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「あーアコ!久しぶり!」
「うわ、久しぶりー!卒業以来じゃない?」
楽しみにしてた、同窓会当日。
懐かしい顔ぶれにテンションも上がる。
シャンクスの姿も見かけたけど、
来た瞬間女の子たちに囲まれてたので一瞬目が合っただけ。
素敵な立食パーティ。
料理も美味しい。
・・・・気になるのはデザートで。
あーこんなのもいいなぁ、とか色々考えてしまう。
「そうそう、私結婚したの。今度式やるんだけど来てくれる?」
「そうなの?おめでとう!是非行かせて?」
・・・・本日2人目のご結婚報告。
笑顔で祝福を告げながら、内心ちょっと寂しい。
そんなことを考えつつ、
さて次はどのスイーツにしようと探る。
和菓子あんまりないなぁ。
「相変わらず甘いモンばっかり食ってるみたいだなアコ」
渋い声で私に話しかけてきたのは、
「ベックマン!」
ベンベックマン。
シャンクスと仲が良かった為、
必然的に私ともそこそこ話す仲だった。
「そういう会社に入ったんだったな」
「そう、和菓子の会社」
「株式会社シロップ、だろう。たまに食ってる」
「本当に?ベックマンが?」
「・・・・悪いか?」
「嬉しい、有難う・・・!」
仲の良い数人に和菓子の会社に入ったことは言ってあったけど、
まさかベックマンが買ってくれてるとは思わなかった。
「なかなか美味いんじゃないか」
「でしょでしょ?特別な美味しさはないけどいつでもほっと出来る味っていうか」
「自画自賛か、アコらしいな」
そう言ってベックマンは優しく笑った。
ベックマンはシャンクスと違って、割と不愛想。
でもたまにこうして笑う顔は可愛いと思う。
「今シャンクスと共同開発しててね」
「・・・あいつと?」
「和菓子じゃなくてケーキなんだけどね」
「なるほど、それであの目か」
「あの目?」
ちら、とベックマンが視線を動かしたのでそちらを見れば、
「・・・・・うわぁ」
相変わらず女の子に囲まれながらも、こちらを(というかベックマンを)物凄い目で睨み付けていたシャンクス。
「ごめんね、少し離れた方がいいかも」
敵意むき出しだのシャンクスに、
さすがにこれはヤキモチだろうと理解した。
なのでそう言ったんだけど、
「面白い。もっと妬かせてやれ」
ベックマンが楽しそうにくっついてきた。
「ちょ、ベックマン!?」
ベックマンの手が腰に回されて、
引き寄せられた。
瞬間。
「久しぶりだなァベン、ちょっとこっちで話そうか」
シャンクスが物凄い勢いで飛んできて、
そのままベックマンを連れ去って行った。
・・・・・・ベックマンも相変わらずみたいだ。
何か喉乾いた。
お茶でも貰おうかと飲み物のコーナーに目をやった時、
「シャンクス!」
ひときわ甲高い声が聞こえて思わず振り返ったら、
「・・・・・・・・・・・・あ」
派手なドレスを着た同級生(女)に抱き着かれてるシャンクスの姿。
A子(顔は覚えてるけど名前忘れた)。
・・・・あの子、昔からあんなだったっけ。
そしてその子が声を大きくして何を言うかと思えば、
「ねぇ、今日発表してくれるんでしょ?私との結婚」
「・・・・・・わーお」
本日3回目の結婚報告。
・・・・・しかも、シャンクスの。
いやでもさすがにこれは信じがたい。
気になるシャンクスの反応は、
「何か勘違いしてないか?」
困ったように笑ってる。
「約束したじゃなぁい、ひどいわ」
A子は困惑するシャンクスなんか知らんとばかりに腕を組もうとしたけど、
シャンクスはするりとそれを振り払った。
そして、耳元で何かを話した。
その直後、A子の顔が真っ赤になって、
そのまま逃げるように走って出て行くのが見えた。
・・・・何だったんだろう。
不意にシャンクスと目が合って、
その眼差しが真剣でドキッとした。
