自由を求めて三千里
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「アコが今まで居た所とそう変わらないはずだ。むしろこっちの方が栄えてるようだな」
「・・・・・・そうか」
トレバーがこの場に居たら過保護だと怒られそうだなと思う。
次の島がどんな所なのか。
もしアコにとって良くない場所であるなら、素通りするつもりで居た。
ベンに聞いたところ、問題はなさそうだな。
「助かった、さすがベン」
「しかし、いいのか?」
「・・・・・・・・何のことだ?」
「てっきり泣いて引き止めるもんだと思ってたんだがな、俺は」
さすが付き合いの長いベンだ。
・・・・・・誤魔化せはしねェか。
「アコが自分の意志でここに残りたいと言わなきゃ意味ねえからな」
楽だ、とか。
寂しい、とか。
そんなんでやってけるほど甘い世界じゃない。
だからこそ。
「・・・・・・そうかい。ああ、そういや海軍がうろついてるって情報も入ってる。アコには問題ない話だが」
「長居はしない方がいいってことだな。まあ、ちょうどいいさ」
「ちょうどいい?」
「ああ」
その方が都合がいい。
俺の考えていることには、な。
「・・・・・・・お頭。アンタまた面倒なこと考えてるだろ」
「ははっさすがベンちゃん」
「誤魔化すな。・・・・巻き込まれるこっちの身にもなってくれ、たまには」
「たいしたことはしねェさ。付き合ってくれるんだろ?」
「・・・・・・・・・・内容次第だ」
至極嫌そうな顔のベンに協力してもらうには、さてどうやって話すかと考えた。
「アコの前途ある未来に乾杯っ!!」
「有り難う御座いまーすっ!」
この船は明日、島に着くらしい。
2週間。
・・・・・・・・短かった、なあ。
何か、あっという間だった。
「今まで世話になったな」
どん、と隣に腰を下ろしてぶっきらぼうに言ってきたトレバーさん。
「と・・・トレバーさぁぁんっ」
思い余って抱きつくと、物凄い勢いで剥がされた。
「面倒なことに巻き込むな」
「・・・・・・・・・・・面倒?」
「わかってねえならいい」
「だってっ!だってトレバーさんにそんな風に言ってもらえるなんて!」
嬉しい!
嬉しい・・・・けど、寂しい。
トレバーさんは私のコップにお酒を注いでくれて。
「ほら飲め。・・・・世話になったのは事実だからな」
「こちらこそ、お世話になりました。お部屋の手配とか」
「・・・・・嫌味か?」
「まさか。・・・・本当に、感謝してるんです」
言って注いでくれたお酒に口をつけた。
「どうだかな。・・・・まあ、元気でやれ」
「有り難う御座います。・・・・トレバーさんも、お元気で」
お元気で。
そう口にした瞬間物凄く寂しくなった。
『別れ』がじわじわと押し寄せてくる。
「う・・・・・・っ」
「・・・・・・・・おい」
ぼろぼろと零れ落ちる、涙。
「泣きませんよっ!泣いたらお酒も料理も勿体無い!」
「・・・泣いてんだろーが」
呆れたようなトレバーさんの突っ込みに恥ずかしくなって、
「私!お水もらってきます!」
立ち上がって厨房に向かった。
ああ、駄目だなあもう。
涙腺ゆるゆるだあ。
「お水もらいまーす」
蛇口を捻ってコップに水を入れて。
「ん・・・・・ぷはーっ」
一気飲み。
「明日だなあ、アコ」
「あ。船長さん」
後ろから聞こえた声に振り返れば、
いつの間にか立っていた船長さん。
「俺のとっておきの酒だ、美味いぞ」
「わ、有り難う御座います」
船長さんは持っていた酒瓶の中身を私の持っていたコップに並々と注いでくれた。
今お水飲んだばっかりなんだけど・・・・ま、いっか。
「んじゃ乾杯」
カチン、とグラスを合わせて注がれたお酒を飲む。
「・・・・・・・・うわ、美味しいコレ」
「はははっそりゃ何よりだ」
そうやって笑う船長さんの笑顔も。
・・・・・・もう見れないんだなあ。
「・・・・・・・・船長さんには本当に感謝してもしきれません」
「それはこっちもだ。掃除やら洗濯やら助かった」
「いえ、たいしたこと出来なくて・・・・・我が侭も、いっぱい言いました、し」
部屋を使いたいとか、雷の日には船長さんの邪魔しちゃったりとか。
「俺はそうは思わなかったが・・・じゃあ最後に1個我が侭言ってみろ」
「はい!?」
いきなり無茶振り!
