False love
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「これが半日?」
「・・・・・・いけるだろう」
「2人で?半日?」
「大丈夫だ、やろう」
わぁポジティブ。
もう何処から手をつけていいのかすらわからないこの状況で。
「・・・・よくまあ、ここまで放っておいたよね」
「そのうちやろうと思っていたらこうなっていた、というのが主犯の言い訳だそうだ」
「よし、その主犯あとでとっちめるわ」
「とりあえずはやるしかないな」
「・・・・・・やりますか」
・・・・・まあ、こうしてシャンクスと2人でこんな倉庫にでもいないと。
周りの目が気になって仕事どころでもないから、
良しとしないとね。
「あの辺は俺がやろう。アコはそっちを頼む」
「・・・・・・・よろしく」
使ってない資料やら機材やら。
ぐっちゃぐちゃの倉庫で2人きり。
後輩に2人きりで倉庫ですかぁ?なんて言われたりしたけど、
こんな所で2人きりでも色気の欠片もあったもんじゃないわ。
しかも2人共ニンニク臭。
一応飴を舐めたり、色々してきたけど。
あんまり効いてなさそうだし。
一応あんまり口開かないようにしとこう。
2人、黙々と作業を続けて数分。
「マスク、するか?」
シャンクスが突然マスクを出して来たのでドキッとした。
「え、やばい?」
「いや、匂い・・・というより埃、すごいだろう」
「あ」
「喉をやられないようにしておいた方がいいんじゃないかと思ってな」
「・・・確かに埃すごいわね。ありがと」
そこで改めてシャンクスの担当個所を見て目を丸くした。
・・・・何で言われた時に気づかなかったんだろう。
シャンクスがやる、と言ったところは機材やらの重たいものが多い場所。
私がやってる所は比較的軽いものが多い気がする。
・・・・・たぶん、わざとだろうな。
「無理はするなよ、アコ」
「シャンクスこそ。1人で何でも背負い込まないでちゃんと頼って」
「勿論、そのつもりだ」
「とか言って。・・・・嘘つき」
「心外だな。嘘はついてねェつもりだが」
本当なら女だからって弱い者扱いしないで、って怒るところだけど。
・・・何でだろう、シャンクスに限っては怒る気になれない。
「うーん・・・・有難う、とだけ言っておくわ」
「礼を言われるようなことはしちゃいないさ」
「いいの、言わせて」
「そうか・・・・ならこちらも有難くもらっておこう」
「うん、そうして」
「アコも無理はするなよ」
「大丈夫。私はちゃんと頼るから。どっかの誰かさんと違って」
「ほお・・・・そりゃいいことだ」
シャンクスが意外そうに呟くもんだからおかしくて笑った。
「さて、マスクもつけたし頑張らないとね!」
「そうだな。やろう」
それから2人で相談しながら着々と片付けを進めて。
3時間くらい過ぎた。
「・・・・つ、っかれた・・・・・ね」
「キリの良いところで休憩にするか」
「だね」
シャンクスと意見が一致したところで、目の前のところを少しだけやって休憩にしようと手を伸ばした瞬間。
ガチャン。
・・・・・嫌な音が、した。
「今、鍵・・・・閉められた?」
「・・・・みたいだな」
「もう誰よ・・・・今中に私たち居るって皆知ってるはずなのに、ねえ」
仕方ないから内側の鍵を開けようとしたところ。
「・・・・・・・あれ」
「・・・・・アコ、知らなかったのか?」
「・・・・何を?」
「この倉庫・・・・内側の鍵、壊れてるんだ」
・・・・・・・・・知らなかった。
「じゃあ何?外側から鍵かけられたらおしまいってこと?」
「まあ、そうなるな」
「・・・・・・・・・・・中に!!居ますよ!!!!」
どんどんとドアを叩きながら大声を出してみるけど、応答はない。
この倉庫は奥の方にあるとはいえ、
人通りがない場所じゃない。
「時間的に皆昼飯かもしれないな・・・・」
「・・・・私もお腹すいた」
「まあ1時間もたてば誰かしら帰って来るだろう」
「ここで休むしかないかあ・・・・」
仕方なくへたりこむと、
隣に座ったシャンクスが、
「飴なら持ってるが」
「・・・・・シャンエもん」
マスクといい飴といい。
頼りになるし。
飴をもらって口の中に入れたら、ふわりと桃の香りが広がって、少しだけ癒された。
「2人きりだな、アコ」
「さっきからずっとそうだけどね」
「だっはっは、確かにそうだ」
「・・・・1人じゃなくて、良かった」
「そうだな」
「私1人だったら飢え死にしてたわ」
「それは困るな」
・・・・にしても。
ちらりと上を見た。
「・・・・・追い打ち?」
「ムード作りじゃないか?」
チカチカ、と点滅し出した電気が。
「あ」
「お」
・・・・・完全に、消えた。
真っ暗。
「シャンクス、スマホは?」
「あればとっくに電話して助けを求めてるだろうな」
「ですよねー・・・・私も同じく」
「大人しく待とう」
「5分くらい休んだら片付け再開するつもりだったのに・・・・時間がもったいない」
「真面目だなァアコは。しかしこうなった以上下手に動かない方がいい」
「・・・・残念」
シャンクスの落ち着いた声が私を安心させてくれる。
「俺はずっとこのままでもいいな・・・・・」
・・・・と思ったら何を言ってるのこの人。
「・・・・このままここに居たら気分まで欝々としてきちゃう」
「アコがいればそうはならねェさ」
「私そんな明るいキャラじゃないけど・・・・」
「アコがいるだけで俺は幸せなんだ」
「・・・・・そう言ってもらえる私の方が幸せ者よ」
ほんとの恋人でも、ないのに。
それから1時間後、
私たちは無事に倉庫から出ることが出来て。
何とか片付けも終えることが出来た。
・・・結局、誰がカギをかけたのかはわからなかったけど。
+1日 終+