False love
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それはいつものように出勤しようと鞄を手に取った時だった。
小さな違和感を覚えて鞄を見た。
「あ・・・・・」
ない。
確かに昨日まではあったはずの、
シャンクスにもらったストラップ。
・・・・・嘘、でしょ。
頭が真っ白。
待って、いったん落ち着こう。
昨日出勤したときはたぶんあった。
・・・・・はず。
じゃあ夜は?
帰って来た時、あった?
・・・・覚えてない。
疲れてへとへとだったし。
うわあ、ショック。
シャンクスに言えばたぶん笑って許してくれる、とは思うけど。
結構気に入っていたので本当に悲しい。
「・・・・あれ」
きょろきょろと何回見回してみてもシャンクスの姿がない。
まだ出勤してない?
・・・って言う時間でもない。
「愛しの彼ならお休みよ」
「え」
同期にそう声をかけられて
「風邪ですって」
「シャンクスが、風邪・・・・」
風邪で休むのなんて初めてじゃないかしら。
なんてのんびりと思ってはっとした。
「女子社員はこぞってお見舞いに行きたいって言ってるんだけど、住所がわからないのよね」
「じゅう、しょ・・・・」
「知ってる?」
シャンクスの、家。
「・・・・さあ?」
「さすがにそこまでは知らないか」
「ええ、ごめんね」
笑って席に着いて仕事を始めた。
・・・・けど、内心チクチク。
知ってる。
・・・・私は、知ってる。
シャンクスの家を。
前に飲みに行ったことがあるから。
酔ってはいたけど覚えてる。
・・・行ける。
「お疲れ様でーす」
きっちり仕事を終わらせて、
定時ぴったりに会社を出た。
早足でこっそりと記憶を頼りに向かったシャンクスの家。
・・・・確か、このマンション。
寝てたらどうしよう。
そう思いながら、震える手で部屋番号とインタホーンを押した。
数秒後に聞こえて来たのは掠れたシャンクスの声。
「アコ?」
「あ・・・風邪だっていうからお見舞いに来たんだけど」
「今開ける」
その言葉の通りすぐにドアが開いた。
・・・でもなんか。
なんか少し、そっけなかったような。
具合が悪いから?
迷惑だったかしら。
・・・・・どうしよう、と思いつつもここまで来てしまったのだからもう帰れない。
シャンクスの部屋の前まで来たら、タイミングよくシャンクスが待っていた。
「わざわざ来てくれたのか」
と力なく笑ったシャンクスに、
「これお見舞い品。具合、どう?」
清涼飲料水とゼリー、レトルトのお粥をコンビニで買ったものを渡した。
「比較的元気ではあるんだが、熱と咳があったんで念の為休みをもらったんだ」
「薬飲んだ?」
「ああ、明日か明後日には出れそうだ」
「・・・私に出来ることある?」
「いや、大丈夫だ。来てくれて嬉しかった」
・・・・なんか。
・・・・私を早く帰そうとしているような。
わかってる。
そう思うなら早く帰ればいいんだと。
でもまだ、顔を見ていたい。
話していたい、のに。
・・・・や、具合悪いのに居座るのは迷惑極まりないわね。
「ちゃんとご飯食べてあったかくして寝てね、仕事のことは心配しなくていいから」
「悪い」
「じゃあ・・・・ね」
とりあえずは顔が見れて良かった、うん。
マンションを出て駅に向かう途中、
見慣れた後輩の1人を見かけた。
・・・・あの子、この辺に住んでたっけ。
結局ストラップのことも話せなかったし。
何か今日は良くない日。
まあ生きてればこんな日もある。
とわかってはいても落ち込んでしまうもので。
「はあ・・・」
今日はお酒も進まない。
シャンクス、明日は良くなってるといいけど。
ぼーっとテレビを見ていたらスマホが着信を知らせた。
この時間に珍しい、と画面を見ればシャンクスの名前。
「・・・シャンクス?」
『すまん、今大丈夫か?』
「こっちは平気。シャンクスこそ大丈夫?」
『差し入れのおかげでだいぶ良くなった』
「そ、なら良かった。それで何かあった?電話なんて珍しい」
『声が聞きたくなってな』
「・・・・変なこと言うのね」
『そうか?風邪をうつしたくはなかったんで部屋にはあげられなかったが・・・本当はもっと一緒にいたかったんだ』
ああ・・・・そっか。
あの時のあの態度に納得。
何かスッキリ。
「そういえば・・・あれから寝られた?」
『ぐっすりだ』
「帰りに後輩を見かけたから・・・お見舞いに行ったのかと思ったんだけど」
『ああ、来たが。寝てたんで出なかった』
「もしかして私が行った時も寝てた?」
『いや、大丈夫だ。来てくれるとは思ってなかったんで嬉しかった』
「・・・元気そうで安心した」
『・・・アコの方が元気がなさそうだな』
「・・・・ごめんねシャンクス」
『どうした?』
「前にもらったストラップ、なくしちゃった」
『ああ、あれか。それで落ち込んでるのか?』
「気に入ってたし・・・シャンクスにも申し訳ない」
『気にするな、新しいのを買えばいい。何なら今度探しに行こう』
「・・・有難う」
『今度は俺も同じのを買うってのもいいな』
「お揃いってこと?」
『アコが嫌ならやめておく』
「・・・ううん、楽しみにしてる」
『・・・ますます元気になった。明日は会社で会えそうだ』
「油断しないであったかくして早く寝た方がいいに一票」
『そうさせてもらうか。じゃあ、おやすみ』
「・・・・おやすみなさい」
ああ、こんな数分でこんなに嬉しい気持ちになるなんて。
・・・・・今日は、いい日だ。
+いい日、悪い日+
小さな違和感を覚えて鞄を見た。
「あ・・・・・」
ない。
確かに昨日まではあったはずの、
シャンクスにもらったストラップ。
・・・・・嘘、でしょ。
頭が真っ白。
待って、いったん落ち着こう。
昨日出勤したときはたぶんあった。
・・・・・はず。
じゃあ夜は?
