3千万ベリーの恋
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「これで四皇赤髪のシャンクスの首はもらったな!」
・・・・隣でいかついおっさんがそう言って笑った。
私はといえば、縄で身体をぐるぐるに巻かれて座らされている。
いわゆる誘拐というやつらしいですぜ。
何でこんなことになったのかというと、
嵐を乗り越えて数日後、見えたのが今居るこの島。
着いたのがちょうどお昼時だった為シャンクスとベンさん、ヤソップさんにルウさんでご飯を食べにレストランへ。
美味しくご飯を頂き、私は1人お手洗いへ行った。
そこで頭をがつん、ですよ。
気づいたらこんなことになってました、と。
ぶっちゃけここが何処かもわかんない。
船でないことはわかるんだけどなー。
私の隣に主犯と思われるいかついおっさん1人、そして入り口付近に5、6人居るから逃げられないことに変わりはないんだけども。
「・・・あの、四皇って何ですか」
この際だから敵さんにも聞いてみることにした。
ずっと聞いてみようと思って忘れてたことだ。
「ああ?本気で聞いてんのか?」
「はあ、まあ」
「この新世界に皇帝のように存在する4つの大海賊のことだ」
ほう、シャンクスもその1つってことか。
なるほどね。
「へーシャンクスってすごかったんだ」
「ああ、そして今日俺達がその首をとる!」
それは無理だと思う。
でもそれは言わないことにする。
アコがトイレに行ったきり帰って来ない。
「・・・探しに行ってくる」
そう言って立ち上がったところで、持っていた子電伝虫が着信を知らせた。
『プルプルプルプルプル』
このタイミングでかかってくるのを見ると良い知らせではなさそうだ。
受話器を取ると、知らぬ男の声。
『赤髪だな?女は預かった。返して欲しけりゃ1人で指定の場所まで来い』
「・・・アコは無事なんだな?」
『声を聞かせてやる、おら』
『アイス食べたい』
・・・少し強張った、確かにアコの声だった。
『はあ?』
『アイス。トリプルがいい。バニラとチョコとストロベリー』
『お前自分の立場わかってんのか?シングルにしとけ!』
『シャンクスは買ってくれたのにー』
『バニラとチョコとストロベリーだな!・・・おい赤髪!聞いたな!?』
「・・・ああ、聞いた」
ちら、と周りを見るとヤソップとルウが笑いを堪えているのがわかった。
人質という状況でこんなことを言えるのはアコしか居ない。
『てめえの女のしつけくらいちゃんとしとけ!ったく』
「・・・すまん」
そこがアコのいいところなんだが。
しかしそれは俺だけがわかっていればいい。
それから男は居場所を簡単に伝えて通信を切った。
「アイスを、しかもトリプルを要求する人質なんて聞いたことねえな。さすがお頭の認めた女だ」
「俺なら肉を要求するけどなー」
「ったくアコは・・・トリプルアイスくらい俺に言えば3個でも4個でも買ってやるってのに」
「4個も食ったら腹壊すぞ」
ベンのツッコミに確かに、と思いながら今度こそ立ち上がった。
「ほら、買ってきてやったぞ」
「マジで」
言いながら手と足の縄を切ってくれた主犯さん。
駄目モトで言ってみただけなんだけど。
・・・人生2度目のトリプルアイスがまさか誘拐真っ最中なんてなあ。
下っ端の人から受け取ったトリプルアイスを私に差し出す主犯さんにお礼を言って受け取った。
「・・・・ん?これ、ストロベリーじゃないですよね」
上から順に見ていくと、積み重ねられたアイスの色は、白、茶色、薄茶色。
ストロベリーならピンクじゃね?
「ストロベリーは売り切れだった。キャラメルだ、我慢しろ」
「ええええ!キャラメルこないだ食べたのに!ストロベリーが食べたかったのに!」
「ないものは仕方ないだろうが!」
ストロベリーがなかったことはショックだったけど、言われてみれば確かに主犯の人の言うとおりだ。
ないものは仕方ない、諦める。
「我が侭言いました・・・ごめんなさい」
「わ・・わかればいいんだ」
主犯さんは結構いい人なのかもしれない、と人質ながらに少し思った。
+人質事情 終+