拝啓、取引様
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「1か月後?」
「もうここまで来てるんだ、それで十分間に合うだろう」
「そっか・・・・そうだね」
私たちの共同企画の品が、
ついに来月発売に決まった。
「いよいよだな」
「上手く・・・いくかな」
「いくさ。俺とアコがやって来たんだぞ?」
「・・・私はともかくシャンクスがすごく頑張ってくれたもんね」
本当に、シャンクスには頭が上がらない。
「それは少し過大評価し過ぎだと思うが・・・アコが居たから出来たことだろう?」
「シャンクスも私のこと買いかぶってるよ・・・全部シャンクスが居なかったら何も出来なかったんだし」
「甘いモンにかける情熱には俺も勝てないんだがな」
シャンクスが楽しそうに笑う。
「・・・それ褒めてる?」
「勿論褒めてるつもりだ。可愛いって意味でな」
「・・・・本当にぃ?」
「その情熱を少しでも俺に向けてくれたら有難いとは思ってる、とも言っておこう」
「・・・心に留めておきます」
・・・言うんじゃなかった。
「さて、じゃあ最終的な確認に入るか」
「あ、うん」
改めて会議開始。
机の上に書類を出して。
「これがB社に提出するやつで、A社に提出する・・・・・・・あ、れ」
鞄を探りながら確認して行くと、
「・・・どうした?」
「・・・・ちょっと、待ってね?」
あれ、待って。
ほんと待って。
・・・嘘でしょ?
「・・・・ないのか?A社に提出するやつ」
「期限・・・・今日だっけ?」
「いや、明日の午前までだ」
さーっと血の気が引いていくのがわかった。
「ごめん!会社と家探して来てもいい!?」
「落ち着け、そっちの会社には俺から連絡してみる」
「あ・・・・有難う」
「とりあえず一旦家に戻れるか?」
「戻ってみる!・・・っほんとに申し訳ない!」
「車を出そう」
「大丈夫、すぐ戻って来る!」
「こっちは気にしなくていいから気を付けろよ」
物凄く焦ったけど、
シャンクスがずっと冷静でいてくれたおかげで私も冷静を取り戻してきた。
それでも言葉に甘えてゆっくり帰るなんて出来ないので、
急いで家に向かった。
どうしよう、家にも会社にもなかったら・・・!
不安で泣きそうになりながら何とか家に着いて、
必死に探す。
・・・・っ最後に見たのいつだっけ、
確かに鞄に入れたと、思ったのに・・・!
机の上と、引き出しと、
あああっ、あと何処探せばいいの!?
ない!ないないない!
・・・・何処にも、ない。
「何処にあるの・・・・っ」
視界が滲んだ瞬間携帯が着信を知らせた。
「・・・・もしもし」
『アコ、残念だがそっちの会社にはないそうだ』
電話越しのシャンクスの声に、
ぼろ、と涙がこぼれた。
「そ・・・・っか、ありがと」
『・・・アコ?大丈夫か?』
「ごめんね、お手数おかけしました・・・」
『・・・泣いてるのか?』
「家にもたぶんない、でももう少し探してみる」
『アコ、こっちは大丈夫だから戻って来てくれ』
「だい、じょぶ・・・・」
大丈夫、じゃない。
でも。
『アコ、今から迎えに行く』
「大丈夫。・・・すぐ、戻る」
『・・・本当に大丈夫なんだな?』
考えなきゃ。
落ち着いて。
「うん。戻る、から」
『わかった。・・・待ってる』
「有難う・・・っ」
涙を袖で拭って通話を切った。
泣いてる場合じゃない。
それから私は家の隅から隅まで探しまくった。
・・・・・でもやっぱり、書類は見つからなかった。
これ以上待たせる訳にはいかないと、
帰りはタクシーに乗った。
・・・・もう、18時。
ヤソップさんに、
『今日は直帰でお願いします』とメールした。
そして、
「ごめんねシャンクス・・・!やっぱりなかった!」
「アコ」
急いで会議室に戻ったら、
・・・ぎゅう、っと優しく抱きしめられた。
「・・・ほんっとに、ごめん」
「大丈夫だ、俺が何とかする」
シャンクスが頭を撫でて言ってくれたけど、
「ううん、私のミスだし私がやる。・・・だから、お願いがあるの」
「何でも言ってくれ」
「ここで残らせて」
「・・・・ここで?」
「このパソコンにしか資料作れるデータ残ってないの。だから、」
「今から作る気か?相当な量だぞ?」
「うん、だから徹夜になると思う。・・・それも許可してもらえない?」
さすがに他社の人間を深夜まで入れてるのはまずいかな。
「わかった、許可する」
「有難う!」
「俺も手伝う」
・・・シャンクスは、本当に優し過ぎる。
「ううん、シャンクスは先に・・・って、そういう訳にはいかない・・・かな」