帰って来た時、あった?
・・・・覚えてない。
疲れてへとへとだったし。
うわあ、ショック。
シャンクスに言えばたぶん笑って許してくれる、とは思うけど。
結構気に入っていたので本当に悲しい。
「・・・・あれ」
きょろきょろと何回見回してみてもシャンクスの姿がない。
まだ出勤してない?
・・・って言う時間でもない。
「愛しの彼ならお休みよ」
「え」
同期にそう声をかけられて
「風邪ですって」
「シャンクスが、風邪・・・・」
風邪で休むのなんて初めてじゃないかしら。
なんてのんびりと思ってはっとした。
「女子社員はこぞってお見舞いに行きたいって言ってるんだけど、住所がわからないのよね」
「じゅう、しょ・・・・」
「知ってる?」
シャンクスの、家。
「・・・・さあ?」
「さすがにそこまでは知らないか」
「ええ、ごめんね」
笑って席に着いて仕事を始めた。
・・・・けど、内心チクチク。
知ってる。
・・・・私は、知ってる。
シャンクスの家を。
前に飲みに行ったことがあるから。
酔ってはいたけど覚えてる。
・・・行ける。
「お疲れ様でーす」
きっちり仕事を終わらせて、
定時ぴったりに会社を出た。
早足でこっそりと記憶を頼りに向かったシャンクスの家。
・・・・確か、このマンション。
寝てたらどうしよう。
そう思いながら、震える手で部屋番号とインタホーンを押した。
数秒後に聞こえて来たのは掠れたシャンクスの声。
「アコ?」
「あ・・・風邪だっていうからお見舞いに来たんだけど」
「今開ける」
その言葉の通りすぐにドアが開いた。
・・・でもなんか。
なんか少し、そっけなかったような。
具合が悪いから?
迷惑だったかしら。
・・・・・どうしよう、と思いつつもここまで来てしまったのだからもう帰れない。
シャンクスの部屋の前まで来たら、タイミングよくシャンクスが待っていた。
「わざわざ来てくれたのか」
と力なく笑ったシャンクスに、
「これお見舞い品。具合、どう?」
清涼飲料水とゼリー、レトルトのお粥をコンビニで買ったものを渡した。
「比較的元気ではあるんだが、熱と咳があったんで念の為休みをもらったんだ」
「薬飲んだ?」
「ああ、明日か明後日には出れそうだ」
「・・・私に出来ることある?」
「いや、大丈夫だ。来てくれて嬉しかった」
・・・・なんか。
・・・・私を早く帰そうとしているような。
わかってる。
そう思うなら早く帰ればいいんだと。
でもまだ、顔を見ていたい。
話していたい、のに。
・・・・や、具合悪いのに居座るのは迷惑極まりないわね。
「ちゃんとご飯食べてあったかくして寝てね、仕事のことは心配しなくていいから」
「悪い」
「じゃあ・・・・ね」
とりあえずは顔が見れて良かった、うん。
マンションを出て駅に向かう途中、
見慣れた後輩の1人を見かけた。
・・・・あの子、この辺に住んでたっけ。
結局ストラップのことも話せなかったし。
何か今日は良くない日。
まあ生きてればこんな日もある。
とわかってはいても落ち込んでしまうもので。
「はあ・・・」
今日はお酒も進まない。
シャンクス、明日は良くなってるといいけど。
ぼーっとテレビを見ていたらスマホが着信を知らせた。
この時間に珍しい、と画面を見ればシャンクスの名前。
「・・・シャンクス?」
『すまん、今大丈夫か?』
「こっちは平気。シャンクスこそ大丈夫?」
『差し入れのおかげでだいぶ良くなった』
「そ、なら良かった。それで何かあった?電話なんて珍しい」
『声が聞きたくなってな』
「・・・・変なこと言うのね」
『そうか?風邪をうつしたくはなかったんで部屋にはあげられなかったが・・・本当はもっと一緒にいたかったんだ』
ああ・・・・そっか。
あの時のあの態度に納得。
何かスッキリ。
「そういえば・・・あれから寝られた?」
『ぐっすりだ』
「帰りに後輩を見かけたから・・・お見舞いに行ったのかと思ったんだけど」
『ああ、来たが。寝てたんで出なかった』
「もしかして私が行った時も寝てた?」
『いや、大丈夫だ。来てくれるとは思ってなかったんで嬉しかった』
「・・・元気そうで安心した」
『・・・アコの方が元気がなさそうだな』
「・・・・ごめんねシャンクス」
『どうした?』
「前にもらったストラップ、なくしちゃった」
『ああ、あれか。それで落ち込んでるのか?』
「気に入ってたし・・・シャンクスにも申し訳ない」
『気にするな、新しいのを買えばいい。何なら今度探しに行こう』
「・・・有難う」
『今度は俺も同じのを買うってのもいいな』
「お揃いってこと?」
『アコが嫌ならやめておく』
「・・・ううん、楽しみにしてる」
『・・・ますます元気になった。明日は会社で会えそうだ』
「油断しないであったかくして早く寝た方がいいに一票」
『そうさせてもらうか。じゃあ、おやすみ』
「・・・・おやすみなさい」
ああ、こんな数分でこんなに嬉しい気持ちになるなんて。
・・・・・今日は、いい日だ。
+いい日、悪い日+