自由を求めて三千里
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することがない。
甲板でぼーっと海を見つめる。
・・・・・・・・・・・・・・暇。
船長さんに家事雑用は一切禁止されてるしなあ。
お昼ご飯は食べたし。
じゃあ何をすればいいかと。
「暇そうだな、アコ」
「・・・・・・・・・・・暇ですねえ」
私に家事雑用禁止命令を出した張本人、船長さんがやっぱり暇そうに私の隣に立った。
「家では家事しかしなかったのか?」
「そんなことないですよ。買い物行ったり、本読んだり」
でもここは海の上で、船の中。
買い物なんか出来る訳ないし。
「本ならあるぞ」
「さっき少し見せて頂きましたが、あまり興味をそそられなかったので」
「まあ、難しいモンは多いかもしれねェなァ。実は俺もほとんど読まん」
そう言って悪戯っぽい笑みを浮かべた船長さんを、可愛い人だなと思った。
「・・・・船長さん」
「ん?」
「何で家事雑用禁止なんですか、って聞いてもいいですか?」
それなく聞けなかったことを聞いてみる。
答えてくれなきゃそれでもいいと思ってたけど、
「あいつらが楽するだけだろう?」
・・・・・すんなりと答えてくれた。
「楽しちゃ駄目なんですか?」
「アコ1人が頑張りすぎるのは良くないってことだ」
「・・・・・良くないですか?」
「わかんねェか」
「・・・・・・・うーん」
「ま、肩の力抜いとけってことだ」
そう言って、へにゃ、と力の抜ける笑顔。
「はあ」
・・・・・気を張ってるつもりはないんだけどな。
「にしてもいー天気ですねえ」
船長さんの言うことはよくわからなくて、
見上げた空が青くて気持ちよかったので、天気の話でもしてみる。
「ああ、確かにな。んじゃ昼寝でもするか」
言いながら船長さんは眠そうに、でもとても気持ちよさそうに欠伸をして。
何だか私もつられて、
「ふあ・・・・・いいですねえ、お昼寝」
同じように欠伸が出た。
「よし、じゃあここに来い」
「え?」
どすん、と地べたに座った船長さんの片手が指すところは、船長さんがかいた胡坐の真ん中。
「はははっ流石に嫌か!」
「え、嫌っていうか、え?」
「寝るんだろう?俺も寝る」
え、寝るの?船長さんも?
「えーと、じゃあハイ。お邪魔します」
一瞬だけ戸惑って、私は言われた通りの場所に腰を下ろした。
「ん。じゃあ寝るか」
耳元で聞こえた優しくて低い声。
後ろから抱きかかえられるような形は少し恥ずかしいけど、何処か落ち着く。
「・・・・・・はい」
あ、何かそのまま目を閉じたら本当に眠くなってきた。
アコが目を閉じて数分後、静かな寝息が聞こえた。
「・・・・・・・・寝たのか」
海賊船に乗り込む度胸といい、
怖がりもせず怪しみもせず、よく働くことといい。
・・・・掴めない奴だな。
敵にしても、本当にただの家出娘にしても。
面白いことに変わりはない。
「カシラーっ・・・・・って」
俺を呼びに来たらしい仲間が、この状況を見て固まった。
「今寝たとこなんだ。起こすなよ」
「こりゃ失礼しやした。副船長がお呼びなんですが・・・・」
「悪いが今は無理だと伝えてくれ。俺も寝ることにした。それと、今日も宴にする」
「了解しました」
アコを起こさないようそっと片手で包み込むように抱きしめると、抱き心地のいい抱き枕になった。
ベンには後で怒られることにして、
今はこの気持ち良さに身を任せるべきだと判断した。
「う」
冷たい風が頬に当たって、それで目を覚ました。
・・・・・何か身体変。
お腹のあたりに置かれてる大きな手に、今の状況を思い出した。
あ、そっか。
お昼寝してたんだっけ。
昼寝なんて久し振りだったな。
起きたいけど、船長さん寝てるし下手に動くと船長さんまで起きちゃうしなあ。
いまだにぼーっとした頭で、何となく何をすればいいんだっけ、と考える。
掃除・・・はしなくてもいいし、
洗濯も。
今日の夕飯何にしよ、と考えて、それもいいんだった、と思い直した。
「起きてもすることないだろう?まだ寝とけ」
「わっ」
突然耳元で船長さんの声がして肩が跳ねた。
「よく寝たみてェだな」
「・・・・・おかげ様で」
驚いたおかげで一気に覚醒した。
「宴までまだ時間もある、何ならベッド使え」
「え、いやもう寝るのはいいです。ていうか今日も宴、なんですか?」
「ああ、さっき決めた」
「・・・・・・・・それはまた、どういった」
「細かいことは気にすんな。アコも参加しろよ?」
「え、でも」
何もしてないのに。
「無理にとは言わんが、参加するなら覚悟しておけ」
「覚悟?」
