False love
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「恋ってどんな感じ?」
もうすぐ結婚する、という友人とカフェにて。
聞いてみた。
「・・・・あんたいくつよ」
友人は呆れ顔。
「恋っていう恋したことないと思うのよ、私」
「それには激しく同意。でも今アコ恋人居るんでしょ?」
「・・・・んー、まあ」
「どんな感じ?」
「楽っちゃ楽。面倒っちゃ面倒」
「・・・・何それ。ホントに恋?」
鋭い友人に苦笑しながら、
「ね、どんな感じ?」
改めて聞いてみる。
「うーん、偽の自分が通じない感じ」
「・・・・ごめん意味わかんない」
「ほら、友達とか会社の人には自分を偽ったりするでしょ?」
「気を遣うみたいなこと?」
「うーんまあそんな感じかな?で、それが出来なくなるのが恋」
「・・・・難しい」
想像出来ない。
恋人であろうと好きな人であろうと気を遣うべきだと思うし、
今までそれが出来なかった人はいなかった。
「まあ私は、の話しだけどね」
「でも・・・可愛くなったよね」
「そりゃあ幸せだもの」
「・・・・いいなあ」
「何言ってんの、素敵な恋人いるくせに。うまくいってないの?」
「そう言う訳じゃないけど」
「の割に幸せオーラ全然ないし。高校生みたいなこと聞いて来るし」
「・・・・ねえ」
「大丈夫?」
「大丈夫。それよりここ奢るよ、結婚祝い」
「あらありがと。ま、1つ言えるのは本人同士で話し合って解決出来ればそれが1番よ」
「・・・・ん、覚えとく」
・・・・仲の良いこのコにすら、本当のこと言えないことに罪悪感を覚えつつ。
「高校生みたい、だって」
「拗ねてるのか?」
「・・・・別にそういう訳じゃないけど」
「拗ねてるようにしか見えねェ」
そう言いながらシャンクスがくつくつと笑った。
・・・・そうやって笑いながら、話しながらもシャンクスの仕事をする手は止まらない。
・・・指、長いなあ。
太くてごつくて。
男の人って感じ。
・・・・こういうとこに女性はときめくのかしら。
「・・・・・今までまともな恋しなかったのね、って言われた気はしてる」
「アコがそうじゃないってんなら胸を張ってりゃいいだろう?」
「・・・・・・あながちそうじゃないとも言えないのよ」
「ほー・・・・興味あるな」
「・・・・何で」
「現恋人として」
・・・・ってにっこり笑ってるけどシャンクス、
絶対ただの興味本位にしか思えない。
・・・・まあ、いいか。
「後ろしか向かない男とか」
「・・・・歩きづらそうだな」
「性格の話し。何かって言うとすぐにどうせ俺が悪いんだろ、とか言うの」
「・・・で、アコは何て言うんだ?」
「悪いわよ」
そうよ貴方が悪いのよわかってるじゃない。
「だっはっは、容赦ないな!」
「私が悪かったら私が謝るけど。寝坊して遅刻したらした方が悪いでしょ」
時間通り(むしろ前に)来て待ってる私が悪いとは思えない。
「その通りだな」
「別に怒ってる訳じゃないのに?怒ってる?怒ってるんだろ?俺が悪いから、俺が嫌いだからとか言うの」
面倒にも程がある。
「他は?」
「前ので懲りたから今度は前向きな人、って思ったの。そしたら真逆過ぎたの」
「真逆?」
「俺がいて良かっただろ?俺が彼氏でお前は鼻が高いなあってことあるごとに言って来るの」
「・・・・大変だったんだな」
「どちらも1ヵ月もたなかった」
「そりゃそうだ」
だからまあ、まともな恋はしてないと言っても過言じゃない。
「付き合う前にわかってればOKしなかったのに」
「まあ付き合ってみりゃわからんだろう」
「そうなのよ。こればっかりは仕方ないわ」
「俺はどうだ?」
「・・・・・どうだ、って何が?」
「現恋人として今のところは合格点か?」
現恋人・・・・って。
ほんとの恋人じゃないのに。
「文句なしの合格点」
「そりゃ良かった」
・・・・嬉しそうに笑ったシャンクスは、
ぱたんとノートパソコンを閉じた。
「うっそ、終わったの?」
今の会話をしながら?
「手伝うか?」
「お構いなく。先に帰ってて」
「大事な恋人を残して帰る訳にはいかないな」
「・・・・大事な恋人に私の為に無為な時間を過ごさせる訳にはいかないわ」
「恋人と過ごす時間が無為なものか」
「・・・・・あ、そう」
「勿論迷惑というなら帰るが」
「・・・・ほんと、文句なし」
決して無理強いはしない。
シャンクスがホントの恋人なら私は幸せ者だったかもしれない。
「そりゃ光栄だ」
「仕事が出来て優しくて顔も良くて。文句言ったら罰当たる」
「俺はアコにそこまで言ってもらえるような人間じゃないんだが・・・・」
「いいんじゃない?今はそう思うってだけだし。そのうち変わるかも」
「それで?」
「・・・・・何?」
シャンクスが優しく問いかけて来たので何事かと思ったら、
「俺は恋人との貴重な2人きりの時間を過ごすことを許されるのか?」
「許可しましょう」
「礼にこれを贈ろう」
「わ、ありがと」
シャンクスがお礼に、とくれたのは板チョコ。
もらってそれをパキッと半分に折った。
「じゃあ更にお礼ってことで。もうすぐ終わるから」
「・・・優しいな、アコは」
「シャンクスが言うと嫌味にしか聞こえませーん」
2人でチョコを食べて、
くすくす笑い合って。
仕事なんだけど、楽しい。
恋じゃなくても、
こういう関係もいいもんだなあと思うんだけど。
+恋って 終+