3千万ベリーの恋
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「・・・・皆まだお酒飲んでんの?」
アイスケーキ食べたいんだけどな。
「俺達はいいから食っちまえよアコ」
「んーじゃあそうさせてもらいます」
確かにこのままじゃいつまでも食べれそうにないので、ヤソップさんのお言葉に甘えて先に食べることにした。
冷凍庫からアイスケーキを取って、コックさんに1人ぶんだけ切り分けてもらった。
皆がお酒飲んでる中1人で食べるのも何だし、部屋に戻って1人で食べるかな。
お皿に盛られた美味しそうなアイスケーキの味を想像しながら部屋に戻った。
座ってフォークを手にしたとこで、コンコン、とノック音。
そして、
「アコ、いるのか?」
シャンクスの声。
「居るよー?」
そう返すとすぐに入ってきた。
「どした?」
「アイスケーキを取りに行ったまま、なかなか帰ってねえんで何処に行ったのかと思ってな」
「ああ、ごめん。皆お酒飲んでる中1人でアイスケーキってのもなあと思って」
「そうか・・・じゃあ俺もここで食うかな」
「お酒はもういいの?」
「ああ、アコと居たいんだ」
・・・・なんちゅー口説き文句。
でもちょうどいいかもしれない。
今この部屋には私とシャンクスの2人だけ、だし。
「・・・あのさ、シャンクス。こないだの返事、していい?」
「・・・・ああ」
フォークを置いて、私はシャンクスを見つめた。
カチャ、という音が静かな部屋に響いた。
「えっと、まだうまくまとまってないんだけどさ。私は・・・自分の世界には家族も居て友達もいて、仕事もあるんだ」
「・・・そうだな」
シャンクスは笑って聞いてくれてる。
だから私も、安心して落ち着いて話すことが出来る。
「でもってこっちにはシャンクスや皆が居てくれる」
こちらに来て出会った人達。
「欲しいものはないのかって聞かれた時、私が何て答えたか覚えてる?」
「休憩中はゆっくりご飯食べたい。閉店作業を増やさないで欲しい、
帰ったらおかえりって言ってくれて、ご飯を作ってくれる人が居たらいい。だろ?」
たぶん一言一句間違えてない。
ゆっくりだったけど正確なその言葉に嬉しさがこみあげた。
そして思う。
うん、やっぱり私シャンクスが好きだ、と。
「その通り。・・・ここでは閉店作業はないけどさ。でも皆は私がただいまって言ったらおかえりって言ってくれる。
コックさんが美味しいご飯作ってくれる。私が掃除をすると、喜んでくれる」
船が綺麗だといいものだと喜んでくれた人がいた。
美味しそうに食べる姿が嬉しいと、言ってくれた人がいた。
「皆優しくて、楽しくて。前にも言ったけど居心地いいなーって思ってた。でも」
「・・・でも?」
「この世界のことを私は知らなさすぎた」
四皇のこと、覇気のこと。
新世界のことさえも。
「ちょっとショックだったんだぁ。お前の居るべき場所はここじゃないって言われたみたいで」
中途半端な知識しか持ってない私は、中途半端な存在なのかもと。
「でもその後考えてみたら自分の世界のことだって全部知ってる訳じゃないしま、いっかってなって」
「ははっアコらしいな」
「でしょ?・・・でさ、シャンクス。聞きたいんだけど」
「ん、何だ?」
「・・・・私には3千万の価値はあった?」
シャンクスは一瞬だけ驚いた顔をして、けれどすぐに笑ってくれた。
「勿論だ」
お金は払ってないけど。
それでも50円だった私を3千万にあげてくれたシャンクスには感謝しているから。
「そっか。良かった」
その言葉が聞けて、良かった。
「じゃあ改めて言うけど、こんな私を可愛いって言ってくれて有難う。好きだって言ってくれて有難う」
それから思いっきり笑って見せた。
「私もシャンクスが好きだよ。出来ることならずっとシャンクスの隣に、ここに居たい」
「・・・いいのか?アコ」
「いいんだよ。これが私らしく考えた結果だし」
「アコ」
「これからもよろしく、シャンクス」
「ああ、こちらこそ、頼む」
そう言って笑ったシャンクスのもとに行こうとして、私は目に入ったそれを見て動きを止めた。
「あー!!!」
「アコ?」
「・・・・アイス、ケーキ、溶けちゃった」
+溶けちゃった 終+