「結婚しないの？」

テーマパークのお土産を渡したらまるでそれが自然な流れとでも言うように同僚に聞かれた。

「・・・誰が？」

「アコが」

「誰と？」

「・・・・シャンクス君以外と付き合ってんの？」

「・・・・や、付き合ってないけど」

というかシャンクスとも付き合ってないけど。

「２人ともいい歳だし」

・・・・・まあ、そうなるよね。

「・・・・付き合いもそんなに長くないし」

「もう大人なんだからそんなに長く付き合わなくても」

「・・・・シャンクスに結婚の意思があるのかしら」

「逆にこの歳で結婚前提じゃなかったら引く」

「・・・・そう？」

「いいの！？あんたそんなんで！」

「・・・・別に結婚がすべてとも思わないし」

シャンクスは素敵な人だから。

シャンクスが望むならシャンクスには結婚して欲しいとは思うけど。

私が結婚ていうのもピンとこないし。

「あんたホントに付き合ってんのよね？」

「・・・・当たり前でしょ？」

「なーんかその割には冷めてるっていうか」

・・・・ぎくり。

「いい歳してベタベタしたり結婚に夢持ってるほうがおかしいでしょ」

「そうかなあ」

「あーあ、私もシャンクス君みたいなハイスペック彼氏欲しい！」

「・・・・頑張れ」

「ハイスペックなとこは否定しないんだ？」

「事実そうだと思うし。我が恋人ながら」

「・・・惚気られた」

「満足？」

「ちょー不満」

「・・・まったく、もう」








「アコ、終わるか？」

「ん。終わった」

・・・シャンクスも律儀よね。

偽の恋人なんだから毎日送ってくれなくていいのに。

「大丈夫か？」

「・・・・何が？」

「疲れてるように見える」

「実際疲れてはいる。色々言われちゃって」

「珍しいな、何かやらかしたのか？」

「・・・結婚、しないのかって。多方面から」

シャンクスは言われないのかしら、だとしたらずるい。

なんて思いながら答えれば、シャンクスは、ああ、と苦笑した。

「そりゃ言われるだろうな」

「シャンクスは言われないの？」

「アコは手強い」

「・・・・は？」

「ようやく付き合えたんだ、すぐに結婚は無理だろう。・・・・と答えてる」

「・・・・なるほどね」

何のことかと思えば。

「俺が甲斐性ナシの意気地なしだと言えばいい」

「それで結婚出来ないって？」

「そう言えば納得するだろう」

「すると思う？」

「実際そうだからな」

「誰が」

謙遜するにしたって信憑性がなさすぎる。

「こと恋愛に関しては紛れもねェ事実さ」

「・・・・・そうなの？」

「ああ」

・・・・意外、だなあ。

「でも言わない、そんな風には」

「・・・遠慮しなくていいんだぞ。その方が楽だろう？」

「事実だとしても、そんな風にシャンクスを貶めるようなことは言いたくない」

「・・・・アコは、いい女だな。本当に」

「皆からハイスペック認定されてるシャンクスに言われるなんて光栄だわ」

「ほう、そりゃ興味深いな」

「聞きたい？」

「聞きたい。美味い肴を出すとこを見つけたんだ、勿論酒も美味い。一緒にどうだ？」

「喜んで」



・・・・・・・結婚かあ。

するならシャンクスがいいなあ、なんて。


ふと思ってしまった。





















　　　　　　　　　　　　　　　＋結婚　終＋