自由を求めて三千里
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朝ふと目が覚めて、
でもすごーく眠かった。
だからあと5分。
そう思って目を閉じたが最後、
次に起きたのは1時間後だった。
「あああああああっ!!」
お洗濯!お掃除!お片づけ!!!!
廊下を走って行くと船長さんがこちらに来るのが見えた。
「あ、船長さんおはよう御座います!」
もう早くないけど!
「ああ、アコ。今日は姿が見えねェんで今様子を見に来たとこだったんだが、大丈夫か?」
「すみません寝坊しました!申し訳ありません・・・っ!!」
「珍しいな、具合でも悪いのか?」
船長さんは怒ることなく、
私の顔を窺うように心配してくれた。
「だっ・・・・大丈夫です!」
ほんとは起きた時に頭が痛かったけど、
気のせいってことにしておこう。
「・・・・・・・・大丈夫、か?」
「ぅ・・・・」
再び力強い口調で問われて、返答に困った。
本当のことをもっと言えば、
寒気もしたしだるい。
風邪引いたんだろうな、と思う。
起きられなかったのもたぶんその為。
でも船長さんには心配かけたくないし、
言いたくない。
船長さんに、だけは。
・・・・・・・・・・・・・・何故かはわからないけど。
でも、もう既に心配させちゃってるし。
嘘を吐きたくないのも事実。
「アコ?」
さぁ言え、と言わんばかりの笑顔。
「ぅぇーと・・・・・・・・・・ハイ」
仕方なくゆっくりと頷くと、
船長さんが近づいてきて、顔がどあっぷになった。
そして、
「・・・・・・・・・ぅ」
おでことおでこが、こつん、とくっついた。
「ちっと熱いな。一応船医んとこ行っとけ」
「はーい」
とりあえず洗濯物しちゃおう。
船医さんとこに行くのはそれからでもいいよね!
よし、と返事だけして洗濯物、と向かえば、
「アコ?船医んとこはそっちじゃないだろ?」
「あ・・・・後で行きま、」
言い切る前に、とってもいい笑顔の船長さんの貴重な片腕が私の腰に、がしっと回された。
「へ」
「あァ、そうだよなぁ、アコ1人じゃ心配だな」
「ええ!?」
優しいけど強引な力で、くるりと方向転換させられて。
「よし、行くぞ」
「ああっでも洗濯物先に・・・・!!」
「考えても見ろ、そんな状態でやられても迷惑だ。気になって仕方ねェ」
「・・・・・・私、そんなに具合悪そうに見えます?」
自分ではそこまでの変化はないつもりなんだけどな。
でも船長さんは私を見て、
「顔が赤い。目が潤んでる。歩き方がぎこちねえし、声がいつもと違う」
ずばずばと言ってくる。
それから更にさっきと同じように顔を近づけてきて、
「・・・・・全部、俺に襲われても仕方ない要素ばっかりだからなアコ」
不敵な笑み。
「・・・・そんなこと言われましても」
仕方なくないと思うんですが!
「ほれ、行くぞ」
「はーい・・・・・」
という訳で、
船医さんに診察してもらった結果。
「風邪です。ビタミン摂って寝てろって」
「やっぱりな。ほら、わかったらさっさと部屋に戻るぞ」
「そこを何とか・・・・なりませんかね?」
「ならねェな」
必死の懇願も即答で切り捨てられた。
・・・・・・・冷たい。
「・・・・・・・・・・・ちゅーしていいですよって言ったら見逃してくれます?」
「アコからしてくれんなら考えてもいい」
そう来ますか。
別にちゅーするのはいいんだけど、
私の風邪が船長さんにうつるかもしれないし。
ううん、でも頬なら!
だって場所の指定はされてないもんね!
たぶん船長さんは私が本当にすると思ってなさそうだし。
ええい、こうなったら!
覚悟を決めて私は背伸びして船長さんの頬にちゅ、と軽く口付けた。
・・・・・・・でも、
「よく出来ました。でも部屋で安静な」
「な!」
騙された!
嬉しそうな船長さんは私のお願いを聞いてはくれなかった。
「何でですか!?」
「俺は考える、って言っただけだ」
「ええええ!?」
「しかもほっぺにちゅーって子供じゃあるめえし、そんなんで俺が納得すると思うか?」
や・・・・・・・・やられた!!!
場所を指定しなかったのもわざと!?
