処」
的な。
・・・・ってことはこれ、
迷子?
そうだよね、知らない町を何も考えずに歩いてたらそうなるよね・・・!!
人に聞いて戻るべきなんだろうけど、
船長さんへのプレゼントが決まってないまま帰れない。
このまま迷子続けさせてもらおう。
・・・・・・・やっぱりお酒がいい。
何か、いいお酒。
やっぱり何も考えずに歩いていたせいか、
はたと気がつけば狭い路地裏に入ってた。
これはさすがにヤバイかも。
変なことに巻き込まれても嫌だし、
「君可愛いね、今暇?」
・・・・・あああああ!思った側から絡まれた!
構ってる暇ないのに!
「今忙しいです!」
「そんなつれないこと言わないでさぁ」
「今!!忙しい!!言葉わかります!?」
「あ・・・・・うん」
早く買って船長さんとこに戻らないといけないのに!
「いやでも君、何か困っ「てない!」」
こうしてる間にも船長さんが私が居ないことに気づくかもしれないのに!!
「・・・・・・・・・あ、はい」
男の人を思いっきり睨みつけて、
その後ろにある古ぼけた酒屋さんに気づいた。
ここ入ろう!
た・・・・高くないといいな。
「・・・・・らっしゃい」
白髪のおじいさんが愛想なく出迎えてくれた。
「あの・・・・ここおススメのお酒って教えて下さい」
恐る恐る聞いてみると、おじいさんは黙ってとある棚まで歩いていく。
慌てて後ろをついていって、
「これだね」
「・・・・・・・おいくらですか?」
そしておじいさんが答えてくれた値段に私は笑って、
「これ下さい!」
と言った。
もう夕方になっちゃったよ・・・!!
人に聞きながら何とかここまでたどり着いた。
びくびくしながら船に戻ってみたら、船長さんが居た。
町に出てなかったんだ。
お酒を飲んでる船長さんの姿が何だか寂しげでどうしようもなく胸が締め付けられた。
とりあえず、とこっそり部屋に戻ってお酒とリップクリームを置いた。
それからどうしよう、とこっそり船長さんの姿を見ていると、
「あ」
船長さんが立ち上がって、目が、合った。
「アコ」
「ど・・・・どうも」
気まずいものを感じながら近づいていくと、
強い力に腕を取られて閉じ込められた。
・・・・・・うわぁ、これはやっぱり怒ってらっしゃる。
「・・・・・・・・・・や、やっぱり怒ってます、よね」
謝らないと、いけないのに。
やっぱり私の口からは謝罪の言葉は出てこない。
「それもある。・・・・・が、今はもう怒ってねェさ」
怒ってないと言いながら少し怖い。
「あの・・・船長さん?」
「逃げられたのかと、思ったが」
「いやいやいや!それはないです!」
「じゃあ何故誰にも言わず出かけた?」
ああ、やっぱり心配させちゃったんだ私。
反対されても言うべきだったんだ、きっと。
「だって・・・・病み上がりだからって船長さん心配してたから」
言ったら絶対止められると思ったんです。
「で、何処に行ってたんだ?」
「リップクリームがなくなったので、買いに」
「・・・・・・・それだけの割には遅かったんじゃねえのか」
「・・・・・・・・・迷子になりまして」
「迷子?」
「・・・・ここ何処だろう、みたいな」
迷子になったのは本当だし。
「・・・・・・・く、くははっはははっ!そうか、迷子か!アコらしいな!」
船長さんは楽しそうに笑ってから、
そっと腕を離してくれた。
そして、
「うぎゃ!」
ごつん、と軽く頭を小突かれた。
痛くないけどびっくりするからやめて欲しい!
「・・・・っやっぱ船長さん怒ってる!」
「俺は束縛したくはねェんだ、アコ。だからこれは命令じゃない」
「・・・・・・・何ですか?」
船長さんはどこか寂しそうに微笑んで、言う。
「俺の前から居なくなるときは、知らせてくれ。じゃないと酒が不味くて仕方ない」
その言葉が嬉しくて、
「・・・・はいっ」
私はゆっくり頷いた。
・・・・・・・・・で、そのお酒をいつ渡すか、というのが問題で。
完全にタイミングなくした。
というか何と言って渡せばいいのかもわからない。
ただ単にこの間割ったお酒のお詫びですって言っても気にしなくていいって言っただろ、とか言われそうだし。
受け取ってくれるだろうけど、どうせなら喜んで欲しい。
でも今回いっぱい心配かけちゃったし渡さないと。
・・・・・・・・問題は山積みだ。
何かをこんなに考えたことないから頭痛い。
でも今回は考えなくちゃだ。
船長さんの為にも。
「どうしたアコ?」
「・・・・・おぉっと。考え事をしておりました」
とくとくと目の前で注がれていくお酒に目をやってはっと我に返った。
そうだった今私は船長さんにお詫びのお酌中。
・・・・って私がお酌されてるし。
「考え事?アコが?そりゃ珍しいな」
「・・・・・・・・・はい、自分でもそう思います」
「誰だ?」
「へ?」
船長さんが私の頭をじぃっと見つめる。
「アコの頭ん中を占めてるのは・・・誰だろうなァ」
「や・・・・誰っていうか・・・・・・」
人じゃないです。
「あのですね!ちょっと待ってて下さい!」
「アコ?」
「すぐ!すぐ戻ってきますから!」
今がチャンス!と私は立ち上がった。
急いで部屋に行って、お酒を取る。
ああでも何て言おう、って考えて。
考えるのをやめた。
考えてる暇なんかないもん。
「あのっ船長さん!このお酒!」
「酒?」
買ったお酒を船長さんの前に持って行って、
「私と一緒に飲んでくれませんか!?」
「ほう」
「さっき迷子になった時に見つけたお店で買ったんです。船長さんと一緒に飲みたいなって」
「・・・・・・・・それが考え事か?」
「いつ言おうかなって」
そう言ったら船長さんはぶはっと吹き出した。
「そうか。じゃあアコの頭を占めてたのは俺だったってことか」
「・・・・・・・・と、お酒です」
「だっはっは!細けェことは気にすんな!飲もう、アコ。有り難くもらうよ」
船長さんの笑顔にほっとして、私のグラスと船長さんのグラスにお酒を注いだ。
「乾杯」
「かっ乾杯」
グラスを合わせて、1口飲む。
「・・・・・・・・美味い。何処の酒だ?」
うん、確かに美味しい。
「あ、何かこの島で作ってるお酒らしいです」
それから船長さんはお酒のラベルを見て目を見開いた。
「・・・・・・そうか、この島だったか」
「え?」
「有名な酒なんだ。いつか飲んでみたいと思っていた。・・・噂以上だったな、高かっただろう?」
「え・・・私のお小遣いで買えましたけど」
「よし、じゃあ明日行こう。案内してくれるか?」
「は・・・・・はい」
とは言ったものの。
たまたま迷子になった場所に連れて行けるかは、
少し不安です。
+乾杯の酒 終+