・・・・シャンクス、何言ったんだろう。
何であんな風に顔真っ赤にして出て行ったんだろう。
聞きたかったけど・・・
聞きに行きたかったけど、またすぐに女の子たちに囲まれたシャンクスを見て気が引けた。
あ、そうだ。お茶飲みたいと思ってたんだっけ、私。
・・・・・・もやもやも全部飲み干しておこう。
再びドリンクコーナーに向かう私の目の前を遮るように、
「アコ」
現れたシャンクス。
あれ、さっきまでそこに居た・・・・のに。
呆然とする女の子達しか、居なかった。
「・・・・シャンクスって瞬間移動出来るの?」
「アコの為ならな」
・・・まぁ、なんて素晴らしい。
「そんなことよりアコ、話しがあるんだ。少し出ないか?」
「え、ここじゃ駄目な話し?仕事のこと?」
「仕事より・・・もっと大事な話しだ」
シャンクスはそう言うと私の返事も聞かずに私の肩を抱き、そのまま外へと連れ出す。
同窓会の部屋を出て、
自販機の並ぶ小さい部屋まで来たところでシャンクスの手が離れて、
「ウーロン茶でいいか?」
「え、あ、うん」
私の分のウーロン茶を買ってくれた。
「・・・・私が喉乾いてたって知ってた?」
「甘いのばっかり食ってただろ?ずっと見てたからわかるさ」
・・・・恥ずかしい。
「有難う・・・今後の参考にと思って」
「仕事熱心だな、アコは。俺は・・・駄目だ」
「・・・駄目、って何が?」
シャンクスが自嘲気味に笑う。
「俺は今日もずっと、どうしたらアコを手に入れられるかを考えていた」
その真っすぐな言葉に心臓が大きく跳ねて、顔がだんだん熱くなる。
「・・・・でも、結婚」
それでもちくりと痛む原因も、ある。
「少しは気にしてくれたみたいだな」
「初耳だったから・・・」
「しねェよ、結婚。アコ以外とは」
「じゃああれはあの子の嘘?」
「嘘・・・というか策略だな」
「策略?」
くつくつとシャンクスが楽しそうに笑うけど、
私には何のことだかさっぱりわからない。
そんな私を見かねて、
「ヒントは卒業アルバムだ」
・・・ヒントをくれたけど、それでもわからない。
「卒アル?そりゃあの子も載ってるだろうけど」
クラス違ったからな・・・顔は知ってるけど。
「将来の夢が書いてあっただろう?」
「あったね。私は和菓子職人になりたいって書いた」
「ああ、知ってる。そしてあの女は玉の輿、と書いてたんだ」
その言葉に私がすべてに合点がいった。
なるほど、それで大手幹部のシャンクスを狙ったんだ。
結婚出来たら確かに玉の輿。
「でも・・・じゃああの時何て言ったの?」
こっそり耳打ちして、顔を真っ赤にして逃げたあの子。
「玉の輿なら俺じゃない方がいい、近いうち会社を辞めて独立するつもりだからな、と」
「でも独立したら社長じゃない?」
「成功する保障はないだろ?」
「シャンクスならそれだけで保障になると思うけど」
「ま、そんなもんだったってことだ」
あっけらかんとシャンクスが言う。
「・・・・そっか」
「だから俺が結婚したいのはアコ、お前だけだ」
ほっと心のどこかで安心した途端、
突然抱きしめられた。
「しゃっ、んくす・・・」
ぎゅう、っと力強く。
「・・・そういえば、大事な話しって・・・何?」
「・・・・本気で言ってるか?」
「え」
だってシャンクス大事な話しがあるってここに来たのに。
・・・・と思ってたら、
「・・・今のが大事な話し、だ」
苦笑したシャンクスの顔が目の前。
・・・・・私馬鹿じゃん。
「・・・・・ごめ・・・んっ」
ん、と口を閉じたとこで、
シャンクスの唇が一瞬重なった。
「いいさ。これでチャラだ」
「・・・・わざわざ言う為に来てくれたの?」
「ベンに取られちゃたまらねェしな。少しは気にしてくれたみてェで嬉しいよ」
「・・・・うん」
本当は、少しどころじゃなかったんだけど。
・・・・結構、気になってました。
+本当はものすごく 終+