自由を求めて三千里
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「疲れた、って顔に書いてあるぞ」
食堂で食後のお茶を飲んでまったりしてたら、
目の前に腰を下ろしたトレバーさんにズバリ言われてしまった。
「はう!申し訳ありませんっ」
慌てて顔を作る。
「別にそんな顔しろって意味じゃねぇよ」
「いえっ気を引き締めます!」
「・・・・・・・・・何かあったのかお前」
「え、別に何も」
「お頭に口説かれてんだろ?」
「はあ、まあ」
ぐさり、胸に突き刺さる一言。
そりゃあもう物凄い勢いで口説かれている。
ある時は突然後ろから片腕で抱きしめられ、
またある時は耳元で愛の言葉を囁かれ。
そしてまたある時は、
キスされそうになる。
「で?」
「でもたぶん、私があんまり反応しないからつまらないんじゃないでしょうかね、船長さんは」
・・・・・・・すべての行為に対して私は恥ずかしいと思うこともなく、
嫌、と思うこともない。
ただ受け入れるだけだから。
「それはお頭に聞いてみるんだな」
「・・・・・・・・・ですね。あと、思うんですけど私」
「今度ぁ何だ」
「船長さんの恋人でなきゃこの船に居ちゃいけないのかなあって」
トレバーさんは私の疑問に、
持ってきた珈琲を飲み干して立ち上がった。
あれ。
「それも俺に聞け、ってことだろトレバー」
「のおおお!!!」
いつの間にか横に座っていて、驚いた。
「せっ船長さん・・・!!」
「お頭、ほどほどにしてやって下さい」
「おう」
トレバーさんは不敵な笑みを浮かべて颯爽と立ち去ってしまった。
・・・・・・・・・・・何かこんな光景前にもあったかも。
「で、何だって?」
「あ。えーと、船長さんの恋人じゃなきゃ私はこの船に居ちゃいけないんでしょうかって」
船長さんは何事もなかったかのように話を続ける。
しっ心臓が・・・・!!
何かされてもあまりドキドキしない心臓が!
ばくばくする。
「居たいと思ってくれんならいつまでも居ていい」
「あ、そうなんですか・・・・・」
ちょっとだけ、ほっとした。
「俺の側に居たいって思ってくれるのか?」
ぐ、っと近づいた顔にやっぱり少し驚きながら、
「・・・・・・・私この間着いた島に居た時海軍に遭遇したんですよ」
ゆっくりと説明する。
「何か言われたのか?」
「いいえ。でも私海軍の姿見て逃げたんです」
「逃げる必要はなかった、な」
「・・・・・・・・・そうなんです。それだけ馴染んでたんです私。ここに」
ニヤリと笑う船長さんに苦笑しながら話す。
「そりゃあ嬉しい話だ。それじゃあキスでもするか?」
・・・・・・・・・船長さんはすぐこう。
「脈絡がありません・・・!」
「そんな可愛いこと言われたらしねェってのも変な話だろう?」
「・・・・・・・・そうなんですか?」
っていうか今の話の何処が可愛い・・・・?