「卑怯です・・・!!」
「おーおー何とでも言え」
片腕に引っ張られて、ずるずると部屋まで連れ戻された。
「船長さぁぁん・・・・!!」
「ンな声出しても無駄だぞアコ。俺に押し倒されたいか、自分で寝るかどっちだ?」
「ちゅーしたのにー」
ぶーぶーと文句言うけど、
「よし、押し倒してやる」
結局自分からベッドに入った。
柔らかなベッドに入ると、何だかほっとした。
「・・・・・・・ふぅ」
「まったく、アコは簡単に唇を許しすぎなんじゃないのか?」
またそんなお父さんみたいなこと言う。
「そうですか?」
「・・・・・・・トレバーともしたのか?」
その言葉にはっとして船長さんを見ると、
一見普通の顔。
・・・・・・・・・でもこれはたぶん、
怒ってる。
「してません、ですよ」
掠れた声で答えれば、船長さんの口元が緩んだ。
「そうか。初めてはやっぱあいつか?あー・・・何だ、前に居たっていう家の息子」
「いいえー初めては船長さんです」
「・・・・・・・・・・・アコ、初めて、だったのか?」
船長さんは驚いたように少しだけ目を丸くさせた。
「はい、実は」
「何で俺とはした?」
「唇同士でのキスのことをおっしゃってるんですか?」
船長さんが半ば無理やりしたのに。
思いながら言えば、船長さんも思い当たったのか苦笑した。
「・・・・・・そうだな。だがさっきみたいな奴は最初の頃にもしただろ」
言われて私も思い出す、そういえばおはようのキスーとか言われてしたんだっけ私。
でもアレは。
「最初のは・・・・ここで生活していく為、でした」
「さっきのは洗濯の為、か?」
「それもありますけど、半分は」
「半分?」
今はそんなことしなくてもここに居られるってわかってるし。
洗濯はまあ、したかったけど仕方ないと諦められた。
だから、
「たぶんしないって船長さん思ってるだろうから反応見てみたいなって思って」
「それで、どうだった俺の反応は?」
「可愛かったです」
「・・・・・・・・は?」
そこまで言って私は目を閉じた。
あぁ、唇カサカサ。
りっぷくりーむ、塗らなきゃ・・・・。
まぶたは重いし。
「・・・・・・・せん、ちょうさん」
遠のいていく意識の中で名前を呼べば、
「・・・心配すんな、ずっとここに居る」
優しくてあったかい声が聞こえて。
気持ちいい眠りについた。
あーやっぱり具合悪いの気のせいじゃなかったんだぁ。
完全に意識が飛ぶ直前に聞こえた、
「もうすぐ次の島に着くそうだ」
少しだけ気弱な船長さんの声は、
すっかり記憶に残らなかった。
+気のせいじゃなかった 終+
でもすごーく眠かった。
だからあと5分。
そう思って目を閉じたが最後、
次に起きたのは1時間後だった。
「あああああああっ!!」
お洗濯!お掃除!お片づけ!!!!
廊下を走って行くと船長さんがこちらに来るのが見えた。
「あ、船長さんおはよう御座います!」
もう早くないけど!
「ああ、アコ。今日は姿が見えねェんで今様子を見に来たとこだったんだが、大丈夫か?」
「すみません寝坊しました!申し訳ありません・・・っ!!」
「珍しいな、具合でも悪いのか?」
船長さんは怒ることなく、
私の顔を窺うように心配してくれた。
「だっ・・・・大丈夫です!」
ほんとは起きた時に頭が痛かったけど、
気のせいってことにしておこう。
「・・・・・・・・大丈夫、か?」
「ぅ・・・・」
再び力強い口調で問われて、返答に困った。
本当のことをもっと言えば、
寒気もしたしだるい。
風邪引いたんだろうな、と思う。
起きられなかったのもたぶんその為。
でも船長さんには心配かけたくないし、
言いたくない。
船長さんに、だけは。
・・・・・・・・・・・・・・何故かはわからないけど。
でも、もう既に心配させちゃってるし。
嘘を吐きたくないのも事実。
「アコ?」
さぁ言え、と言わんばかりの笑顔。
「ぅぇーと・・・・・・・・・・ハイ」
仕方なくゆっくりと頷くと、
船長さんが近づいてきて、顔がどあっぷになった。
そして、
「・・・・・・・・・ぅ」
おでことおでこが、こつん、とくっついた。
「ちっと熱いな。一応船医んとこ行っとけ」
「はーい」
とりあえず洗濯物しちゃおう。
船医さんとこに行くのはそれからでもいいよね!
