拝啓、取引様
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カチカチ。
カチ。
【付き合う前は優しかったのに、付き合い始めたら彼の態度が一変しました】
【付き合ってから彼に何か違う、と言われフられました】
【彼の猛アプローチで交際を始めたのに、すぐに飽きられてしまいました】
・・・・カチカチ。
マウスを動かす度に絶望感に襲われる。
それでも目が追ってしまう、
インターネット上の恋愛相談の数々。
悲しいなぁ。
まるで自分の未来を見ているようで切なくなる。
というかこんなに不安になってる時点で、
シャンクスのこと信じてないってことになるんじゃないの?
・・・・そしたらそれは恋とか愛じゃない?
ああもう私は一体どうしたら!!
悩みながらカチカチ、とマウスを動かしていたら、
【これで貴方も悩みなし!恋愛成就の秘訣はこれ!】
という広告を見つけた。
載ってる画像は、シンプルな銀の指輪。
・・・これをつければ恋愛成就ぅ?
・・・というかそもそも恋愛だけが悩みの種じゃないからね。
指輪なら・・・シャンクスからもらったものが、あるし。
でも・・・うん。
ようはきっかけ、ってことなんだろうけど。
再び悩みだした私の耳に飛び込んできた、
ぴんぽーん。
インターホンのチャイム。
「はーい」
念のためにと小窓から相手を確認して私は固まった。
え。何これ。
すると再び、ぴんぽーん。
あ。あーえっと。
「はいっいらっしゃいませっ!!」
慌ててドアを開けた。
・・・・相手は、そんな私を見て噴出して笑った。
「そんなに慌てて出て来なくても良かったんだが・・・ははっ」
「・・・・ようこそ我が家へ」
恥ずかし過ぎる・・・・。
私はその相手・・・シャンクスを家に迎え入れた。
「突然行くのもどうかとは思ったんだが・・・見せてェものがあったんだ」
「見せたいもの?何々?」
話しながら、内心片付けておいて良かった・・・と心から思った。
「これだ」
シャンクスが嬉しそうに見せて来たそれを見て、
私は心臓が止まるかと思った。
「・・・っこれ!!出来たの!?完成品!?」
「ああ、俺達の集大成だ」
甘いだけじゃない、恋の味。
私の考えた言葉が飾られて、
カップにはリボン。
このリボンをしゅるんと解くのがいいんだ、と相談した私に、
専用の機械を導入してくれたシャンクス。
すぐにでも好きな人にプレゼント出来そうなパッケージがいい、と希望した私の想像そのもの。
これは・・・・かなり感動。
「・・・・すごい」
こんなすごいの、うちの会社だけじゃ出来なかった。
「信じられないくらい・・・嬉しい・・・本当に有難うシャンクス・・・っ」
「アコのアイディアがあってこそだ」
「違うよ、シャンクスの協力あってこそだよ」
「いくら俺がいたってアイディアがなきゃ何も出来なかっただろ?」
「どんなに頭に浮かんだものでも、実現させるにはお金も労力も必要でしょ?」
「まァ、つまりは」
「・・・・・うん」
2人の協力の賜物。
「そこで相談なんだ、アコ」
「相談?」
「実はそっちの責任者にはもう話を通してある」
「えええ!?ヤソップさんに!?何!?」
いつの間に連絡取り合ってたんだか、
シャンクスとヤソップさんの間ではもう了承済みのことらしい。
そしてそれは、
「発売記念の祝いのパーティだ」
・・・・パーティ?
「・・・お祝いはわかるけど・・・」
「今回メインで動いたのは俺達2人だが、お互いの会社の協力があって今回の商品が完成した」
「うん」
「だから合同パーティだ」
「・・・って、うちとオーロジャクソン㈱で!?」
「ああ、会場も予約済みだ」
「し・・・知らなかった」
「驚かせたいから内緒にしてくれと俺が頼んだんだ」
次々と知らされる初めてのことに私はただ呆然とするばかり。
「参加、してくれるだろう?」
「も・・・勿論」
確かに、ヤソップさんや他の仲間の協力のおかげだし、感謝もしてる。
こっちだけじゃない、
金獅子に狙われた時にバギーさんの情報もすごく助かった。
「楽しみだ。・・・・起死回生、出来るといいな」
「その為の企画だもん・・・させてみせる」
見た目もばっちりだけど、
味にだってこだわってるんだから。
「ロジャー社長も褒めてた。なかなかない発想だと」
「しゃっ社長さんが・・・・!光栄です!」
「・・・アコなら何をやっても大丈夫だ」
ほんの少し、だけど。
今のシャンクスの言葉に何か違和感を感じた。
あれ、何だろう。
「・・・シャンクス?」
「ん?・・・・どうした?」
何かを誤魔化すような笑みを浮かべるシャンクスに、
疑惑は確信に変わった。
「何か隠してる・・・よね?」
「・・・何故そう思う?」
「顔が変」
「おいおい、この顔は生まれつきだ」
「そうじゃなくて。・・・・そういう返しもおかしい。絶対」
問い詰めたらシャンクスは小さいため息を吐いて苦笑した。
「アコに隠し事は出来ねェな。浮気したらすぐバレそうだ」
ドキっとした。
「・・・・他に好きな人、出来たの?」
「あり得ねェ。俺が愛してるのはアコだけだ、これからもずっと」
「・・・じゃあ隠し事って何?」
「今は言えない。まだ決まった訳じゃないからな」
「・・・・何それ」
「ただ決まればアコに殴られるかもしれねェとは覚悟してる」
何それ。
ホントに訳わかんない。
「今は教えてくれないの?」
「すまん」
「絶対?」
「・・・・ああ」
「いつ教えてくれる?」
「今度のパーティの時・・・だな」
「・・・・わかった」
シャンクスなら信じられるから。
・・・少し、怖いけど。
「ところでアコ、パソコンつけっぱなしになってるが・・・」
言われてはっとした。
「あ!!」
そして画面を見ようとしたシャンクスを慌てて遮った。
「駄目!見ちゃ駄目!!」
さっきの恋愛相談の画面のままだし!!
「・・・お互い隠したいことがあるみてェだな」
「・・・・はい」
お互い、まだまだです。
+隠し事 終+