False love
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「納得いってない、って顔だな」
「そうね。納得はいってないわ」
甘さのちょうどいいカフェラテを一口含んでカップを置いた。
私のお気に入りのカフェ。
頼んだケーキはもう少ししたら来るかしら。
「俺がしたかったんだ、アコが気にすることはない」
「それに納得がいってないんだけど」
「・・・参ったな」
お見舞いに行った翌日、
シャンクスは元気に出社して来た。
その時にお見舞いのお礼がしたい、とシャンクスが言ってくれたので休みの日にデートをすることになった。
その時に私がなくしてしまったストラップの代わりを買う、という話しも出て私も賛成した。
当日シャンクスがお揃いにしたい、というので異論なくショップを物色。
幸いにも2人で気に入ったものを見つけて購入。
問題はここ。
ストラップ2つ分のお金を払ったのはシャンクス。
私はそれに憤っている。
頑としてお金を受け取ろうとしないシャンクスにとりあえず話し合おうと私のお気に入りのカフェに来たけど。
「なくしたのは私。ならお金を出すのは私が必然でしょ?」
「見舞いの礼だ、俺が金を出しても問題ないだろう?」
「それなら1人分でいいはずよ」
「自分の分は自分で出すさ」
「じゃあ私の気持ちは?」
「そうだな・・・・じゃあここを出してくれ」
「値段が違い過ぎる」
「本当に見舞いが嬉しかったんだ、食べ物も助かった」
「・・・・だからって」
ケーキとお茶。
ブランド物のストラップとじゃ値段が違い過ぎて。
「それにストラップが落ちたのはアコにとって故意な訳でもねェだろう?」
「・・・・まあね」
「だからそれで納得してくれないか?」
困り果てたシャンクスの姿に軽くため息を吐いた。
シャンクスを困らせるのは本意じゃない。
・・・仕方ない、か。
「じゃあここは絶対出させてね」
「ああ、頼む」
とりあえずは一件落着かな。
ちょうどタイミング良くそこに、
「お待たせいたしました」
ケーキが到着。
「これか?アコのおススメ」
「そう、美味しいの」
「どれ」
「頂きます」
このカフェおススメのチーズケーキ。
「お・・・・いいな」
「お口にあった?なら良かった」
ここのケーキと珈琲はいつ来ても絶品。
「雰囲気もいいな」
「でしょ?スタッフさんもイケメン多いし」
ぴくり、とシャンクスの眉が動いた。
「そりゃあ聞き捨てならないな」
「・・・・何か気に障った?」
シャンクスは苦笑して、
少し沈黙したあとにぽつりと、
「いや、ただの嫉妬だ。気にしないでくれ」
・・・いやそれ滅茶苦茶気になるんですけど。
嫉妬するような関係じゃないはず。
今ここには会社の誰も居ない。
そんなことわざわざ言う必要なんか、ない。
・・・・どうして。
「・・・アコ?」
シャンクスはきっと私のことは好きじゃない。
・・・恋愛感情は、ない。
そう思って恋人になったのに。
面倒なことにならないと思って。
・・・・たのに。
今更私の方が、
好きであって欲しい、なんて。
好きになって欲しいなんて。
まったくシャンクスはどういうつもりなんだか。
「わかる。私も彼らに嫉妬するわ」
「・・・アコが?」
「だって新作のケーキでたら1番に食べられる訳でしょ?」
「まあ、そうなるな」
「私もここで働こうかしら」
「副業は禁止されてるはずだな?」
「シャンクスが黙っててくれるなら問題ないわね」
「アコの体力がもたないに1票」
「じゃあ転職」
「それは俺がさせない」
ぎゅ、と。
不意に手が握られた。
まるで行かせない、と言うように。
不敵な笑みを浮かべたシャンクス。
「・・・それは残念」
「しかしアコはいい店をたくさん知ってるんだな」
「そう?」
「焼き鳥やにこの間のバーに、居酒屋に」
「まあ、食べるのは楽しみだから」
食べるところばっかりで少し恥ずかしいけど。
褒められるのは素直に嬉しい。
・・・って一瞬思ったけど、
シャンクスが苦笑してるのに気づいて思った。
「・・・酒だけじゃなかったんだなって思った?」
そう言えばシャンクスをお酒関連のお店以外に連れて来たの初めてかもしれない。
思わずそう口にしたらシャンクスが、ぶはっ、と吹き出して笑った。
「だっはっは!そんなこと思ってねェよ」
「ホントかしら」
「ああ、ただ誰と来てるのかと思ってな」
「・・・誰と?」
「もしくはアコも誰かに教えてもらった、か」
・・・・1人で来てます。
とただ言えば良かっただけなのに。
何だかそれが急に恥ずかしく感じた。
「・・・・別に、シャンクスには関係ない」
「・・・・・・そうか」
寂しそうに頷いたシャンクスに、
急に珈琲の味がなくなった気がした。
+納得いかない 終+