自由を求めて三千里
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「でも就職決まる前で良かったですよー。ね、トレバーさん」
「・・・・・・・・・・・そうだな」
「決まってたら私の努力水の泡ですもん。ね」
「ああ、そうだな」
「ていうかこんなことになるってわかってたらもう少し頑張って痩せたんですけど。ねートレバーさん」
「・・・・・・・・・・・・・いい加減にしろよアコ」
気持ちの良い晴天。
私の隣で洗濯物を干してくれているトレバーさんは低い声でつまらなさそうに話す。
「だって全部本当のことですし」
「いちいち俺に言うな。・・・・もういいだろ?お頭に睨まれちまう」
もういいだろ?というのは、
これが罪滅ぼしだから、だ。
不必要に怖い思いをさせた、と。
「船長さんに?何でですか?」
仲間思いの船長さんなのに、と言ってみればトレバーさんに思いっきり睨まれた。
「お前、わかってんだろ?お頭の気持ち」
「・・・・・・・・それは、はい」
「惚れた女が他の男と居たらいいモンじゃねえだろうが」
「そんなもんですかねえ」
はて、と呟けば軽いため息が聞こえた。
「ガキだな」
「そうなんですよ。恋愛のれの字も知らない私、子供なんです」
「お頭は何処がいいんだかな」
「ほんとですよねえ」
青い空にタオルを掲げて苦笑する。
「・・・・・・・・・だが、仲間としては認めてる」
そしてトレバーさんのこの言葉に、
「・・・・えへへっ」
思いっきりの笑顔になる。
やっぱり嬉しい、そう言われると。
「で、どうなんだお頭のこと」
「え?・・・・・・えーと、そりゃ勿論好きですよ。大好きです」
「でも恋じゃない、と」
「・・・・・・・・・・・・たぶん」
首を傾げた私にやっぱり呆れたようなため息を吐いて、トレバーさんは今度こそ背を向けた。
「ま、お頭が本気になってるから、覚悟するこったな」
「・・・・・・・・はーい」
そうしてカゴに残った最後の1枚。
あ、これ船長さんのシャツ。
改めて大きいその服を干して、
「よしっ」
うん、壮観。
満足。
「お疲れさん」
「あ、船長さん」
終わったのを見計らったかのように現れた船長さんは、
「コックがケーキを焼いてくれるそうだ。食いに行かないか?」
「わ、嬉しいです!」
甘いお誘い。
「よし、行くか」
「はいっ」
返事をした瞬間にそっと腰に船長さんの手が添えられた。
・・・・・・・・乙女ならトキめく状況なんだけどなあ。
「あ、私飲み物いれます。船長さん珈琲でいいですか?」
「いいから座っとけ」
「え、でも」
「今一仕事終えたばっかだろう?」
と言う船長さんに加えて、
コックさんも「座っときな」って言ってくれたのでお言葉に甘えることにする。
席に着いてすぐ、良い香りの珈琲と美味しそうなケーキが目の前に運ばれてきた。
「うっわぁ美味しそう!有り難う御座います!」
「俺はほんとは酒がいいんだがな」
「いやいや、甘い物には珈琲か紅茶でしょう!」
「まあ、たまにはな」
そう言って苦笑した船長さんが珈琲に口をつけたのを見て、私もケーキにナイフを入れる。
ふんわりとしたケーキを一口に切って、
「いただきますっ」
口に入れた。
「・・・・・おいっしい!!すーっごく美味しいですこれ!」
「はははっそりゃ良かった」
また珈琲と合うんだこれが。
美味しいケーキと珈琲に舌鼓を打っていると、船長さんの優しい視線に気がついた。
・・・・・・・・・・・・何か恥ずかしい。
「・・・・・・・・・・船長さん、聞いてもいいですか?」
「ああ、何でも聞いてくれ。答えるかどうかはわからんが」
「私の何処を気に入って下さったんですか?」
ずばり単刀直入に聞いてみる。
別に聞いたからどうって訳じゃないけど。
ただ、気になったから。
「度胸のあるところだな」
「・・・・・・・たぶん何も考えてないだけですソレ」
「ま、そういうとこだ。何より可愛いしなァ」
「・・・・・・・・・・可愛い、ですか私」
「可愛い。あと美味そうだ」
美味そう、なんて言ってじぃっと私を見つめるので。
私はフォークを指した最後のケーキの欠片を船長さんの前に差し出した。
「どうぞ」
「・・・・・・・・・・・・・・そういう意味じゃなかったんだが」
「え」
「せっかくだ、もらおう」
困ったように笑った船長さんはそれから、あーんと口を大きく開けた。
え、嘘食べさせるの?