「叶えてやるから。言ってみろ」
・・・・・・・・我が侭?
何だろ。
「・・・じゃあ、質問に答えて欲しいです。答えにくいと思うんですけど嘘ナシで」
「質問?」
「私は・・・・2週間だけだったけど、この船の仲間として役に立ってましたか?」
私は海賊でも何でもなくて。
この船を選んだのだってたまたまで。
洗濯と掃除くらいしか毎日出来なかったけど。
仲間だと言ってくれた船長さんに、
皆に、
恥じない仲間であれただろうか。
それは本当に気がかりで。
少しだけ目を丸くした船長さんの答えを祈るように待った。
船長さんははああ、と深いため息を吐いた。
そして、
「そんなの我が侭のうちに入らないって何回言えばわかるんだ、お前は」
いつもみたいに、頭にこつんと当たった拳。
「・・・・・・・・でも、答えにくいことですし」
「お前は俺達の大事な仲間だ」
さっきは当てられた拳が、大きな手のひらとなって私の頭を優しく包んでくれた。
その声が。
言葉が。
存在が・・・・・・・あまりに大きくて。
「っ・・・・・せん、ちょお、さんっ!!!」
止った涙が再び流れ出した。
「アコ」
「もいっこ、我が侭、いいですか?」
「ああ」
「このまま、泣いてもいいですか」
この涙は止められそうにないから。
そう伝えれば片腕に抱き寄せられた。
泣き続ける私の頭に振ってきた言葉は、
「・・・・・・・ほんとにアコは」
続きは聞けなかったけど、優しい声で。
こんなに優しくていい人の側を、
私は明日。
離れます。
+私は明日 終+
「・・・・・・そうか」
トレバーがこの場に居たら過保護だと怒られそうだなと思う。
次の島がどんな所なのか。
もしアコにとって良くない場所であるなら、素通りするつもりで居た。
ベンに聞いたところ、問題はなさそうだな。
「助かった、さすがベン」
「しかし、いいのか?」
「・・・・・・・・何のことだ?」
「てっきり泣いて引き止めるもんだと思ってたんだがな、俺は」
さすが付き合いの長いベンだ。
・・・・・・誤魔化せはしねェか。
「アコが自分の意志でここに残りたいと言わなきゃ意味ねえからな」
楽だ、とか。
寂しい、とか。
そんなんでやってけるほど甘い世界じゃない。
だからこそ。
「・・・・・・そうかい。ああ、そういや海軍がうろついてるって情報も入ってる。アコには問題ない話だが」
「長居はしない方がいいってことだな。まあ、ちょうどいいさ」
「ちょうどいい?」
「ああ」
その方が都合がいい。
俺の考えていることには、な。
「・・・・・・・お頭。アンタまた面倒なこと考えてるだろ」
「ははっさすがベンちゃん」
「誤魔化すな。・・・・巻き込まれるこっちの身にもなってくれ、たまには」
「たいしたことはしねェさ。付き合ってくれるんだろ?」
「・・・・・・・・・・内容次第だ」
至極嫌そうな顔のベンに協力してもらうには、さてどうやって話すかと考えた。
「アコの前途ある未来に乾杯っ!!」
「有り難う御座いまーすっ!」
この船は明日、島に着くらしい。
2週間。
・・・・・・・・短かった、なあ。
何か、あっという間だった。
「今まで世話になったな」
どん、と隣に腰を下ろしてぶっきらぼうに言ってきたトレバーさん。
「と・・・トレバーさぁぁんっ」
思い余って抱きつくと、物凄い勢いで剥がされた。
「面倒なことに巻き込むな」
「・・・・・・・・・・・面倒?」
「わかってねえならいい」
「だってっ!だってトレバーさんにそんな風に言ってもらえるなんて!」
嬉しい!
