3千万ベリーの恋
お名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
赤髪、隻腕のその男は、
私を見ると笑った。
・・・・・・ように見えた。
そして一言、
「3千万ベリー出す」
「は、」
会場のざわめきが消え、一瞬の静寂。
そして「3千万ベリー!!決定です!」
決定された。
何かよくわかんないけどだいぶ値上がりされたみたいだ。
ざまあみろォ!
誰だ私の価値が五十円とか言ったヤツ!
ふははは!
・・・って言ってる場合じゃねえ!
私は赤い髪の男のもとに引き渡された。
「名前は?」
「・・・・・・・アコです」
手錠の鍵はこの男が持っているらしい。
私は買われたのだから当たり前か。
私は改めてまじまじと男を見る。
間違いない、と思う。
「そうか。俺はシャンクスだ」
言いながらシャンクスさんは手錠の鍵をはずしてくれた。
やっぱりシャンクスさんなんですね。
そんな馬鹿な、と思う自分と、やっぱり。
と思う自分が居る。
「悪いが今から俺の船に乗ってもらおう。これから出航なんだ」
「はあ」
何でだ。
何でこんなことになってるんだ。
思いながらシャンクスさんに腕を引っ張られる私。
「お頭が女を買ったァ!?」
「ああ、買った」
「船に乗せるつもりか?」
「何か問題あるか?」
「・・・お頭、アンタ何考えてる」
「だっはっは、まあ何とかなる」
あー・・・なんか見たことある人数人居る。
マジか。
「ここがアコの部屋だ。隣は俺の部屋だから何かあったらいつでも来い」
シャンクスさんはそう言って私を部屋に案内してくれた。
「あ、はい。・・・・・あ、あの」
「ん?」
「私よくわかんないんですけど、3千万ベリーって高いんですよね?」
「・・・は?」
「最初五十円みたいなカンジだったんで癪だったんですけど、値段あげて下さって有難う御座いました。スッキリしました」
「・・・・お前やっぱ面白いなあ」
にこにこと笑うシャンクスさんは、
何処か困っているようにも見えた。
「あのな、アコ。ここが何処だかわかってるか?」
「船ですよね」
「ただの船じゃない。海賊船だ」
「ええ、まあ、そうでしょうね」
ここがあの赤髪のシャンクスの船であるなら。
ここがあの、ONE PICECの世界であるなら。
そういうことになるんだろう。
「つまり俺は海賊だ」
「知ってます」
「四皇でもある」
「・・・・よんこうって何ですか?」
そんな単語はたぶん今まで出てこなかった、はずだ。
「四皇を知らない?」
「知りませんね・・・あはは」
シャンクスさんは少し驚いた顔をして、一言「そうか」と言った。
「飯を持って来させる。わからないことがあったら聞いてくれ、その都度答える」
「・・・はい」
じゃあ教えて下さいよ四皇の意味。
それからシャンクスさんは優しく笑って出て行った。
無知ですんません。
つーか後悔してるんだろうか。
私を買ったこと。
数分後、コンコンとドアをノックされた。
でも返事もしないうちにガチャリと開くドア。
「飯を持って来たぜ」
「あ、有難う御座います」
わー美味しそうな匂い。
そういえばお腹すいてきた。
入ってきた男の人を見て、私はその人の顔を見たことあると思った。
「俺ぁヤソップってんだ」
あ、ウソップのお父さんか。
存じ上げております。
「よろしくお願いします」
「・・・・まあその何だ、困ったことがあれば相談に乗るぜ」
普通に頭を下げただけなのに困惑された気がする。
何故だ。
「とりあえず悪ィんだが、お頭には今日いっぱいアンタを部屋から出すなって言われてんだ」
「あーはい、わかりました」
部屋にはベッドもあるしご飯も与えて頂けたので別に不満はない。
「朝になったらまた来る。あ、でも何かあったら呼んでくれりゃ誰かしらは来るからよ」
「有難う御座いますー」
お礼を言った私を見届けてヤソップさんは出て行った。
そして私は美味しそうなパエリアらしきものを食すことにした。
「頂きます」
異世界から来たってことも、
不安も、
辛いのも、
とりあえずは笑って誤魔化すことにした。
+笑って誤魔化す 終+