「この企画は俺とアコの共同開発だろ?」
「・・・うん」
「つまり責任取る時も共同だ」
「そんなこと、」
「取り掛かろう」
「あ・・・・・」
シャンクスがパソコンの前に座ったのを見て私も慌てて隣に座った。
「・・・何で怒らないの?」
パソコンをいじりながら聞いてみる。
「誰だってミスはある。俺もあるしな」
シャンクスも同じようにパソコンと睨めっこしながら答えてくれる。
「・・・シャンクスがミスとか信じられない」
「するさ。頻繁ではないにしろ、な」
「でもそういう時って自分で何とかするでしょ?」
「1人でする時もあるが、たいていは仲間の協力で何とかなるもんだ」
「仲間、かぁ」
・・・シャンクスらしい答えだと思った。
それから黙々と作業し続けて、
何時間たっただろう。
ふとシャンクスが突然、
「休憩にしよう」と言い出した。
時計を見ればもう23時半。
「もうこんな時間!?」
「腹も減ったしな」
「あ、じゃあ私何か買ってくる。近くにコンビニあったよね」
「俺が行く。こんな時間にアコ1人で行かせる訳にはいかねェ」
「そしたらせめてお金だけでも持って行って!?」
私のミスで残業させた上に食事代まで出させる訳にいかない。
鞄から財布を出したんだけど、
「気にしなくていいって言ってるだろ?2人きりでこんな時間まで居られて満足なんだ、俺は」
「・・・残業なのに」
「いいんだ。欲しいものあるか?」
「じゃあ・・・・清涼飲料水」
「わかった、行ってくる」
シャンクスを見送って、1人仕事を続ける。
シャンクスの為にも早く終わらせないと。
カタカタとキーボードを叩く音だけが響く。
静かで暗い空間に、1人。
・・・シャンクスの存在の有難みを思い知る。
10分くらいが過ぎたとこで、シャンクスが帰って来た。
「買ってきた、休憩にしよう」
「あ、ありがとう」
シャンクスがビニール袋から取り出したのは、
私が頼んだ清涼飲料水(あ●え●あす)と、
おにぎりとパン、軽いスナック菓子。
そして。
「あ、和菓子」
「甘いモンは身体と心の疲れをとるからな」
何種類かの、可愛い和菓子。
「さ、これ食って元気出そうアコ」
「・・・・もう元気出た。ありがとねシャンクス」
無性に、
シャンクスに抱き着きたくなった。
この感情を、
なんていえばいいんだろう。
+深夜残業 終+
「もうここまで来てるんだ、それで十分間に合うだろう」
「そっか・・・・そうだね」
私たちの共同企画の品が、
ついに来月発売に決まった。
「いよいよだな」
「上手く・・・いくかな」
「いくさ。俺とアコがやって来たんだぞ?」
「・・・私はともかくシャンクスがすごく頑張ってくれたもんね」
本当に、シャンクスには頭が上がらない。
「それは少し過大評価し過ぎだと思うが・・・アコが居たから出来たことだろう?」
「シャンクスも私のこと買いかぶってるよ・・・全部シャンクスが居なかったら何も出来なかったんだし」
「甘いモンにかける情熱には俺も勝てないんだがな」
シャンクスが楽しそうに笑う。
「・・・それ褒めてる?」
「勿論褒めてるつもりだ。可愛いって意味でな」
「・・・・本当にぃ?」
「その情熱を少しでも俺に向けてくれたら有難いとは思ってる、とも言っておこう」
「・・・心に留めておきます」
・・・言うんじゃなかった。
「さて、じゃあ最終的な確認に入るか」
「あ、うん」
改めて会議開始。
机の上に書類を出して。
「これがB社に提出するやつで、A社に提出する・・・・・・・あ、れ」
鞄を探りながら確認して行くと、
「・・・どうした?」
「・・・・ちょっと、待ってね?」
あれ、待って。
ほんと待って。
・・・嘘でしょ?
「・・・・ないのか?A社に提出するやつ」
「期限・・・・今日だっけ?」
「いや、明日の午前までだ」
さーっと血の気が引いていくのがわかった。
「ごめん!会社と家探して来てもいい!?」
「落ち着け、そっちの会社には俺から連絡してみる」
「あ・・・・有難う」
「とりあえず一旦家に戻れるか?」
「戻ってみる!・・・っほんとに申し訳ない!」
「車を出そう」
「大丈夫、すぐ戻って来る!」
「こっちは気にしなくていいから気を付けろよ」
物凄く焦ったけど、
シャンクスがずっと冷静でいてくれたおかげで私も冷静を取り戻してきた。
それでも言葉に甘えてゆっくり帰るなんて出来ないので、
急いで家に向かった。
どうしよう、家にも会社にもなかったら・・・!
不安で泣きそうになりながら何とか家に着いて、
必死に探す。
・・・・っ最後に見たのいつだっけ、
確かに鞄に入れたと、思ったのに・・・!
