自由を求めて三千里
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私の両親は幼い頃海賊に殺された。
それからずっと親戚の家でお世話になってる。
「口答えするんじゃないわよ!殴るわよ!?」
「どうぞー。どうせなら痣が出来るくらい派手にどうぞ?」
「っ!?」
「ご近所さんに言いふらして息子さんにも言いますけど」
とっても噂好きのご近所さんに、
私に好意を寄せてくれている息子。
親戚のおばさんはあんまり良い人じゃないけど、
幸いにも環境は悪くない・・・・と思ってた。
でも、
「誰が面倒見てると思ってるの!?」
「誰が家事全般やってると思ってるんですかー。働いてお金稼いでるのも私なんですけど」
正直もう疲れた。
「っもういいわ!」
最近おばさんの風当たりが強くなったのは、
息子が私に好意を寄せていることを知ったから。
私にはその気はまったくないし、
実は貯金も密かに貯めていて。
色々面倒になってきた。
よし、家出しよ。
憤慨したおばさんの背中を見送りつつ、
今まで有難う御座いました、と心の中で感謝した。
・・・で、簡単な荷物を持って出てきたはいいけど。
さてどうしよう。
とりあえず私はここを出たい。
違う場所に行きたい。
ふらふらと港を歩いてると、物凄く大きい船を見つけた。
・・・・・・・・これだけ大きい船なら、
隠れるところがありそう。
と、船から出てきた人達が何かを話していて。
「あとはあの辺の荷物と・・・あっちのもそうか?」
「ああ、あとはあそこのもだな」
「了解」
・・・・・・・・・・・・あの辺、と指された先の積荷を見て。
私はそこの1つに潜り込むことを決めた。
「よっこい、しょ、っと・・・・何だこれ重いな」
「酒がいっぱい入ってんじゃねえのか?割らないように気をつけろよ」
「あいよ」
真っ暗な箱の中で、私は必死にうずくまり、息を潜める。
しばらく移動があった後、
どすん!と下に落とされた。
「っ!!」
驚いて思わず声が出そうになって、慌てて口を押さえたけど。
それから暫くはただ黙って動かないようにして。
完全に人の出入りがなくなった後、こっそりと箱から出た。
すると直後聞こえたのは、
「出航ー!!」
よし!動いた!
あとは出来ば次の島まで見つからないようにしなきゃだ。
うん、上出来上出来。
と安心したところで、いきなり目の前のドアが開いた。
「え」
「・・・・・・・・・こりゃ驚いた」
私も驚いてるけど、向こうも驚いた顔をしている。
入ってきたのは、赤髪、目に傷、ヒゲ面のおっさん。
・・・・・・悪そうな顔してるなあ。
もしかしてここ海賊船だったのかなあ。
「あ。えーと」
「お嬢さんは何者だ?」
目の前のおっさんは今度は面白そうにそう問いかけてきた。
「初めまして、私アコと言います。出来ればこの船の船長さんとお話しさせて頂きたいんですけど」
「ああ、それは俺だ」
何と、偶然にも目の前のおっさんが船長さんだった。
これはラッキー。
「これは失礼しました。実は私家出娘でして。あ、娘って年齢でもないんですけど」
「面白いお嬢さんだな。それで?何でうちの船に居たんだ?」
「たまたま私が入れそうな積荷があったので。それでその、船長さんにお願いが」
「内容次第だな」
しげしげと私を興味深そうに見つめる船長さんに、私はにっこりと笑いかけた。
人にお願いする時は笑顔で。
これ基本。
「次の島まで私をこの船に乗せてもらえませんか?雑用ならだいたいのことは出来ます。
無理ならせめて浮き輪貸してもらえると有難いです」
私の『お願い』を聞いて船長さんは首を傾げた。
「浮き輪?」
「泳いで近くの島まで行きたいので」
「・・・・・・・泳いで行く気か?」
「まあ、乗せて頂けないなら仕方ないです」
そう返せば、船長さんは一瞬きょとん、とした後すぐに弾けたように笑い出した。
「だっはっはっは!!面白いお嬢さんだな!いや、アコっつったか」
「・・・・・・・・有り難う御座います?」
「乗船を認める。次の島に着くのは2週間後の予定だが問題あるか?」
「いいえ、まったく。有り難う御座います!」
こうも話が上手く行くなんて!