「・・・・・・・・如何ですか?」
少し緊張しながら船長さんの口にケーキを放り込む。
「あァ、美味い。今度はアコの手料理も頼みたいな」
「嬉しいですけど、私料理苦手なんですよ」
「スープ美味かったぞ?」
「アレは唯一の得意料理なんです。家庭料理はちょっと自信ないんですよねー」
「そうか?」
「そりゃ家では作ってましたけど。あんまり美味しいとは言われなかったですし」
好意を持ってくれていた息子以外からは。
「無理にとは言わないが、俺はいつでも歓迎すると言っておこう」
「・・・・・・・有り難う御座います」
・・・・・・・・・・もうちょっと料理の勉強しておけば良かった。
「にしても、アコにも苦手なものがあるんだな」
「そりゃそうですよ。雷は苦手って知ってますよね?あとは虫とかも嫌です」
「そういやそうだったな。アコも普通の女だったんだなァ」
やけに楽しそうに笑う船長さんに複雑な気持ち。
普通の女・・・って。
「船長さん私のことなんだと思ってるんですか・・・・」
「手強いとは覚悟してる」
「はあ・・・・・」
四皇に気に入ってもらえて、
手強いとまで言われる私っていったい何者なんだろう。
自分で自分がわからなくなってきた。
「で、どうなんだ?」
「は?どう、とは」
唐突に訳のわからない質問を受けて首を捻る。
「俺の女になる覚悟は出来そうか?」
そう来ますか。
「正直なところ、全然です」
「厳しいな」
おどけるような船長さんに、思うことがある。
でもそれを口にするのは戸惑う。
「船長さんのことは大好きなんですけど。側に居るとすっごく落ち着きますし」
そこまで言って、
「あ、お父さん?」
なんて思いついたことを冗談半分で言った瞬間ものすごい勢いで手を掴まれた。
「っ!?」
「次に同じこと言った時は2度とそんなこと言えないようなことしてやる」
掴まれた手が、目が本気で。
「・・・・・・・・もしかして私今船長さん傷つけてしまいましたか?」
「ん?」
「もしそうなら言って下さい。私・・・・人の気持ちに鈍感なんです。だから、傷つけてしまったなら、謝ります、から」
不安になりながら伝えれば船長さんの手がぱっと離れて、目の前でがっくりと肩を落とした。
「アコが謝るようなことじゃねェ、大丈夫だ」
「そう、ですか?」
「ああ。でもこれでまた1つアコの弱点発見だな」
「・・・・・・・・・・・じゃあ私も船長さんの弱点見つけます」
自分で話しておいてなんだけど、
船長さんばっかり私の弱点を知ってることが悔しくて。
そんな私に返ってきた答えは、
「すぐにわかるさ」
という短い言葉と、
手の甲に降ってきた唇だった。
+で、どうなの 終+
「・・・・・・・・・・・そうだな」
「決まってたら私の努力水の泡ですもん。ね」
「ああ、そうだな」
「ていうかこんなことになるってわかってたらもう少し頑張って痩せたんですけど。ねートレバーさん」
「・・・・・・・・・・・・・いい加減にしろよアコ」
気持ちの良い晴天。
私の隣で洗濯物を干してくれているトレバーさんは低い声でつまらなさそうに話す。
「だって全部本当のことですし」
「いちいち俺に言うな。・・・・もういいだろ?お頭に睨まれちまう」
もういいだろ?というのは、
これが罪滅ぼしだから、だ。
不必要に怖い思いをさせた、と。
「船長さんに?何でですか?」
仲間思いの船長さんなのに、と言ってみればトレバーさんに思いっきり睨まれた。
「お前、わかってんだろ?お頭の気持ち」
「・・・・・・・・それは、はい」
「惚れた女が他の男と居たらいいモンじゃねえだろうが」
「そんなもんですかねえ」
はて、と呟けば軽いため息が聞こえた。
「ガキだな」
「そうなんですよ。恋愛のれの字も知らない私、子供なんです」
「お頭は何処がいいんだかな」
「ほんとですよねえ」
青い空にタオルを掲げて苦笑する。
「・・・・・・・・・だが、仲間としては認めてる」
そしてトレバーさんのこの言葉に、
「・・・・えへへっ」
思いっきりの笑顔になる。
やっぱり嬉しい、そう言われると。
「で、どうなんだお頭のこと」
「え?・・・・・・えーと、そりゃ勿論好きですよ。大好きです」
「でも恋じゃない、と」
「・・・・・・・・・・・・たぶん」
首を傾げた私にやっぱり呆れたようなため息を吐いて、トレバーさんは今度こそ背を向けた。
「ま、お頭が本気になってるから、覚悟するこったな」
「・・・・・・・・はーい」
そうしてカゴに残った最後の1枚。
あ、これ船長さんのシャツ。
改めて大きいその服を干して、
「よしっ」
うん、壮観。
満足。
「お疲れさん」
「あ、船長さん」
終わったのを見計らったかのように現れた船長さんは、
「コックがケーキを焼いてくれるそうだ。食いに行かないか?」
