False love
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「絶対私の方が可愛い」
「・・・・・そーッスね」
厄介な先輩に捕まってしまった。
「なのに何でなの!?」
「何ででしょう・・・・」
「私の方がふさわしいでしょう!?」
「・・・・・そッスね」
あああああ面倒!!!
何でシャンクスの彼女が自分じゃないのか、と喚いている先輩。
お互いの利害が一致してないからじゃないですか!
と言えたらどんなに楽か。
・・・・・こういう面倒なこともあるけど、
私としてはもう告白を断ることがないっていうのは精神的にすごく助かってるし、
偽の恋人をやめる気はないから。
先輩には申し訳ないけど。
私か・・・・シャンクスか。
どっちかに本気で好きな人が出来ない限りはこのままでいたいのが本音。
「何でよー!!!」
「・・・・本人に聞いて下さい」
失礼します、と言って部屋を出た。
・・・・・これ以上聞いてられないっての。
ホントの恋人でもないのに。
「・・・・・・・何コレ」
「今日で1ヵ月だろう?」
・・・・・・ホントの恋人でもないのに。
1ヵ月記念日のプレゼント?
を渡されてしまった。
「嘘でしょ?」
「・・・違ったか?」
「いや確かに1ヵ月だけど、今日で」
「気に入らなかったか?」
「いやそうじゃなくて。良かったのに」
「俺からの気持ちだ、受け取ってくれ」
「・・・じゃあ、これで最後ね」
「記念日は気にしないタイプか?それとも・・・・」
シャンクスが言葉を区切った理由がわかって思わず苦笑した。
それとも、ホントの恋人じゃないから?って言いたいんだろうな。
「元々気にしないタイプ。あ、誕生日だけは別ね」
こんな年齢でも祝って欲しいし祝ってあげたいと思う。
「なるほど、覚えておく」
「シャンクスってほんっとーにマメだよね」
「そうか?」
「そういうとこだよね、モテるとこ」
「生憎とアコとは合わなかったみてェだが」
「んー・・・・私あんまりもらったりするの好きじゃないから」
とか言ってネックレス買ってもらってんだけど。
「中身は気に入ってもらえる自信があるんだが」
「・・・・・ん」
言葉通り自信満々の笑みを見て、
もらった紙袋の中身を確かめる。
「どうだ?」
「あらホント。素敵」
某ブランドのストラップ。
シンプルで可愛い、うん。好き。
「えー・・・・・・私どうしよう」
「どうしよう?」
「1ヵ月記念でしょ?私だけもらいっぱなしっていう訳にはいかないじゃない」
「気にしなくていい、と言いたいところだが・・・・それで気が済むアコじゃない、な」
「その通り。待ってて、今日中に何とかする」
「別に今日中じゃなくても俺は気にしないが」
「せっかく1ヵ月記念日でしょ。今日渡す。何かを」
「そうか・・・じゃあ楽しみにしてる」
「任せといて」
・・・・・・・と言ってしまった手前。
貴重な休憩時間を使って外に出たけど。
何買えばいいの?
男の人にプレゼントなんて。
下手なものあげても好みとかある訳だし。
と、悩んだのは一瞬。
あ、いいのがあった。
シャンクスにぴったりのが。
シャンクスにあげたら喜んでくれたので私も満足して。
1日の仕事を終えて帰り支度をしていたら、
早速鞄につけたストラップに同僚が反応した。
「それかわいー」
「これ?シャンクスからの1ヵ月記念プレゼント」
「うわあ出来る男。いいなー」
「でしょでしょ」
「で、アコは何あげたの?」
「お酒」
「・・・・・お酒?」
あれ、同僚の顔が曇った。
「いいお酒」
「あのさ」
「・・・・え、駄目?」
「色気の欠片もないね」
・・・・・まさかのコメントに小さいながらも衝撃を受けた。
「・・・色気、いる?」
「だって付き合ってるんでしょ?」
・・・・・ホントの恋人じゃ、ないから。
そんなこと考えなかった。
ただシャンクスといえばお酒だし、
そんな安易な考えで。
・・・・・でも喜んでくれたし。
「しかもお酒ってなくなっちゃうじゃん」
「そりゃあ飲めばなくなるでしょ」
「普通なくなっちゃうのを記念日のプレゼントに贈る?」
「・・・・・参考にするわ」
ホントに好きな人が出来た時の為に。
「私シャンクスと釣り合ってなかったかなあ」
今更だけど、と呟いた。
「何だ急に。珍しいな」
「先輩に何で貴方なの、って言われたし。同期にもプレゼントのセンスがなってなーいって」
「はっはっは、俺は嬉しかったんだ、気にすることはねェさ」
散々プレゼントセンスのなさを揶揄われた私は、同僚にちゃんと謝罪しなさいよ、と言われシャンクスと一緒に帰ることになり今に至る。
「色気がないって。まあ実際付き合ってないんだけど・・・・シャンクスからのは皆に褒められたし」
「そこまで気にすることか?」
「気にする・・・・・」
というか気になる。
「そうか。ならこうしよう」
「え?」
す、とシャンクスの大きい手と。
私の手が絡んだ。
「本物の恋人みたいだと思わないか?」
「・・・・・思う、けど」
手を繋いで歩く私たち。
周りからは確実に恋人同士に見えるだろうな。
「俺が選んだのは他の誰でもない、アコだ」
「・・・・・ん、そだね」
利害の一致で。
「それに俺は酒が好きだ、知ってるな?」
「すんごい知ってる」
「だから俺は嬉しかった。それで十分だ」
「・・・・・・いい男だねェシャンクスは」
ホント、モテる理由がわかる気がする。
「アコも十分いい女だ」
「・・・どーも」
ホントの恋人じゃないのに。
少しだけ、ドキドキした。
+ないのに 終+