よろしく、と言って手を出してくれた船長さんと握手して。
「よろしくお願いします。ちなみにここはどういう船なんですか?」
早速気になってたことを聞いてみる。
「海賊船だ」
「あ、やっぱそうなんですねー。あ!船長さんのお名前聞いてもいいですか?」
「ああ、俺はシャンクスだ」
「・・・・・・・・・・・・・あれ」
海賊で。
赤い髪で。
・・・・・・・・シャンクスって人が船長って何処かで聞いたことある。
「四皇?」
「そう呼ばれている」
恐る恐る尋ねると、ゆっくりと頷きが返ってきた。
「・・・・・・・・・・・マジですか」
「やめておくか?」
苦笑しながらそう聞いてくる船長さんに、私は少しだけ考えて首を横に振った。
「船長さんが許してくれるなら、ここに居たいです」
「海賊船に、か?家に居たほうが安全だと思うが」
「何ていうか、居場所がないんです。本当の家族も居ないし」
「親は?」
「海賊に殺されました」
淡々と話す私を見る船長さんもやっぱり何処か淡々としていて、話しやすいなと思った。
「それで海賊の船に乗るのか」
「乗せてくれるならどんな船でも構いませんし。それに私人を見る目はあると思うんですよねー」
何より、あの家に居るよりいいと思った。
本当の自分で生きて行きたい。
「じゃあ最初の仕事だ、アコ」
「っはい!」
「皆に紹介されること、あと宴に出ることだ」
「・・・・・・・・・それ仕事って言いませんよね」
やる気を入れた私はがっくりと肩を落とした。
けど、
ぽん、と優しく頭に落とされた手。
「うちの奴らは手強いぞ」
覗き込まれた力強い瞳。
私はもう1回、
「はい!」
力いっぱい返事をした。
+家出先は海賊船 終+
それからずっと親戚の家でお世話になってる。
「口答えするんじゃないわよ!殴るわよ!?」
「どうぞー。どうせなら痣が出来るくらい派手にどうぞ?」
「っ!?」
「ご近所さんに言いふらして息子さんにも言いますけど」
とっても噂好きのご近所さんに、
私に好意を寄せてくれている息子。
親戚のおばさんはあんまり良い人じゃないけど、
幸いにも環境は悪くない・・・・と思ってた。
でも、
「誰が面倒見てると思ってるの!?」
「誰が家事全般やってると思ってるんですかー。働いてお金稼いでるのも私なんですけど」
正直もう疲れた。
「っもういいわ!」
最近おばさんの風当たりが強くなったのは、
息子が私に好意を寄せていることを知ったから。
私にはその気はまったくないし、
実は貯金も密かに貯めていて。
色々面倒になってきた。
よし、家出しよ。
憤慨したおばさんの背中を見送りつつ、
今まで有難う御座いました、と心の中で感謝した。
・・・で、簡単な荷物を持って出てきたはいいけど。
さてどうしよう。
とりあえず私はここを出たい。
違う場所に行きたい。
ふらふらと港を歩いてると、物凄く大きい船を見つけた。
・・・・・・・・これだけ大きい船なら、
隠れるところがありそう。
と、船から出てきた人達が何かを話していて。
「あとはあの辺の荷物と・・・あっちのもそうか?」
「ああ、あとはあそこのもだな」
「了解」
・・・・・・・・・・・・あの辺、と指された先の積荷を見て。
私はそこの1つに潜り込むことを決めた。
「よっこい、しょ、っと・・・・何だこれ重いな」
「酒がいっぱい入ってんじゃねえのか?割らないように気をつけろよ」
「あいよ」
真っ暗な箱の中で、私は必死にうずくまり、息を潜める。
しばらく移動があった後、
どすん!と下に落とされた。
「っ!!」
驚いて思わず声が出そうになって、慌てて口を押さえたけど。
それから暫くはただ黙って動かないようにして。
完全に人の出入りがなくなった後、こっそりと箱から出た。
すると直後聞こえたのは、
「出航ー!!」
よし!動いた!