「わ、嬉しいです!」
甘いお誘い。
「よし、行くか」
「はいっ」
返事をした瞬間にそっと腰に船長さんの手が添えられた。
・・・・・・・・乙女ならトキめく状況なんだけどなあ。
「あ、私飲み物いれます。船長さん珈琲でいいですか?」
「いいから座っとけ」
「え、でも」
「今一仕事終えたばっかだろう?」
と言う船長さんに加えて、
コックさんも「座っときな」って言ってくれたのでお言葉に甘えることにする。
席に着いてすぐ、良い香りの珈琲と美味しそうなケーキが目の前に運ばれてきた。
「うっわぁ美味しそう!有り難う御座います!」
「俺はほんとは酒がいいんだがな」
「いやいや、甘い物には珈琲か紅茶でしょう!」
「まあ、たまにはな」
そう言って苦笑した船長さんが珈琲に口をつけたのを見て、私もケーキにナイフを入れる。
ふんわりとしたケーキを一口に切って、
「いただきますっ」
口に入れた。
「・・・・・おいっしい!!すーっごく美味しいですこれ!」
「はははっそりゃ良かった」
また珈琲と合うんだこれが。
美味しいケーキと珈琲に舌鼓を打っていると、船長さんの優しい視線に気がついた。
・・・・・・・・・・・・何か恥ずかしい。
「・・・・・・・・・・船長さん、聞いてもいいですか?」
「ああ、何でも聞いてくれ。答えるかどうかはわからんが」
「私の何処を気に入って下さったんですか?」
ずばり単刀直入に聞いてみる。
別に聞いたからどうって訳じゃないけど。
ただ、気になったから。
「度胸のあるところだな」
「・・・・・・・たぶん何も考えてないだけですソレ」
「ま、そういうとこだ。何より可愛いしなァ」
「・・・・・・・・・・可愛い、ですか私」
「可愛い。あと美味そうだ」
美味そう、なんて言ってじぃっと私を見つめるので。
私はフォークを指した最後のケーキの欠片を船長さんの前に差し出した。
「どうぞ」
「・・・・・・・・・・・・・・そういう意味じゃなかったんだが」
「え」
「せっかくだ、もらおう」
困ったように笑った船長さんはそれから、あーんと口を大きく開けた。
え、嘘食べさせるの?
「・・・・・・・・如何ですか?」
少し緊張しながら船長さんの口にケーキを放り込む。
「あァ、美味い。今度はアコの手料理も頼みたいな」
「嬉しいですけど、私料理苦手なんですよ」
「スープ美味かったぞ?」
「アレは唯一の得意料理なんです。家庭料理はちょっと自信ないんですよねー」
「そうか?」
「そりゃ家では作ってましたけど。あんまり美味しいとは言われなかったですし」
好意を持ってくれていた息子以外からは。
「無理にとは言わないが、俺はいつでも歓迎すると言っておこう」
「・・・・・・・有り難う御座います」
・・・・・・・・・・もうちょっと料理の勉強しておけば良かった。
「にしても、アコにも苦手なものがあるんだな」
「そりゃそうですよ。雷は苦手って知ってますよね?あとは虫とかも嫌です」
「そういやそうだったな。アコも普通の女だったんだなァ」
やけに楽しそうに笑う船長さんに複雑な気持ち。
普通の女・・・って。
「船長さん私のことなんだと思ってるんですか・・・・」
「手強いとは覚悟してる」
「はあ・・・・・」
四皇に気に入ってもらえて、
手強いとまで言われる私っていったい何者なんだろう。
自分で自分がわからなくなってきた。
「で、どうなんだ?」
「は?どう、とは」
唐突に訳のわからない質問を受けて首を捻る。
「俺の女になる覚悟は出来そうか?」
そう来ますか。
「正直なところ、全然です」
「厳しいな」
おどけるような船長さんに、思うことがある。
でもそれを口にするのは戸惑う。
「船長さんのことは大好きなんですけど。側に居るとすっごく落ち着きますし」
そこまで言って、
「あ、お父さん?」
なんて思いついたことを冗談半分で言った瞬間ものすごい勢いで手を掴まれた。
「っ!?」
「次に同じこと言った時は2度とそんなこと言えないようなことしてやる」
掴まれた手が、目が本気で。
「・・・・・・・・もしかして私今船長さん傷つけてしまいましたか?」
「ん?」
「もしそうなら言って下さい。私・・・・人の気持ちに鈍感なんです。だから、傷つけてしまったなら、謝ります、から」
不安になりながら伝えれば船長さんの手がぱっと離れて、目の前でがっくりと肩を落とした。
「アコが謝るようなことじゃねェ、大丈夫だ」
「そう、ですか?」
「ああ。でもこれでまた1つアコの弱点発見だな」
「・・・・・・・・・・・じゃあ私も船長さんの弱点見つけます」
自分で話しておいてなんだけど、
船長さんばっかり私の弱点を知ってることが悔しくて。
そんな私に返ってきた答えは、
「すぐにわかるさ」
という短い言葉と、
手の甲に降ってきた唇だった。
+で、どうなの 終+