しきりに首を捻る私を見て船長さんが私の頬に手を伸ばした。
「逃げるなら今のうち、だぞアコ」
「え、」
「俺はもうそろそろ限界が近い」
「もっ・・・・もしかして船長さん・・・・・・・・・・・余命数ヶ月、とか」
言ってから、あぁこれは言わない方が良かったかも、なんて少し悔やんだ。
でも船長さんは固まって。
「・・・・・・・・・・そう来たか」
と言う。
「え?」
「いや。・・・・そんなんじゃないさ」
「そう、ですか?」
それから船長さんは私を獲物を捕らえた獣のような目で睨みつける。
「逃げないならキスしちまうぞ、ってことだ」
・・・・・・・船長さんはいつも、
こうして私に逃げ道を用意してくれる。
優しいなあ。
でも、
「優しいだけじゃ駄目ですよ船長さん」
す、っと視線を外して私は立ち上がった。
「ほう」
「私・・・・逃げるのも隠れるのも得意ですから」
「・・・・・・・・ああ、知ってる」
何処か寂しそうに微笑んだ船長さんを見て、
私は自分の部屋に戻った。
『優しいだけじゃ駄目ですよ船長さん』
そう言って背を向けたアコは、『女』の顔をしていた。
「・・・・・・・・・傷つけたくはないんだがな」
このままだと、いつ爆発してもおかしくない。
俺の理性が。
とはいえ確かにこのままじゃ何も変わらないだろう。
アコが、受け流している限りは。
あの様子を見ると恐らく俺の気持ちを自分のこととして考えてない。
表面的にはわかっちゃいるだろうが、
他人事みてェだな。
優しいだけじゃだめ、か。
せっかくの忠告だ。従ってみるか。
何でさっきあんなこと言っちゃったんだろう。
まるで他人事みたいに口からぽん、と出た。
・・・・・・・・・・不思議だなあ。
ま、いっか。
なんて軽く考えて読みかけの本に手を伸ばした時、
「アコ、今いいか?」
ドアが開いて船長さんが入ってきた。
「はい、何でしょう?」
「さっきの話だが」
「・・・・・・・・・さっき?」
「アコの忠告を聞き入れてみようと思ってな」
忠告。
・・・・・・何か嫌な予感。
「せんっ」
名前を呼ぼうとして開いた口は、
すぐに閉じた。
・・・・・・船長さんの目が怖くて。
「俺もいつまでも優しいだけって訳にもいかねェんだ」
力強く腕を引かれて、
身体が近づいた。
「あ、」
気がついた時にはもう重なってた唇。
「・・・・・・んっ、」
突然のことで何も考えられなくて真っ白になった頭。
ぱっと離れた手。
でもすぐに今度は頭の後ろに回されて、
「わっ」
今度はさっきより深い口付け。
「・・・・・・・・・・ん、っは」
唇が離れた瞬間、
「嫌って言わない限り俺は続けるぞ、アコ」
忘れてた。
口説かれてるのは誰か。
今、この状況が、
嫌かどうか、
どうなるか、
それを決めるのは、私だ。
+他人事 終+
食堂で食後のお茶を飲んでまったりしてたら、
目の前に腰を下ろしたトレバーさんにズバリ言われてしまった。
「はう!申し訳ありませんっ」
慌てて顔を作る。
「別にそんな顔しろって意味じゃねぇよ」
「いえっ気を引き締めます!」
「・・・・・・・・・何かあったのかお前」
「え、別に何も」
「お頭に口説かれてんだろ?」
「はあ、まあ」
ぐさり、胸に突き刺さる一言。
そりゃあもう物凄い勢いで口説かれている。
ある時は突然後ろから片腕で抱きしめられ、
またある時は耳元で愛の言葉を囁かれ。
そしてまたある時は、
キスされそうになる。
「で?」
「でもたぶん、私があんまり反応しないからつまらないんじゃないでしょうかね、船長さんは」
・・・・・・・すべての行為に対して私は恥ずかしいと思うこともなく、
嫌、と思うこともない。
ただ受け入れるだけだから。
「それはお頭に聞いてみるんだな」
「・・・・・・・・・ですね。あと、思うんですけど私」
「今度ぁ何だ」
「船長さんの恋人でなきゃこの船に居ちゃいけないのかなあって」
トレバーさんは私の疑問に、
持ってきた珈琲を飲み干して立ち上がった。
あれ。
「それも俺に聞け、ってことだろトレバー」
「のおおお!!!」
いつの間にか横に座っていて、驚いた。
「せっ船長さん・・・!!」
「お頭、ほどほどにしてやって下さい」
「おう」
トレバーさんは不敵な笑みを浮かべて颯爽と立ち去ってしまった。
・・・・・・・・・・・何かこんな光景前にもあったかも。
「で、何だって?」
「あ。えーと、船長さんの恋人じゃなきゃ私はこの船に居ちゃいけないんでしょうかって」
船長さんは何事もなかったかのように話を続ける。
しっ心臓が・・・・!!
何かされてもあまりドキドキしない心臓が!