あとは出来ば次の島まで見つからないようにしなきゃだ。
うん、上出来上出来。
と安心したところで、いきなり目の前のドアが開いた。
「え」
「・・・・・・・・・こりゃ驚いた」
私も驚いてるけど、向こうも驚いた顔をしている。
入ってきたのは、赤髪、目に傷、ヒゲ面のおっさん。
・・・・・・悪そうな顔してるなあ。
もしかしてここ海賊船だったのかなあ。
「あ。えーと」
「お嬢さんは何者だ?」
目の前のおっさんは今度は面白そうにそう問いかけてきた。
「初めまして、私アコと言います。出来ればこの船の船長さんとお話しさせて頂きたいんですけど」
「ああ、それは俺だ」
何と、偶然にも目の前のおっさんが船長さんだった。
これはラッキー。
「これは失礼しました。実は私家出娘でして。あ、娘って年齢でもないんですけど」
「面白いお嬢さんだな。それで?何でうちの船に居たんだ?」
「たまたま私が入れそうな積荷があったので。それでその、船長さんにお願いが」
「内容次第だな」
しげしげと私を興味深そうに見つめる船長さんに、私はにっこりと笑いかけた。
人にお願いする時は笑顔で。
これ基本。
「次の島まで私をこの船に乗せてもらえませんか?雑用ならだいたいのことは出来ます。
無理ならせめて浮き輪貸してもらえると有難いです」
私の『お願い』を聞いて船長さんは首を傾げた。
「浮き輪?」
「泳いで近くの島まで行きたいので」
「・・・・・・・泳いで行く気か?」
「まあ、乗せて頂けないなら仕方ないです」
そう返せば、船長さんは一瞬きょとん、とした後すぐに弾けたように笑い出した。
「だっはっはっは!!面白いお嬢さんだな!いや、アコっつったか」
「・・・・・・・・有り難う御座います?」
「乗船を認める。次の島に着くのは2週間後の予定だが問題あるか?」
「いいえ、まったく。有り難う御座います!」
こうも話が上手く行くなんて!
よろしく、と言って手を出してくれた船長さんと握手して。
「よろしくお願いします。ちなみにここはどういう船なんですか?」
早速気になってたことを聞いてみる。
「海賊船だ」
「あ、やっぱそうなんですねー。あ!船長さんのお名前聞いてもいいですか?」
「ああ、俺はシャンクスだ」
「・・・・・・・・・・・・・あれ」
海賊で。
赤い髪で。
・・・・・・・・シャンクスって人が船長って何処かで聞いたことある。
「四皇?」
「そう呼ばれている」
恐る恐る尋ねると、ゆっくりと頷きが返ってきた。
「・・・・・・・・・・・マジですか」
「やめておくか?」
苦笑しながらそう聞いてくる船長さんに、私は少しだけ考えて首を横に振った。
「船長さんが許してくれるなら、ここに居たいです」
「海賊船に、か?家に居たほうが安全だと思うが」
「何ていうか、居場所がないんです。本当の家族も居ないし」
「親は?」
「海賊に殺されました」
淡々と話す私を見る船長さんもやっぱり何処か淡々としていて、話しやすいなと思った。
「それで海賊の船に乗るのか」
「乗せてくれるならどんな船でも構いませんし。それに私人を見る目はあると思うんですよねー」
何より、あの家に居るよりいいと思った。
本当の自分で生きて行きたい。
「じゃあ最初の仕事だ、アコ」
「っはい!」
「皆に紹介されること、あと宴に出ることだ」
「・・・・・・・・・それ仕事って言いませんよね」
やる気を入れた私はがっくりと肩を落とした。
けど、
ぽん、と優しく頭に落とされた手。
「うちの奴らは手強いぞ」
覗き込まれた力強い瞳。
私はもう1回、
「はい!」
力いっぱい返事をした。
+家出先は海賊船 終+
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