3千万ベリーの恋
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初めての島とお別れして、出航して2日目。
海、大荒れ。
雨は横殴りに降り、風はごおお、と船を揺らし続ける。
台風のようだ。
「ふおおおお!!」
私は自分の部屋で壁に張り付いて必死に踏ん張っている。
皆は慣れているとはいえ、やることがあるようで忙しいようだ。
ガコン、とまた大きく船が揺れた。
落ち着け私。
大丈夫、こんなのたいしたことないってベンさんも言ってたし。
「アコ入るぞー」
必死で壁にしがみついているところにのんびりとした声音。
返事をする間もなく入ってきたのは、
シャンクスで。
「レディの部屋に勝手に入るとは!」
「ははっ結構余裕があるみてえだな」
「あるか!・・・船沈んだりしないよね」
「不安なら俺にしがみついてていいぞ」
「却下で」
まあシャンクスがこんな風にしてられるってことは実際大丈夫なんだろうけど。
・・・船が沈むかも、なんて本気で思ってた訳じゃなかった。
それでも不安があったのは確かだ。
なのにシャンクスが部屋に来たらその僅かな不安も消えた気がする。
「・・・そういえばシャンクスって昔から海賊だったの?」
「昔はある海賊船の見習いをやっていたが」
「へー。見習いだったんだ。船長ってどんな人だったの?」
「ロジャー船長か。すごい人だった、あの人は」
「ロジャー船長・・・・ろじゃー?」
聞いたことある気がする。
何処で聞いたんだっけ?
・・・・待てよ。
「聞いたことあるか?」
「それって、確か海賊王の名前では」
「ああ、そうだ」
今さらりとすごいこと言ったこの人。
驚く私を気にもとめずシャンクスは平然としている。
「ってことはシャンクスは海賊王の船に居たの?」
「ああ」
・・・マジか。
それはもう他の人たちは知っていることなんだろうか。
アラバスタ以降を読んでいない私には知る由もないんだけど。
「他に聞きたいことがあるか?」
「そりゃそんなこと聞いたら色々聞きたくもなるけど。でもいいや」
「ほう、いいのか?」
「うん。別に今聞かなくてもいい気がするし」
聞いたらいけないような、気がするし。
そんな話をしていたから、油断してた。
壁から手が離れていた私は、
突然の揺れに対応出来なかった。
がくん、ときた大きな揺れ。
「ふみゃあああ!」
お決まりの奇声と共に私の身体は傾く、けれど。
「おっと」
床を目の前に衝突することもなく、私の身体は安定された。
片腕で抱きとめてくれたシャンクスによって。
「大丈夫か?」
「ゆ・・・油断してた。有難う」
余裕綽々の笑みを浮かべるシャンクスに、冷や汗だらだらの私。
船酔いしてないだけまだマシかもしんない。
「そのうち風も弱まるだろう。・・・辛いか、アコ」
「これくらいなら平気。仕事の時は人不足で、具合悪くても休んでられなかったし」
「そうか、あまり無理はするなよ」
「それより、こんな時にも何も出来ないことの方が辛い」
「アコ、それは」
「シャンクスは気にするなって言うかもしれないけど、気になるよ。私には知恵もないし力もないから」
ぐ、っと胸に顔を押し付けられた。
シャンクスは今どんな顔をしてるんだろう。
「アコは掃除をしてくれてるだろう」
「掃除なんて、」
「うちは知っての通り男所帯だからな、掃除をしても行き届かない場所もある。アコが居てくれて助かってるんだ」
優しい声音が耳元で響く。
声が、心まで届きそうだ。
シャンクスってこんな優しい声の人だったんだなあ、なんてしみじみ思った。
「知ってるか、アコ。最近ベンの機嫌がいい。ヤソップは狙撃の調子もいいらしい」
「・・・・・?」
「コックはアコの食べっぷりを見るのが幸せなんだそうだ。わかるか?アコ」
何それ恥ずかしい。
「コックさんの件はともかく前2つは私とは関係ないんじゃね?」
「あるさ。船が綺麗だと気持ちがいいということを最近知った」
「・・・遅っ」
「はは、まあそう言ってくれるな。本当のことを言えば掃除もさせたくないんだ」
どろどろに甘やかしてやりてえ、そう言って、シャンクスは腕の力を緩めた。
顔をあげると、唇が触れそうな程の距離。
それでも私は、