嬉しい・・・・けど、寂しい。
トレバーさんは私のコップにお酒を注いでくれて。
「ほら飲め。・・・・世話になったのは事実だからな」
「こちらこそ、お世話になりました。お部屋の手配とか」
「・・・・・嫌味か?」
「まさか。・・・・本当に、感謝してるんです」
言って注いでくれたお酒に口をつけた。
「どうだかな。・・・・まあ、元気でやれ」
「有り難う御座います。・・・・トレバーさんも、お元気で」
お元気で。
そう口にした瞬間物凄く寂しくなった。
『別れ』がじわじわと押し寄せてくる。
「う・・・・・・っ」
「・・・・・・・・おい」
ぼろぼろと零れ落ちる、涙。
「泣きませんよっ!泣いたらお酒も料理も勿体無い!」
「・・・泣いてんだろーが」
呆れたようなトレバーさんの突っ込みに恥ずかしくなって、
「私!お水もらってきます!」
立ち上がって厨房に向かった。
ああ、駄目だなあもう。
涙腺ゆるゆるだあ。
「お水もらいまーす」
蛇口を捻ってコップに水を入れて。
「ん・・・・・ぷはーっ」
一気飲み。
「明日だなあ、アコ」
「あ。船長さん」
後ろから聞こえた声に振り返れば、
いつの間にか立っていた船長さん。
「俺のとっておきの酒だ、美味いぞ」
「わ、有り難う御座います」
船長さんは持っていた酒瓶の中身を私の持っていたコップに並々と注いでくれた。
今お水飲んだばっかりなんだけど・・・・ま、いっか。
「んじゃ乾杯」
カチン、とグラスを合わせて注がれたお酒を飲む。
「・・・・・・・・うわ、美味しいコレ」
「はははっそりゃ何よりだ」
そうやって笑う船長さんの笑顔も。
・・・・・・もう見れないんだなあ。
「・・・・・・・・船長さんには本当に感謝してもしきれません」
「それはこっちもだ。掃除やら洗濯やら助かった」
「いえ、たいしたこと出来なくて・・・・・我が侭も、いっぱい言いました、し」
部屋を使いたいとか、雷の日には船長さんの邪魔しちゃったりとか。
「俺はそうは思わなかったが・・・じゃあ最後に1個我が侭言ってみろ」
「はい!?」
いきなり無茶振り!
「叶えてやるから。言ってみろ」
・・・・・・・・我が侭?
何だろ。
「・・・じゃあ、質問に答えて欲しいです。答えにくいと思うんですけど嘘ナシで」
「質問?」
「私は・・・・2週間だけだったけど、この船の仲間として役に立ってましたか?」
私は海賊でも何でもなくて。
この船を選んだのだってたまたまで。
洗濯と掃除くらいしか毎日出来なかったけど。
仲間だと言ってくれた船長さんに、
皆に、
恥じない仲間であれただろうか。
それは本当に気がかりで。
少しだけ目を丸くした船長さんの答えを祈るように待った。
船長さんははああ、と深いため息を吐いた。
そして、
「そんなの我が侭のうちに入らないって何回言えばわかるんだ、お前は」
いつもみたいに、頭にこつんと当たった拳。
「・・・・・・・・でも、答えにくいことですし」
「お前は俺達の大事な仲間だ」
さっきは当てられた拳が、大きな手のひらとなって私の頭を優しく包んでくれた。
その声が。
言葉が。
存在が・・・・・・・あまりに大きくて。
「っ・・・・・せん、ちょお、さんっ!!!」
止った涙が再び流れ出した。
「アコ」
「もいっこ、我が侭、いいですか?」
「ああ」
「このまま、泣いてもいいですか」
この涙は止められそうにないから。
そう伝えれば片腕に抱き寄せられた。
泣き続ける私の頭に振ってきた言葉は、
「・・・・・・・ほんとにアコは」
続きは聞けなかったけど、優しい声で。
こんなに優しくていい人の側を、
私は明日。
離れます。
+私は明日 終+