False love
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「シャンクス先輩彼女出来たってー!!ショックー!!」
「うそー!?」
廊下を歩いてたらそんな声が聞こえて思わず耳を澄ませた。
「マジらしいよーやーだー!!」
「フるための嘘じゃない?」
「嘘かな!?」
「どっちみちあんたは駄目ってことだけどね」
「ですよね!」
・・・・・・ああ、なるほど。
そこまで聞いてピンときた。
シャンクスも私と似たような理由だったってことか。
周りから色々言われるのが面倒で。
私に偽装恋人を頼んだってことね。
お互いに利害は一致してるし。
・・・・・・・・・いいよ、ね?
「いじめ以外の何物でもないよねこれ」
デスクに積まれた書類。
先輩から頼まれたもの、だけど。
「・・・・・すまん」
「気にしないで。これくらいでへこたれる程いい人じゃないから」
「頼もしいな」
「まあね」
恐らく噂を聞きつけた先輩たちの嫉妬によるもの。
その証拠に、というほどのものでもないけど。
皆書類を押し付ける時に口々に言ってきたのが、
『今度ゆっくり恋バナでも聞かせてよ』
だった。
「俺も手伝う」
「平気、これくらいなら2時間で終わる」
「俺が居れば1時間で終わる」
「・・・・そうだけど、悪いよ」
「元は俺にも責任がある。このまま帰っても美味い酒は飲めねェからな」
酒かい。
酒に負けるってなんか・・・・!!
・・・・まあでも、手伝ってくれるっていうなら。
「・・・じゃあ、お願い」
「よし、任せろ」
2人でパソコンとにらめっこ。
始めてすぐに、
「他にはないのか?」
シャンクスが画面を見ながら言う。
「今日のとこはこれだけ」
この束をだけ、というか。
・・・・こんなに、というか。
「いや、それじゃなくて」
「・・・・じゃなくて、何?」
「こういう・・・・何だ、その、いじめみたいなことだ」
「ああ、そういうこと」
「女は陰湿っていうだろ?」
「まー陰湿ではあるけどね」
「靴に画鋲とか」
「きゃー怖い」
「物を隠されたり」
「隠されて困るようなものは肌身離さないし、そうでなくても目を離さない」
「さすがだな」
「それにそんなことするような人は特定出来るし」
カタカタ。
キーボードを叩く音と、
話し声だけが響く。
皆もう帰ったからここには私とシャンクスの2人だけ。
「・・・・ていうかさ」
「ん?」
「悔しくて押し付けた書類が逆に私たちを2人きりにさせてるって知ったらどう思うんだろうね」
ふふん。
明日言ってやろうかしら。
昨日2人きりになれたの先輩方のおかげですぅって。
「アコはどう思う?」
「どう・・・・って、私がどう思ってるかってこと?」
「ああ」
「シャンクスまで巻き込みやがって覚えてなさいよって思ってる」
いつか絶対お返ししてやるんだから。
「はははっ、アコは優しいな」
「優しくないよ」
「元はといえば俺が原因だろう?」
「それなら受けた私にも責任はあるでしょ?」
「真面目だな、アコは」
「・・・・・真面目、ねえ」
「真面目だろ?」
「しっかり残業代はもらうけど」
「そりゃ当然だ」
「何ならこのあとお菓子食べながらお茶飲んで読みかけの本でも読んで満足したら帰ろうかと思ってたんだけど」
「いいな」
「勿論それも残業で」
「長時間の残業は注意の対象だろう?」
「仕事押し付けられて終わらなくて泣きながらやってましたって答えるわ」
「なるほど、アコなら信用もある」
「でしょ」
と会話もひと段落ついたところで、
仕事の方もひと段落。
「・・・・・ふぅ」
「さすが早いな」
そう言うシャンクスの画面をちらりと見る。
「・・・・シャンクスが言うと嫌味だよ」
「そうか?」
私の比じゃないほどのスピードで進んでる。
鞄からお菓子を取り出して、
「食べる?」
ぽっきー。
「いいのか?」
「お礼に」
「遠慮なく」
シャンクスにぽっきーをあげたら、
「アコ」
「ん?」
「ん」
「・・・・・何してんの」
ぽっきーの先、チョコのついてない部分だけを銜えて私に見せて来た。
かと思ったら、ずいと顔を近づけて。
「え、ちょっ」
自然とチョコのついた部分が私の口に入った。
・・・・・え、なにこれ。
すぐにサク、と小気味良い音がしてシャンクスがプリッツの部分を食べ進めていくのが見えた。
近づくシャンクスの顔。
動けない私。
待って、これ。
このままいったら、私とシャンクス。
サクサク。
静かな部屋にそんな音だけが響いて。
あと1センチ。
シャンクスの唇と私の唇の距離。
パキッ。
・・・・・・私が、折った。
「残念。やはりそう甘くはないな」
「・・・甘かったよ、私は。チョコだから」
「そりゃ良かった」
・・・・・我が同僚ながら。
何を考えてるのかわかんないな。
+我が同僚 終+