3千万ベリーの恋
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シャンクスにキスされて、謝られて。
私はそのまま部屋へと戻った。
・・・どっちに謝ったんだろ。
キスしたこと?
酒臭かったこと?
それとも両方かも。
・・・・・・・ていうか明日どんな顔でシャンクスと会うべき?
避けるってのはなるべくしたくない。
いい年した大人なんだし、キスくらいでごちゃごちゃ言うべきじゃないのかも。
シャンクスもたぶん酔ってたし。
海賊だもんね。
キスどころかあーんなことやこんなことまでしたりするんだよね。
うん。
決めた。普段どおりにしてよ。
そして、朝。
「あ、おはよシャンクス」
食堂でばったり顔を合わせてしまった。
ドキッとしたけど、いつも通りを装う。
「おう、はよ。よく寝れたか?」
「うん。久し振りにアルコール摂取したせいかぐっすり」
「そりゃ良かった」
にし、と笑うシャンクスもいつも通り。
うん、良かった。
やっぱり普段どおりが正しい答えだったんだ。
いつものように雑談をしながらご飯を食べて。
「じゃあ明日出航なんだ?」
「ああ、ログも溜まったしな。買い忘れた物があるなら今日のうちに言ってくれよ」
「了解。そしたら部屋で買ったものとか整理してくる」
「アコ」
「・・・うん?」
ご飯も食べ終わって、部屋に戻ろうと立ち上がったところを呼び止められた。
「必要なものがあっても1人で外に出るなよ?」
「・・・ん、わかった」
頷いて、食器を片付けてから部屋へ。
けれど部屋の前で、私はまた呼び止められた。
「アコ」
その声はシャンクスじゃなくて、
「ベンさん?どうしました?」
振り向くと難しい顔をしたベンさんが立っていた。
「お頭と何かあったか?」
「え、」
「・・・・あったんだな」
はあ、とため息を吐くベンさん。
「・・・・何で、ですか?」
「お頭が珍しく凹んでいるようだったんでな」
凹んでいる?
シャンクスが?
私にはいつも通りにしか見えなかった。
「・・・・何かちょっと」
「・・・なんだ?」
「ちょっと、羨ましいです」
そしてちょっと悔しいです。
「私にはわかんなかったのに」
「・・・お頭にキスでもされたか?」
エスパーか。
わかりすぎてちょっと怖いんですけど。
「今私珈琲飲んでたらベンさん目掛けて噴出してました」
「そりゃ危ねえとこだった」
言いながら笑うベンさんにつられて、私も笑った。
「・・・私、キスされた後、酒くさ!って言っちゃったんですよねー」
だから凹んでるんですかね、と言ったらベンさんはまた楽しそうに笑った。
「酒飲んでんだから事実そうだったんだろう?そうでなくてもあの人はいつも酒臭い」
「そうなんですけど。・・・あれ、じゃあ何に凹んでるんだろ」
「・・・・今朝はいつも通りだったな」
「あ、はい」
「それが原因じゃないのか?」
「・・・・・え、マジですか」
これは結構ショック。
考えた末での行動だったのに。
「いつも通りってことは昨日のことは覚えてないか忘れたいってことだと思ったんだろう」
「でも、避けたりとかは」
「もっと傷つくだろうな」
「ですよねー。え、じゃあそしたら私はどうすれば」
「・・・アコの頭に恥らうって言葉は」
「いや、あれでも結構恥ずかしかったんですよ!?」
いつも通りってどんなんだっけって結構考えた末の雑談だったのに!
「キス自体は嫌じゃなかったのか?」
「・・・・たぶん」
「・・・それは、お頭が聞いたら喜ぶ」
ベンさんは少し驚いたように目を見開いて、それから優しく笑った。
ベンさんはシャンクスのこと本当に慕ってるんだな。
いいなあ。
「でもそしたらどうしたらシャンクス元に戻りますかね?」
ベンさんも心配してるし、
私もいつものシャンクスに戻って欲しいしな、と思ってそう言ったんだけども。
「別にこのままでいいんじゃないか」
「・・・・え、いいんですか?」
「話を聞いてみれば自業自得だからな。どうしても気にきなるならデートでもしてやれ」
「・・・デート、っすか」
「思い切り甘えて我が侭でも言ってやればいい」
そんなことを楽しそうにさらりと言ってくれちゃってますけどね。
「難しいですそれ」
「じゃあこっそり謝罪の品でも買いに行くか?」
「・・・1人で出るなって言われたんでそれはしたくないです」
それにそんなことしたらシャンクスが心配するから。
そういう人だと知っていて、そんなこと出来ない。
「ならほっとけ。そのうち戻る」
「・・・・・・はーい」
+いつも通り 終+