3千万ベリーの恋
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「有難う御座いましたー」
ひんやりとした店内から出て、太陽の光を浴びた。
「いいのが買えてよかった!何食べよっかなー」
お姉さん達に教えてもらったお店で購入したアイスケーキは、1つで数種類の味が楽しめる物にした。
これなら皆で楽しめるしね。
「もっと買っても良かったんだぞ?」
お金も出してくれた上にケーキを持ってくれているシャンクス。
・・・ケーキより甘いんじゃないのか、この人。
「だって皆酒飲みばっかでアイスケーキなんてあんまり食べないじゃん」
「アコが食えばいい」
「私を太らせてどうする気ですか。ただでさえ細くないってのに」
じろ、と軽く睨んでみると、シャンクスは笑った。
「俺は気にしねェぞ。それにアコは抱き心地が良くて好きだしな」
それはつまり太ってるってことか。
でもシャンクスには何を言っても無駄そうなので、言うのをやめた。
そのまま大事なアイスケーキを冷凍庫に入れるため船に戻ろうと歩いていると、
不意にシャンクスが足を止めた。
「・・・シャンクス?」
「アコ。もし、の話だ」
またもしもの話?
何だろ。
「・・・うん?」
「もし、帰れる方法がわかったかもしれないと言ったら、どうする」
「・・・・・・・・・・・・え、」
一瞬自分の耳を疑った。
「グランドラインで過去起こったことを調べていたのはベンから聞いただろう?」
「・・・・うん」
「そこでわかったことがある。ただ絶対に帰れる保障はない」
耳に入ってくる言葉を懸命に聞く。
「・・・・アコ」
真剣な顔の、シャンクス。
「ここでこれを言うのはどうかとも思うが、好きだ」
・・・・・・ああ、どうしよう。
怖がっているような、泣きそうな、そんな表情をしたアコから目が離せなかった。
任せろ、と言ったあの時の自分が憎い。
泣かせてみたかった、けれど。
あんな風に泣きながら帰りたいと言われたのを思い出すと、どうしようもない。
帰したくないなどと言えない。
アコは少し怒ったような顔になり、小さく呟いた。
「・・・ここでこんなこと、言わない方がいいのはわかってるんだけど」
「・・・・ああ」
どんな答えでも受け入れる覚悟はしてきた。
が、
「返事、後でもいい?・・・アイスケーキ溶けちゃう」
苦しそうに顔を歪めて何を言うかと思えば、アコの口から出た言葉はそれだった。
・・・・予想外過ぎる。
何も言わない俺をどう思ったのか、アコは泣きそうな顔になった。
そして、
「や!あの、せっかくシャンクスが買ってくれた物だし、溶けたら皆にも申し訳ないし!
シャンクスの気持ちをないがしろにしてる訳じゃなくてね」
そう早口でまくしたてた。
まさか、こんな道端で好きだと、言われるとは思わなかった。
けれど1番の予想外は、シャンクスが手に持っているアイスケーキだ。
今すぐに返事なんて出来ない。
でも時間かけてたらアイスケーキはアイスだから溶けちゃう。
・・・こんな時にも食べ物のことを考えるなんて最低だと思うけど、でも早く船に戻りたかった。
アイスケーキのことと、
泣きそうな自分を見せないために。
とはいえこれは本当に怒られても仕方ないと思ってる。
弁解はしたけど、シャンクスが怒るのを覚悟した。
でも、
「だっはっははは!!!そう来たか!」
・・・・シャンクスは笑った。
「そうだな、せっかくアコが選んだアイスケーキだ。早く帰ってあいつらに食わしてやるか」
「・・・・・ありがと」
それだけ言うのが、精一杯だった。
+溶けちゃう 終+