よし、と返事だけして洗濯物、と向かえば、
「アコ?船医んとこはそっちじゃないだろ?」
「あ・・・・後で行きま、」
言い切る前に、とってもいい笑顔の船長さんの貴重な片腕が私の腰に、がしっと回された。
「へ」
「あァ、そうだよなぁ、アコ1人じゃ心配だな」
「ええ!?」
優しいけど強引な力で、くるりと方向転換させられて。
「よし、行くぞ」
「ああっでも洗濯物先に・・・・!!」
「考えても見ろ、そんな状態でやられても迷惑だ。気になって仕方ねェ」
「・・・・・・私、そんなに具合悪そうに見えます?」
自分ではそこまでの変化はないつもりなんだけどな。
でも船長さんは私を見て、
「顔が赤い。目が潤んでる。歩き方がぎこちねえし、声がいつもと違う」
ずばずばと言ってくる。
それから更にさっきと同じように顔を近づけてきて、
「・・・・・全部、俺に襲われても仕方ない要素ばっかりだからなアコ」
不敵な笑み。
「・・・・そんなこと言われましても」
仕方なくないと思うんですが!
「ほれ、行くぞ」
「はーい・・・・・」
という訳で、
船医さんに診察してもらった結果。
「風邪です。ビタミン摂って寝てろって」
「やっぱりな。ほら、わかったらさっさと部屋に戻るぞ」
「そこを何とか・・・・なりませんかね?」
「ならねェな」
必死の懇願も即答で切り捨てられた。
・・・・・・・冷たい。
「・・・・・・・・・・・ちゅーしていいですよって言ったら見逃してくれます?」
「アコからしてくれんなら考えてもいい」
そう来ますか。
別にちゅーするのはいいんだけど、
私の風邪が船長さんにうつるかもしれないし。
ううん、でも頬なら!
だって場所の指定はされてないもんね!
たぶん船長さんは私が本当にすると思ってなさそうだし。
ええい、こうなったら!
覚悟を決めて私は背伸びして船長さんの頬にちゅ、と軽く口付けた。
・・・・・・・でも、
「よく出来ました。でも部屋で安静な」
「な!」
騙された!
嬉しそうな船長さんは私のお願いを聞いてはくれなかった。
「何でですか!?」
「俺は考える、って言っただけだ」
「ええええ!?」
「しかもほっぺにちゅーって子供じゃあるめえし、そんなんで俺が納得すると思うか?」
や・・・・・・・・やられた!!!
場所を指定しなかったのもわざと!?
「卑怯です・・・!!」
「おーおー何とでも言え」
片腕に引っ張られて、ずるずると部屋まで連れ戻された。
「船長さぁぁん・・・・!!」
「ンな声出しても無駄だぞアコ。俺に押し倒されたいか、自分で寝るかどっちだ?」
「ちゅーしたのにー」
ぶーぶーと文句言うけど、
「よし、押し倒してやる」
結局自分からベッドに入った。
柔らかなベッドに入ると、何だかほっとした。
「・・・・・・・ふぅ」
「まったく、アコは簡単に唇を許しすぎなんじゃないのか?」
またそんなお父さんみたいなこと言う。
「そうですか?」
「・・・・・・・トレバーともしたのか?」
その言葉にはっとして船長さんを見ると、
一見普通の顔。
・・・・・・・・・でもこれはたぶん、
怒ってる。
「してません、ですよ」
掠れた声で答えれば、船長さんの口元が緩んだ。
「そうか。初めてはやっぱあいつか?あー・・・何だ、前に居たっていう家の息子」
「いいえー初めては船長さんです」
「・・・・・・・・・・・アコ、初めて、だったのか?」
船長さんは驚いたように少しだけ目を丸くさせた。
「はい、実は」
「何で俺とはした?」
「唇同士でのキスのことをおっしゃってるんですか?」
船長さんが半ば無理やりしたのに。
思いながら言えば、船長さんも思い当たったのか苦笑した。
「・・・・・・そうだな。だがさっきみたいな奴は最初の頃にもしただろ」
言われて私も思い出す、そういえばおはようのキスーとか言われてしたんだっけ私。
でもアレは。
「最初のは・・・・ここで生活していく為、でした」
「さっきのは洗濯の為、か?」
「それもありますけど、半分は」
「半分?」
今はそんなことしなくてもここに居られるってわかってるし。
洗濯はまあ、したかったけど仕方ないと諦められた。
だから、
「たぶんしないって船長さん思ってるだろうから反応見てみたいなって思って」
「それで、どうだった俺の反応は?」
「可愛かったです」
「・・・・・・・・は?」
そこまで言って私は目を閉じた。
あぁ、唇カサカサ。
りっぷくりーむ、塗らなきゃ・・・・。
まぶたは重いし。
「・・・・・・・せん、ちょうさん」
遠のいていく意識の中で名前を呼べば、
「・・・心配すんな、ずっとここに居る」
優しくてあったかい声が聞こえて。
気持ちいい眠りについた。
あーやっぱり具合悪いの気のせいじゃなかったんだぁ。
完全に意識が飛ぶ直前に聞こえた、
「もうすぐ次の島に着くそうだ」
少しだけ気弱な船長さんの声は、
すっかり記憶に残らなかった。
+気のせいじゃなかった 終+