自由を求めて三千里
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「ほらもっと飲めアコ!」
「・・・・や、もういいです」
「遠慮すんな!ほら、ぐーっといけ!」
宴が始まって1時間弱。
既にもう何杯飲んだかわからない。
参加するなら覚悟しとけ、と言われたものの、何の覚悟かわからないまま宴に参加した。
ぐ、っと押し付けられたお酒をやんわりと断ってもキリがない。
・・・・・・・・・・・覚悟ってこういうこと?
「い・・・・・頂きます」
仕方なく受け取って、一気に飲み干した。
「ぷはーっ!」
「おぉ、いい飲みっぷりだな!この肉も食え、美味いぞ」
「いやいや、女の子には肉より魚だぜ頭!」
「アコ用にデザートも作ってみたんだ、あとで食えよ」
「野菜も食えよアコー」
昨日以上に囲まれて、
たくさんの人に声をかけられた。
ええいもうこうなったら、
「有り難く頂きますともっ!!」
断れば女が廃る!
最後まで付き合おうじゃないか!
と意気込みを示せば、また周囲がどっと湧いた。
「よっしゃよく言ったぜアコ!」
「さすが家出娘!根性あるなァ!」
なんて、皆がまたおだてるもんだから。
私も調子に乗った。
数時間後。
結局私は酔い潰れて、意識を失った。
「あ・・・・ったま痛」
気がつけばそこはベッドの上。
「まァあんだけ飲めばそうなるだろうな」
聞こえた声に首を向ければ、船長さんが笑いながら水をくれた。
「あ」
「ほら、飲んどけ」
「・・・・・ご迷惑、おかけします」
水を受け取ってゆっくり喉に通す。
あー・・・・・美味しい。
「記憶はあるか?」
「ほとんどないです」
まだ痛む頭を押さえて何とか答える。
「アコ。何で断らなかった?」
じっと目を覗き込まれて。
まるで心の中まで見透かそうとしてるみたいだなと思った。
「・・・・・嬉しかったので」
「嬉しかった?」
「たくさん、声。かけてもらえて。嬉しくて、調子に乗りました」
えへへ、と笑うと船長さんもつられたように笑った。
「・・・・・・・それじゃ怒れないな」
「私、必要とされることが嬉しいんです。だからつい」
本当はここで、ごめんなさいと言わなきゃいけないんだけど。
「本当に嫌なことは断っていいんだ、アコ」
「・・・・・・・・・・はい」
「でなきゃいつか死ぬぞ」
「ご迷惑、おかけしました」
この言葉は出てくるのに。
肝心のごめんなさいが出て来ない。
「迷惑?誰が言った?」
「え?」
「こんなもん迷惑のうちに入らねェだろう。宴やりゃ毎回誰かしらは酔い潰れるモンだ」
「そ・・・・そんなもんですかね」
よくわかんないけど。
「でも、今回断れなかったのは私で」
だから、謝らなきゃいけなくて。
でも肝心の言葉は出て来そうにない。
すると、ぽん、と頭に手が置かれた。
そしてすぐに、わしゃわしゃと手を動かして。
・・・・・髪の毛乱れたなこれ。
「遠慮して断れなかった、って言ったら怒ってたとこだが。嬉しかったっつーんなら、合格だ」
「へ?」
今合格って言った?
「気持ち悪かったりするか?何なら船医を呼んでくるが」
今の言葉で全部ぶっ飛びました!
「あ、の。合格って」
ハテナマークでいっぱいの私に船長さんが笑って言うには。
「アコがちゃんと断れるか確かめてたんだ。悪いな」
「え?え?」
「男と一緒に寝ることも、キスも1人で働くのも断らない。俺の命令となりゃ何でもしそうだったろ?お前」
「ええええええ!?さすがに何でもはしませんよ!?」
驚いた私が慌てて反論すれば、今度は頭にチョップが降ってきた。
「なら断るんだな。あとよく考えてみろよ、アコ」
「・・・・・考える?」
何を?と首を捻れば、船長さんが苦笑した。
「洗濯、掃除、料理。ンなもんしなくても誰もお前を追い出そうとしない」
ガン、と頭を殴られたような衝撃。
「それは、でも」
「したかったらすりゃいいがお前1人で全部やろうとするな」
「・・・・・・・・・・・でも」
「この船に乗ったからには2週間だろうが俺の仲間だってことだ」
わかったか?と不敵に笑う船長さんがカッコ良くて、ああだからこの人は四皇なんだ。
そう強く思った。
「・・・・・・・・・・・私が、仲間?」
「嫌か?」
「いいえ、でも」
私が四皇、赤髪のシャンクスの仲間。
「でも、何だ?」
「でも私は・・・・・本当にただ家出しただけで」
海賊でも何でもない。
なのに。
「だぁから、細かいことは気にすんな」
細かくない!決して!
