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「発注ミス3件な」
「・・・・・申し訳ありません」
出勤したら楽しそうなヤソップさんが近づいて来たから何事かと思ったら、
真っ先にそう言われた。
・・・・まさかの発注ミス。
ショック。
「まーヒーロー様が見学してた時のだからな、仕方ないだろ」
「そんなの言い訳になりませんけどね・・・」
「とりあえず俺のツテでカバーできる範囲だ、安心しろ」
「有難う御座います・・・」
「緊張してたもんなー面白かったから許す」
「それでいいんですか経営者」
「いいんだよ経営者なんだから」
・・・・この間ヤソップさんが余計なことを言ったせいでシャンクスが見学する中での仕事になった。
なるべく落ち着いて仕事しよう、と心がけたものの。
案の定ミス連発。
「そういや今日は行かないのか、ヒーロー様んとこ」
「次は2週間後ですね。今先方が忙しいみたいで」
「会いたいだろ」
「・・・・そりゃあ、まあ」
「たまには自分から誘ってみたらどうだ?」
「ご飯とか?」
「馬鹿、デートだよ」
・・・・馬鹿って言われた。
「・・・そんなこと出来るような人間に見えます?」
「奴さんも喜ぶんじゃねーの?」
「仕事が忙しそうなので・・・ひと段落着いたら・・・・頑張ります」
「仕事が忙しい時こそ好きな女に会いてェもんだぜ?」
「・・・忙しかったら会えないじゃないですか」
「忙しいったって休み1日くらいあんだろ?でんなきゃ労働法違反だからな」
「貴重な休みは休んだ方がいいと思いませんか?」
「・・・お前、そうやって逃げてばっかでいいと思うか?」
言われた瞬間、心臓をえぐり取られたような気がした。
「・・・・・・・怖いから逃げたいのは駄目ですか」
「怖いのか?」
・・・・怖いです。
だってシャンクスが何で私のこと好きになってくれたのかわからないから。
自分に自信がないから。
シャンクスみたいなすごい人が、
私なんか好きになる訳ない。
きっと何か勘違いしてるんだ、って思ったら。
その勘違いに気づいた時私はきっとフられるから。
・・・・怖い。
シャンクスのこと好きって気付いたのに、
好き、と言えないのは。
その為。
とはいえ、逃げてばかりじゃ何も変わらないのも事実ではある。
お昼休憩の時を狙って、電話をかけてみた。
数回のコール音の後、
『アコ?』
驚いてるような声が聞こえた。
「あ・・・今大丈夫?」
『ああ、大丈夫だ。飯も食い終わった』
「お疲れ様。・・・・あのね?」
『ん?』
「今度いつ休み?」
『今度・・・・は次の日曜日だな』
日曜日日曜日・・・・大丈夫私も休み!
「その日・・・会えない?」
『勿論大歓迎だ。何処行きたい?』
・・・・どくんどくんと高鳴る心臓を押さえつけて。
「・・・・シャンクスの家」
『・・・俺の家?』
ゆっくりと答えた。
「あ・・・あのっ、その・・・この間お昼ご馳走してもらったし、お礼に私が作ったりとか」
・・・しようかなぁって。
・・・・って最後まで言えなかったけど。
気になるシャンクスの返事は、
『俺の家で2人きりか・・・何するかわからないぞ?』
何処まで本気なんだかわからない台詞。
・・・やめて欲しい、心臓がどうにかなりそう。
「・・・・え、っと」
答えられずにいた私をどう思ったのか、
『・・・アコ?・・・すまん、冗談だ』
少し寂しそうになったシャンクスの声。
「い・・・行ってもいい?」
『最大限でもてなすつもりだ』
「おっおかまいなく・・・!」
『じゃあ詳細はメールで送る』
「お願いします!」
通話を切って、深く息を吐いた。
「はーっ!!」
緊張した!!
でも本番は日曜日。
頑張る!!
ぴんぽーん、とインタホーンを押した。
ガチャ、と音がして、名前を言う前に、
『今開ける』
シャンクスの声がしてドアが開いた。
「あ・・・」
スーパーの買い物袋を持って中に入った。
エレベーターで最上階へ。
・・・・2回目のシャンクスの家。
再びインターホンを押す前に、ドアが開いてシャンクスが出迎えてくれた。
「買い物して来たのか?言ってくれりゃ迎えに行ったんだが」
「そしたら意味ないし・・・」
「意味がない?」
「・・・・こっちの話し。お邪魔します」
・・・室内で2人きりになることがわかってて家に来たのは、
疲れてるであろうシャンクスの為。
家デート、って言ったら恥ずかしいけど。
「早速だけど台所借りてもいい?」
「手伝うことあるか?」
「ううん、大丈夫」
台所を借りて調理開始。
慣れない台所での料理は大変だけど、何とかこなしていく。
1時間半後、完成が近づいたので何気なくテーブルを見たら、グラスにお茶に、と配膳が完璧にされてた。
・・・さすがシャンクス。
あとは盛り付けて・・・・出来た!
「ローストビーフとチキン南蛮、シーザーサラダにサーモンのマリネでっす!」
じゃじゃん、とテーブルに運べば、
「昼から豪勢だな。美味そうだ」
シャンクスの満面の笑み。
「本当は高級食材使いたかったんだけど・・・なかなか」
金銭面その他で厳しくてね・・・。
「俺のは貰い物だから気にすることはねェさ。早速食ってもいいか?」
「召し上がれ・・・!」
シャンクスがローストビーフを口に運ぶのをドキドキしながら見つめる。
「・・・美味いよ。最高に」
シャンクスの言葉にほっとした。
「良かった。じゃあ私もいただきますっ」
サラダをぱくり。
ん、上出来。
「・・・もし今度またうちで飯を作ってくれる気があったら言ってくれ、買い物付き合うから」
「え、でも」
「夫婦気分が味わえるだろう?」
「ふうふ・・・・」
呟いてみたら、無意識のうちに想像してしまって恥ずかしくなった。
「悪くないだろ?」
「・・・・食費大変そう」
「お、前向きに考えてくれるのか」
「・・・考えるだけなら」
「十分だ。何なら俺の給与明細と通帳を見せてもいい」
「・・・・それは遠慮しておく」
何か怖いから。
「チキン南蛮も自信作なんだけど、どう?」
「タルタルソースも美味い」
「頑張りました!」
なんて他愛のない話をしながら、完食。
「・・・この間仕事してる姿もなかなかだったが、エプロン姿で料理してる姿もいいな」
「・・・ミスしまくってたから全然嬉しくない」
発注ミス3件出しましたハイ。
「それでも・・・俺には十分癒された」
「そう・・・?」
癒された・・・?
「今日のこともな。俺が疲れてると思ってわざわざ俺の家に来てくれたんだろう?」
「・・・それもある」
「アコ・・・抱きしめてもいいか?」
「ふぁっ!?」
いきなり過ぎて変な声が出た。
「悪いが・・・このまま帰すなんて出来ねェ」
そう言って近づいて来たシャンクスに。
・・・・私は自分から抱き着いた。
+ミス・ミス 終+