「掃除くらいさせてくれないと。甘やかしてくれるなら尚更」
にっ、と笑ってみせた。
+嵐の日 終+
海、大荒れ。
雨は横殴りに降り、風はごおお、と船を揺らし続ける。
台風のようだ。
「ふおおおお!!」
私は自分の部屋で壁に張り付いて必死に踏ん張っている。
皆は慣れているとはいえ、やることがあるようで忙しいようだ。
ガコン、とまた大きく船が揺れた。
落ち着け私。
大丈夫、こんなのたいしたことないってベンさんも言ってたし。
「アコ入るぞー」
必死で壁にしがみついているところにのんびりとした声音。
返事をする間もなく入ってきたのは、
シャンクスで。
「レディの部屋に勝手に入るとは!」
「ははっ結構余裕があるみてえだな」
「あるか!・・・船沈んだりしないよね」
「不安なら俺にしがみついてていいぞ」
「却下で」
まあシャンクスがこんな風にしてられるってことは実際大丈夫なんだろうけど。
・・・船が沈むかも、なんて本気で思ってた訳じゃなかった。
それでも不安があったのは確かだ。
なのにシャンクスが部屋に来たらその僅かな不安も消えた気がする。
「・・・そういえばシャンクスって昔から海賊だったの?」
「昔はある海賊船の見習いをやっていたが」
「へー。見習いだったんだ。船長ってどんな人だったの?」
「ロジャー船長か。すごい人だった、あの人は」
「ロジャー船長・・・・ろじゃー?」
聞いたことある気がする。
何処で聞いたんだっけ?
・・・・待てよ。
「聞いたことあるか?」
「それって、確か海賊王の名前では」
「ああ、そうだ」
今さらりとすごいこと言ったこの人。
驚く私を気にもとめずシャンクスは平然としている。
「ってことはシャンクスは海賊王の船に居たの?」
「ああ」
・・・マジか。
それはもう他の人たちは知っていることなんだろうか。
アラバスタ以降を読んでいない私には知る由もないんだけど。
「他に聞きたいことがあるか?」
「そりゃそんなこと聞いたら色々聞きたくもなるけど。でもいいや」
「ほう、いいのか?」
「うん。別に今聞かなくてもいい気がするし」
聞いたらいけないような、気がするし。
そんな話をしていたから、油断してた。
壁から手が離れていた私は、
突然の揺れに対応出来なかった。
がくん、ときた大きな揺れ。
「ふみゃあああ!」
お決まりの奇声と共に私の身体は傾く、けれど。
「おっと」
床を目の前に衝突することもなく、私の身体は安定された。
片腕で抱きとめてくれたシャンクスによって。
「大丈夫か?」
「ゆ・・・油断してた。有難う」
余裕綽々の笑みを浮かべるシャンクスに、冷や汗だらだらの私。
船酔いしてないだけまだマシかもしんない。
「そのうち風も弱まるだろう。・・・辛いか、アコ」
「これくらいなら平気。仕事の時は人不足で、具合悪くても休んでられなかったし」
「そうか、あまり無理はするなよ」
「それより、こんな時にも何も出来ないことの方が辛い」
「アコ、それは」
「シャンクスは気にするなって言うかもしれないけど、気になるよ。私には知恵もないし力もないから」
ぐ、っと胸に顔を押し付けられた。
シャンクスは今どんな顔をしてるんだろう。
「アコは掃除をしてくれてるだろう」
「掃除なんて、」
「うちは知っての通り男所帯だからな、掃除をしても行き届かない場所もある。アコが居てくれて助かってるんだ」
優しい声音が耳元で響く。
声が、心まで届きそうだ。
シャンクスってこんな優しい声の人だったんだなあ、なんてしみじみ思った。
「知ってるか、アコ。最近ベンの機嫌がいい。ヤソップは狙撃の調子もいいらしい」
「・・・・・?」
「コックはアコの食べっぷりを見るのが幸せなんだそうだ。わかるか?アコ」
何それ恥ずかしい。
「コックさんの件はともかく前2つは私とは関係ないんじゃね?」
「あるさ。船が綺麗だと気持ちがいいということを最近知った」
「・・・遅っ」
「はは、まあそう言ってくれるな。本当のことを言えば掃除もさせたくないんだ」
どろどろに甘やかしてやりてえ、そう言って、シャンクスは腕の力を緩めた。
顔をあげると、唇が触れそうな程の距離。
それでも私は、
「掃除くらいさせてくれないと。甘やかしてくれるなら尚更」
にっ、と笑ってみせた。
+嵐の日 終+