机の上と、引き出しと、
あああっ、あと何処探せばいいの!?
ない!ないないない!
・・・・何処にも、ない。
「何処にあるの・・・・っ」
視界が滲んだ瞬間携帯が着信を知らせた。
「・・・・もしもし」
『アコ、残念だがそっちの会社にはないそうだ』
電話越しのシャンクスの声に、
ぼろ、と涙がこぼれた。
「そ・・・・っか、ありがと」
『・・・アコ?大丈夫か?』
「ごめんね、お手数おかけしました・・・」
『・・・泣いてるのか?』
「家にもたぶんない、でももう少し探してみる」
『アコ、こっちは大丈夫だから戻って来てくれ』
「だい、じょぶ・・・・」
大丈夫、じゃない。
でも。
『アコ、今から迎えに行く』
「大丈夫。・・・すぐ、戻る」
『・・・本当に大丈夫なんだな?』
考えなきゃ。
落ち着いて。
「うん。戻る、から」
『わかった。・・・待ってる』
「有難う・・・っ」
涙を袖で拭って通話を切った。
泣いてる場合じゃない。
それから私は家の隅から隅まで探しまくった。
・・・・・でもやっぱり、書類は見つからなかった。
これ以上待たせる訳にはいかないと、
帰りはタクシーに乗った。
・・・・もう、18時。
ヤソップさんに、
『今日は直帰でお願いします』とメールした。
そして、
「ごめんねシャンクス・・・!やっぱりなかった!」
「アコ」
急いで会議室に戻ったら、
・・・ぎゅう、っと優しく抱きしめられた。
「・・・ほんっとに、ごめん」
「大丈夫だ、俺が何とかする」
シャンクスが頭を撫でて言ってくれたけど、
「ううん、私のミスだし私がやる。・・・だから、お願いがあるの」
「何でも言ってくれ」
「ここで残らせて」
「・・・・ここで?」
「このパソコンにしか資料作れるデータ残ってないの。だから、」
「今から作る気か?相当な量だぞ?」
「うん、だから徹夜になると思う。・・・それも許可してもらえない?」
さすがに他社の人間を深夜まで入れてるのはまずいかな。
「わかった、許可する」
「有難う!」
「俺も手伝う」
・・・シャンクスは、本当に優し過ぎる。
「ううん、シャンクスは先に・・・って、そういう訳にはいかない・・・かな」
「この企画は俺とアコの共同開発だろ?」
「・・・うん」
「つまり責任取る時も共同だ」
「そんなこと、」
「取り掛かろう」
「あ・・・・・」
シャンクスがパソコンの前に座ったのを見て私も慌てて隣に座った。
「・・・何で怒らないの?」
パソコンをいじりながら聞いてみる。
「誰だってミスはある。俺もあるしな」
シャンクスも同じようにパソコンと睨めっこしながら答えてくれる。
「・・・シャンクスがミスとか信じられない」
「するさ。頻繁ではないにしろ、な」
「でもそういう時って自分で何とかするでしょ?」
「1人でする時もあるが、たいていは仲間の協力で何とかなるもんだ」
「仲間、かぁ」
・・・シャンクスらしい答えだと思った。
それから黙々と作業し続けて、
何時間たっただろう。
ふとシャンクスが突然、
「休憩にしよう」と言い出した。
時計を見ればもう23時半。
「もうこんな時間!?」
「腹も減ったしな」
「あ、じゃあ私何か買ってくる。近くにコンビニあったよね」
「俺が行く。こんな時間にアコ1人で行かせる訳にはいかねェ」
「そしたらせめてお金だけでも持って行って!?」
私のミスで残業させた上に食事代まで出させる訳にいかない。
鞄から財布を出したんだけど、
「気にしなくていいって言ってるだろ?2人きりでこんな時間まで居られて満足なんだ、俺は」
「・・・残業なのに」
「いいんだ。欲しいものあるか?」
「じゃあ・・・・清涼飲料水」
「わかった、行ってくる」
シャンクスを見送って、1人仕事を続ける。
シャンクスの為にも早く終わらせないと。
カタカタとキーボードを叩く音だけが響く。
静かで暗い空間に、1人。
・・・シャンクスの存在の有難みを思い知る。
10分くらいが過ぎたとこで、シャンクスが帰って来た。
「買ってきた、休憩にしよう」
「あ、ありがとう」
シャンクスがビニール袋から取り出したのは、
私が頼んだ清涼飲料水(あ●え●あす)と、
おにぎりとパン、軽いスナック菓子。
そして。
「あ、和菓子」
「甘いモンは身体と心の疲れをとるからな」
何種類かの、可愛い和菓子。
「さ、これ食って元気出そうアコ」
「・・・・もう元気出た。ありがとねシャンクス」
無性に、
シャンクスに抱き着きたくなった。
この感情を、
なんていえばいいんだろう。
+深夜残業 終+