何処か無邪気なその笑顔に、
何となく不安を覚えた。
+することがない 終+
甲板でぼーっと海を見つめる。
・・・・・・・・・・・・・・暇。
船長さんに家事雑用は一切禁止されてるしなあ。
お昼ご飯は食べたし。
じゃあ何をすればいいかと。
「暇そうだな、アコ」
「・・・・・・・・・・・暇ですねえ」
私に家事雑用禁止命令を出した張本人、船長さんがやっぱり暇そうに私の隣に立った。
「家では家事しかしなかったのか?」
「そんなことないですよ。買い物行ったり、本読んだり」
でもここは海の上で、船の中。
買い物なんか出来る訳ないし。
「本ならあるぞ」
「さっき少し見せて頂きましたが、あまり興味をそそられなかったので」
「まあ、難しいモンは多いかもしれねェなァ。実は俺もほとんど読まん」
そう言って悪戯っぽい笑みを浮かべた船長さんを、可愛い人だなと思った。
「・・・・船長さん」
「ん?」
「何で家事雑用禁止なんですか、って聞いてもいいですか?」
それなく聞けなかったことを聞いてみる。
答えてくれなきゃそれでもいいと思ってたけど、
「あいつらが楽するだけだろう?」
・・・・・すんなりと答えてくれた。
「楽しちゃ駄目なんですか?」
「アコ1人が頑張りすぎるのは良くないってことだ」
「・・・・・良くないですか?」
「わかんねェか」
「・・・・・・・うーん」
「ま、肩の力抜いとけってことだ」
そう言って、へにゃ、と力の抜ける笑顔。
「はあ」
・・・・・気を張ってるつもりはないんだけどな。
「にしてもいー天気ですねえ」
船長さんの言うことはよくわからなくて、
見上げた空が青くて気持ちよかったので、天気の話でもしてみる。
「ああ、確かにな。んじゃ昼寝でもするか」
言いながら船長さんは眠そうに、でもとても気持ちよさそうに欠伸をして。
何だか私もつられて、
「ふあ・・・・・いいですねえ、お昼寝」
同じように欠伸が出た。
「よし、じゃあここに来い」
「え?」
どすん、と地べたに座った船長さんの片手が指すところは、船長さんがかいた胡坐の真ん中。
「はははっ流石に嫌か!」
「え、嫌っていうか、え?」
「寝るんだろう?俺も寝る」
え、寝るの?船長さんも?
「えーと、じゃあハイ。お邪魔します」
一瞬だけ戸惑って、私は言われた通りの場所に腰を下ろした。
「ん。じゃあ寝るか」
耳元で聞こえた優しくて低い声。
後ろから抱きかかえられるような形は少し恥ずかしいけど、何処か落ち着く。
「・・・・・・はい」
あ、何かそのまま目を閉じたら本当に眠くなってきた。
アコが目を閉じて数分後、静かな寝息が聞こえた。
「・・・・・・・・寝たのか」
海賊船に乗り込む度胸といい、
怖がりもせず怪しみもせず、よく働くことといい。
・・・・掴めない奴だな。
敵にしても、本当にただの家出娘にしても。
面白いことに変わりはない。
「カシラーっ・・・・・って」
俺を呼びに来たらしい仲間が、この状況を見て固まった。
「今寝たとこなんだ。起こすなよ」
「こりゃ失礼しやした。副船長がお呼びなんですが・・・・」
「悪いが今は無理だと伝えてくれ。俺も寝ることにした。それと、今日も宴にする」
「了解しました」
アコを起こさないようそっと片手で包み込むように抱きしめると、抱き心地のいい抱き枕になった。
ベンには後で怒られることにして、
今はこの気持ち良さに身を任せるべきだと判断した。
「う」
冷たい風が頬に当たって、それで目を覚ました。
・・・・・何か身体変。
お腹のあたりに置かれてる大きな手に、今の状況を思い出した。
あ、そっか。
お昼寝してたんだっけ。
昼寝なんて久し振りだったな。
起きたいけど、船長さん寝てるし下手に動くと船長さんまで起きちゃうしなあ。
いまだにぼーっとした頭で、何となく何をすればいいんだっけ、と考える。
掃除・・・はしなくてもいいし、
洗濯も。
今日の夕飯何にしよ、と考えて、それもいいんだった、と思い直した。
「起きてもすることないだろう?まだ寝とけ」
「わっ」
突然耳元で船長さんの声がして肩が跳ねた。
「よく寝たみてェだな」
「・・・・・おかげ様で」
驚いたおかげで一気に覚醒した。
「宴までまだ時間もある、何ならベッド使え」
「え、いやもう寝るのはいいです。ていうか今日も宴、なんですか?」
「ああ、さっき決めた」
「・・・・・・・・それはまた、どういった」
「細かいことは気にすんな。アコも参加しろよ?」
「え、でも」
何もしてないのに。
「無理にとは言わんが、参加するなら覚悟しておけ」
「覚悟?」
何処か無邪気なその笑顔に、
何となく不安を覚えた。
+することがない 終+