・・・・・・・・・でも。
「・・・・ま、いっか」
そう思ってしまった私の負けだ。たぶん。
「よし、じゃあこれ飲めアコ」
そんな私に満足そうな笑みを浮かべた船長さんが私に渡したのは、酒瓶。
え、嘘でしょ。
「迎え酒だ!」
「・・・・・・・・・勘弁して下さい」
ぺこりと頭を下げて断れば、
船長さんはまた楽しそうに笑った。
+その覚悟 終+
「・・・・や、もういいです」
「遠慮すんな!ほら、ぐーっといけ!」
宴が始まって1時間弱。
既にもう何杯飲んだかわからない。
参加するなら覚悟しとけ、と言われたものの、何の覚悟かわからないまま宴に参加した。
ぐ、っと押し付けられたお酒をやんわりと断ってもキリがない。
・・・・・・・・・・・覚悟ってこういうこと?
「い・・・・・頂きます」
仕方なく受け取って、一気に飲み干した。
「ぷはーっ!」
「おぉ、いい飲みっぷりだな!この肉も食え、美味いぞ」
「いやいや、女の子には肉より魚だぜ頭!」
「アコ用にデザートも作ってみたんだ、あとで食えよ」
「野菜も食えよアコー」
昨日以上に囲まれて、
たくさんの人に声をかけられた。
ええいもうこうなったら、
「有り難く頂きますともっ!!」
断れば女が廃る!
最後まで付き合おうじゃないか!
と意気込みを示せば、また周囲がどっと湧いた。
「よっしゃよく言ったぜアコ!」
「さすが家出娘!根性あるなァ!」
なんて、皆がまたおだてるもんだから。
私も調子に乗った。
数時間後。
結局私は酔い潰れて、意識を失った。
「あ・・・・ったま痛」
気がつけばそこはベッドの上。
「まァあんだけ飲めばそうなるだろうな」
聞こえた声に首を向ければ、船長さんが笑いながら水をくれた。
「あ」
「ほら、飲んどけ」
「・・・・・ご迷惑、おかけします」
水を受け取ってゆっくり喉に通す。
あー・・・・・美味しい。
「記憶はあるか?」
「ほとんどないです」
まだ痛む頭を押さえて何とか答える。
「アコ。何で断らなかった?」
じっと目を覗き込まれて。
まるで心の中まで見透かそうとしてるみたいだなと思った。
「・・・・・嬉しかったので」
「嬉しかった?」
「たくさん、声。かけてもらえて。嬉しくて、調子に乗りました」
えへへ、と笑うと船長さんもつられたように笑った。
「・・・・・・・それじゃ怒れないな」
「私、必要とされることが嬉しいんです。だからつい」
本当はここで、ごめんなさいと言わなきゃいけないんだけど。
「本当に嫌なことは断っていいんだ、アコ」
「・・・・・・・・・・はい」
「でなきゃいつか死ぬぞ」
「ご迷惑、おかけしました」
この言葉は出てくるのに。
肝心のごめんなさいが出て来ない。
「迷惑?誰が言った?」
「え?」
「こんなもん迷惑のうちに入らねェだろう。宴やりゃ毎回誰かしらは酔い潰れるモンだ」
「そ・・・・そんなもんですかね」
よくわかんないけど。
「でも、今回断れなかったのは私で」
だから、謝らなきゃいけなくて。
でも肝心の言葉は出て来そうにない。
すると、ぽん、と頭に手が置かれた。
そしてすぐに、わしゃわしゃと手を動かして。
・・・・・髪の毛乱れたなこれ。
「遠慮して断れなかった、って言ったら怒ってたとこだが。嬉しかったっつーんなら、合格だ」
「へ?」
今合格って言った?
「気持ち悪かったりするか?何なら船医を呼んでくるが」
今の言葉で全部ぶっ飛びました!
「あ、の。合格って」
ハテナマークでいっぱいの私に船長さんが笑って言うには。
「アコがちゃんと断れるか確かめてたんだ。悪いな」
「え?え?」
「男と一緒に寝ることも、キスも1人で働くのも断らない。俺の命令となりゃ何でもしそうだったろ?お前」
「ええええええ!?さすがに何でもはしませんよ!?」
驚いた私が慌てて反論すれば、今度は頭にチョップが降ってきた。
「なら断るんだな。あとよく考えてみろよ、アコ」
「・・・・・考える?」
何を?と首を捻れば、船長さんが苦笑した。
「洗濯、掃除、料理。ンなもんしなくても誰もお前を追い出そうとしない」
ガン、と頭を殴られたような衝撃。
「それは、でも」
「したかったらすりゃいいがお前1人で全部やろうとするな」
「・・・・・・・・・・・でも」
「この船に乗ったからには2週間だろうが俺の仲間だってことだ」
わかったか?と不敵に笑う船長さんがカッコ良くて、ああだからこの人は四皇なんだ。
そう強く思った。
「・・・・・・・・・・・私が、仲間?」
「嫌か?」
「いいえ、でも」
私が四皇、赤髪のシャンクスの仲間。
「でも、何だ?」
「でも私は・・・・・本当にただ家出しただけで」
海賊でも何でもない。
なのに。
「だぁから、細かいことは気にすんな」
細かくない!決して!
・・・・・・・・・でも。
「・・・・ま、いっか」
そう思ってしまった私の負けだ。たぶん。
「よし、じゃあこれ飲めアコ」
そんな私に満足そうな笑みを浮かべた船長さんが私に渡したのは、酒瓶。
え、嘘でしょ。
「迎え酒だ!」
「・・・・・・・・・勘弁して下さい」
ぺこりと頭を下げて断れば、
船長さんはまた楽しそうに笑った。
+その覚悟 終+