3千万ベリーの恋
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にこにこと愛らしい笑顔。
その手配書の少年は、
私が知ってる物語の主人公でした。
「ほう、1億ベリーか」
「ええ、なんでも七武海を倒したとか」
「そうか!会うのが楽しみだなあ」
私の隣でそんな会話がされている。
・・・・七武海って、クロコダイルのことだろうな。
ん?
ちょっと待てよ?
確かルフィの最初の懸賞金て。
3千万ベリー・・・・じゃなかったっけか。
しかもその金額って割りとすごいんじゃなかったっけか。
「アコ?どうかしたか?」
「い・・・今更ですけど3千万ベリーってかなり高額なのでは」
「ん?ああ、まあたいしたことはない」
「い・・・・今更ですけどシャンクスって実はすごい人?」
「だっはっは!そう言われると照れるな!」
いや、ルフィを助けたときからすごいのはわかってましたけど!
でも、何か違和感。
何だろう。
いや、なんにしても。
「掃除だけじゃ駄目だ・・・!」
「アコ?」
「3千万払わせておいて掃除だけじゃ駄目です!私何すればいいですかね!?」
「アコ・・・実はそのことなんだが」
言いにくそうなシャンクス。
と、その時。
ドン!という音と共に船が大きく揺れた。
そして、
「お頭!」
「・・・海軍か?」
「いえ、同業者で」
「そうか。今行く」
この会話を聞いてわかってしまった。
戦闘が始まるんだ、きっと。
だってここは海賊船。
そしてシャンクスは近くに居た男の人に、
「アコを部屋へ。蟻一匹入れさせるな」
と言って行ってしまった。
私の方を1回も見なかった。
私はその男の人に付き添われ部屋まで戻った。
外では砲弾のような音も聞こえる。
ベッドに座りながら考えてみる。
私に何が出来るか。
ぶっちゃけ戦闘ではまるで役に立たない。
まあシャンクスなら大丈夫なんだろうけども。
あ、戦闘後のご飯作り!
・・・・いや、立派なコックさんが居る。
・・・・掃除しか出来ないじゃん私。
あーどうしよう。
考えているうちに眠くなってきた。
あー・・・・ねむい。
考えることをやめて私はそのままベッドへ横になった。
不用意に戦いを挑んでくるものが減ったとはいえ、戦闘がまったくない訳じゃない。
しかしアコが来てこうもすぐに来るとは。
戦況はあっけなくうちの圧勝で終わった。
すぐにアコの居る部屋に向かう。
「お頭、お疲れ様です」
「ああ。アコの様子は?」
「いや、それが、その」
言いにくそうにするのも当然か。
泣いているのか、それとも俺の顔など見たくもないと言われたか。
「正直に言ってくれ」
「お頭、その、もうちっと声を落としてください」
「・・・・声?」
「へえ、お休みになっているようなので」
「・・・・・は?」
その言葉に中に入って様子を見る。
そこにはベッドに横になって眠っているアコの姿。
「泣きつかれて眠ったのか?」
「いや、泣いてはいなかったみたいっす。眠くなったから寝たみたいな」
「・・・・そうか」
礼を言って、それから既に始まっているだろう宴に参加するよう言ってその場を離れた。
部屋を出て廊下を曲がると、ヤソップが酒を持って待って居た。
「泣かれて嫌われたお頭を慰めてやろうと思ってよ」
「残念だが泣かれても嫌われてもいないさ」
「へぇ?」
「アコは寝てたよ」
「・・・・はァ?」
「だよなあ。俺も驚いた」
「ただもんじゃねえな」
「ああ、困ったことになった」
「あ?」
「・・・ますます手放せなくなった」
+手配書 終 +