ばくばくする。
「居たいと思ってくれんならいつまでも居ていい」
「あ、そうなんですか・・・・・」
ちょっとだけ、ほっとした。
「俺の側に居たいって思ってくれるのか?」
ぐ、っと近づいた顔にやっぱり少し驚きながら、
「・・・・・・・私この間着いた島に居た時海軍に遭遇したんですよ」
ゆっくりと説明する。
「何か言われたのか?」
「いいえ。でも私海軍の姿見て逃げたんです」
「逃げる必要はなかった、な」
「・・・・・・・・・そうなんです。それだけ馴染んでたんです私。ここに」
ニヤリと笑う船長さんに苦笑しながら話す。
「そりゃあ嬉しい話だ。それじゃあキスでもするか?」
・・・・・・・・・船長さんはすぐこう。
「脈絡がありません・・・!」
「そんな可愛いこと言われたらしねェってのも変な話だろう?」
「・・・・・・・・そうなんですか?」
っていうか今の話の何処が可愛い・・・・?
しきりに首を捻る私を見て船長さんが私の頬に手を伸ばした。
「逃げるなら今のうち、だぞアコ」
「え、」
「俺はもうそろそろ限界が近い」
「もっ・・・・もしかして船長さん・・・・・・・・・・・余命数ヶ月、とか」
言ってから、あぁこれは言わない方が良かったかも、なんて少し悔やんだ。
でも船長さんは固まって。
「・・・・・・・・・・そう来たか」
と言う。
「え?」
「いや。・・・・そんなんじゃないさ」
「そう、ですか?」
それから船長さんは私を獲物を捕らえた獣のような目で睨みつける。
「逃げないならキスしちまうぞ、ってことだ」
・・・・・・・船長さんはいつも、
こうして私に逃げ道を用意してくれる。
優しいなあ。
でも、
「優しいだけじゃ駄目ですよ船長さん」
す、っと視線を外して私は立ち上がった。
「ほう」
「私・・・・逃げるのも隠れるのも得意ですから」
「・・・・・・・・ああ、知ってる」
何処か寂しそうに微笑んだ船長さんを見て、
私は自分の部屋に戻った。
『優しいだけじゃ駄目ですよ船長さん』
そう言って背を向けたアコは、『女』の顔をしていた。
「・・・・・・・・・傷つけたくはないんだがな」
このままだと、いつ爆発してもおかしくない。
俺の理性が。
とはいえ確かにこのままじゃ何も変わらないだろう。
アコが、受け流している限りは。
あの様子を見ると恐らく俺の気持ちを自分のこととして考えてない。
表面的にはわかっちゃいるだろうが、
他人事みてェだな。
優しいだけじゃだめ、か。
せっかくの忠告だ。従ってみるか。
何でさっきあんなこと言っちゃったんだろう。
まるで他人事みたいに口からぽん、と出た。
・・・・・・・・・・不思議だなあ。
ま、いっか。
なんて軽く考えて読みかけの本に手を伸ばした時、
「アコ、今いいか?」
ドアが開いて船長さんが入ってきた。
「はい、何でしょう?」
「さっきの話だが」
「・・・・・・・・・さっき?」
「アコの忠告を聞き入れてみようと思ってな」
忠告。
・・・・・・何か嫌な予感。
「せんっ」
名前を呼ぼうとして開いた口は、
すぐに閉じた。
・・・・・・船長さんの目が怖くて。
「俺もいつまでも優しいだけって訳にもいかねェんだ」
力強く腕を引かれて、
身体が近づいた。
「あ、」
気がついた時にはもう重なってた唇。
「・・・・・・んっ、」
突然のことで何も考えられなくて真っ白になった頭。
ぱっと離れた手。
でもすぐに今度は頭の後ろに回されて、
「わっ」
今度はさっきより深い口付け。
「・・・・・・・・・・ん、っは」
唇が離れた瞬間、
「嫌って言わない限り俺は続けるぞ、アコ」
忘れてた。
口説かれてるのは誰か。
今、この状況が、
嫌かどうか、
どうなるか、
それを決めるのは、私だ。
+他人事 終+