False love
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「急に雨降ってきたからさぁ、慌ててここに飛び込んできたんだけど、マジでびっくりだわぁ」
いやびっくりなのこっちなんですけど。
シャンクスがとても真剣な顔で口を開いたから。
・・・何かが変わると、思ったのに。
「そう、偶然ね。元気そうで良かった、じゃあ私達もう出るから」
「いやいや、今注文したばっかりじゃん」
「・・・紹介するわ、今付き合ってる彼よ」
シャンクスを巻き込みたくはなかったけど、こうなった以上仕方ない。
「へえ・・・今彼って訳」
「昔話に花を咲かせたいところだろは思うが、見ての通り今はデート中なんだ、すまないが席をはずしてくれないか?」
引き攣った元カレと、
爽やかだけど言外に早く帰れと言っているシャンクス。
「俺にはお前が必要なんだよアコ、なあヨリ戻そうぜ?」
「私にあなたは必要ないので無理」
「どう見たって俺の方がいい男じゃん、金だってあるぜ」
「コレ。さっき彼がプレゼントしてくれたの」
そう言ってさっきもらったブレスレットを見せた。
すぐにはつけないと言ったので値札はついたまま。
「おまっ・・・俺には頑なにプレゼントさせなかったくせに!」
「そうなのか?アコ」
「ええ」
「こんな男の何処がいいんだよ!?」
「嫌だわ比べられる訳ないじゃない違いすぎて」
「そういう訳だ、今後彼女に何かあるなら俺が聞こう」
「はぁ!?何でてめェに・・・・!」
シャンクスが私より前に出て、
「勿論、今の彼女の恋人は俺だからだ」
強くそう言い切ってくれた。
私も後ろから、
「あんたがアウトオブ眼中だから」
と言ってやった。
「失礼だがアコを相手にするには不釣り合いのようだな。諦めて帰ってくれないか?」
「・・・っ、わかったよ!じゃあな!」
シャンクスの圧に耐えかねた様子の元カレはそう叫んで店を出て行った。
・・・・・嵐が去った。
いや、一難去ってまた一難。
シャンクス絶対引いてる。
絶対何でこんなのと付き合ったんだろうって思ってる。
・・・下手したら、
見損なった、って思われたかも。
絶対呆れられたわね。
「・・・ごめんなさい」
「アコが謝ることはねェさ。まだ雨もやんでないみたいだし、ゆっくり休みゃいい」
シャンクスはそう言って笑ってくれたけど、
正直もうそんな気分にはなれない。
「・・・雷は、もう平気みたい」
「アコ」
「呆れたでしょ?」
「呆れはしないが・・・疑問ではあるな」
「疑問?」
「過去にあの男と付き合った理由、だ」
「あー・・・・その前に付き合った人がネガティブ過ぎる人だったから、ポジティブな人をと思って」
「なるほど、確かに」
苦笑したシャンクスに昔を思い出す。
・・・・俺と付き合えて良かったな、鼻が高いだろ?が口癖だった。
ポジティブ過ぎるのも問題。
「どれくらい付き合ったか聞いても?」
「・・・1ヵ月もたなかった」
「まあ、そうだろうな。・・・と言ったら失礼か」
「ううん、1ヵ月でも頑張ったの」
「告白は?」
「相手から。何回かデートには行った」
「・・・プレゼントさせなかったってのは本当か?」
「あれ欲しいだろう?買ってやるよ、俺が。なんて毎回言われて頷けると思う?」
「・・・それに関しては胸が痛いな」
ちらりとブレスレットの入った紙袋をシャンクスが見やった。
「シャンクスは恩着せがましくないからいいの」
私を心から喜ばせようとしてくれたことだし。
でもたぶんアイツは自分の満足感の為だったんだと思う。
「・・・・俺ならもっとアコを幸せに出来る」
「え?」
「いや、悪い。自信はないんだ。幸せにしたいと、思ってる。それだけだ」
「・・・・そこまで思ってくれなくて、いいのに」
「駄目か?」
「駄目、っていう訳じゃ」
「改めて言わせてもらうが・・・アコ」
「な・・・・・に?」
突然真剣な顔になったシャンクスが、
ちゅ、と私の手をとって甲にキス。
「アコは俺達のことを偽の恋人と思ってるようだが・・・」
「・・・違う、の?」
「俺はそれじゃ満足出来ねェ。本物の恋人になって欲しい」
「・・・・・・へ!?」
「勿論結婚を前提とした付き合いだ。アコさえ良ければ今すぐ結婚でも」
「はあ!?」
あまりの驚きに変な声しか出ない。
「俺は最初からアコをそういう目で見ていた」
「そういう・・・目・・・・って」
「ずっと好きだった」
「うそ・・・だって、女避けのために、」
「違う」
待って待って。
心臓がばくばく言い出した。頭は真っ白。
落ち着け。・・・落ち着け。
「誰とも付き合わない私ゲーム感覚で落とす為の告白、」
「俺は真剣だ」
「待って・・・・頭、追いつかない」
シャンクスは私を落ち着かせるようにゆっくりと私の頭を撫でた後、
「他の奴らが玉砕してんの聞いて、俺もそろそろ告白のいいタイミングだと思ったんだ」
「何で!?」
「今告白して無理なら脈はねェ。そう思ったからしたんだ」
「私・・・・・・・自分に自信なくした・・・・」
もっと・・・他人から自分に向けられた感情には敏感だと思ってた。
シャンクスから私へのそういった好意は感じたことがなかった。
だから勝手に女避け、とか。
ゲーム感覚と思って。
・・・・本気で好きになって、苦しんで。
・・・・・・馬鹿みたい。
「・・・迷惑だったなら、言ってくれ」
寂しそうなシャンクスに、
痛む胸。
・・・・・・・・好き、なのに。
このまま好きと伝えるのは、申し訳ない気がして。
・・・・・苦しい。
+心向けて 終+