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ちゃらっらーちゃららー。
何とも楽し気な音楽が流れて、
出てきたおじさん。
・・・・・・・・・この人が、シキ。
金獅子の社長。
「会いたかったよーベイビーちゃん?」
・・・・第一印象、気持ち悪い。
どうしよう。
私この人と絶対結婚したくない。
驚いて声も出ない私の手を、隣に座るシャンクスがぎゅっと握ってくれた。
・・・・大丈夫。
「初めまして・・・」
「隣に居る男はロジャーんとこの若造だなァ?」
「アコの旦那として挨拶に来た」
「ああ、結婚したのは知ってるよ・・・いい度胸だなガキ」
背中がぞくっとした。
この人・・・怖い。
顔は笑ってるけど目が笑ってない。
「愛し合ってるから結婚したまでだ」
でも、シャンクスも負けてない。
数秒2人は睨み合った後、
シキは私にうさんくさい笑顔を向けた。
「こんなのと結婚して可哀想になぁ、ん?」
「・・・そんなこと」
声が、出ない。
「俺と結婚した方が幸せになれるに決まってるんだぜベイビーちゃん」
・・・・覚悟、決めてきたはずなのに。
情けない。
何とかしなきゃと思った時、
指輪が光った。
・・・・やらねば。
「貴方とは・・・結婚、出来ません」
はっきりと言い切った時、空気が変わった。
「つれねーこと言うなよベイビーちゃん、こんな若造じゃすぐに飽きるぜー?」
「っ、あり得ません!」
「・・・・こいつと仕事、続けたいんだろう?ん?」
「・・・どういうことだ」
「色鉛筆の虹、恋の味のフレーズ。斬新だねェさすが俺のベイビーちゃんだ」
「・・・・・な、んで」
「俺と結婚する気になったかい?」
ニヤニヤしながら言い放った言葉は、
私とシャンクスしかしらないはずの。
・・・・企画の、パッケージ案。
思わずシャンクスを見たら、
シャンクスが珍しく顔を歪めてた。
・・・・まさか盗まれた?
でも・・・証拠がない今それを言ったところでどうにもならない。
今私が言えることは1つ。
「貴方とは結婚しません、何があっても」
「ジハハハ!そんなにこの男のことを愛してるとは思えねえんだがなぁ、ベイビーちゃん」
私の心を見透かすかのようにシキが私の瞳をのぞき込む。
今この人に嘘は通用しない、きっと。
「・・・私が、ずっと側に居て支えたいのはシャンクスだけだから」
「・・・そうかい。後悔しねぇようにな」
この言葉で、一応『お見合い』は終わった。
「・・・どう思う?」
喫茶店で休憩の紅茶をすすりながらシャンクスに聞いてみる。
シャンクスはネクタイを緩めて珈琲を飲みながら天を仰いだ。
「これで諦めたってことはないだろうな。アコが危険なのはいよいよこれからだ」
「・・・パッケージ案、書き直さないとね」
「それに関してはすまん。・・・俺の管理が甘かった」
「・・・シャンクスが悪い訳じゃないよ」
「下手したら同じ商品を先に発売されかねない」
・・・・シャンクスが落ち込んでる。
駄目だ、このままじゃ。
あんな奴の為に、シャンクスにこんな顔させるなんて。
絶対、駄目。
「そしたらあれより良いの作ればいいよ」
「俺の責任だ、俺が何とかする」
ああもう!
「あのね、これは私たち2人の企画!2人の責任!」
「・・・・そうだな」
「それに・・・シキに言ったこと嘘じゃないから」
『私が、ずっと側に居て支えたいのはシャンクスだけだから』
だから、気にしないで欲しい。
笑って欲しい。
いつもみたいに。
「ああ、嬉しかった」
「負けてらんないからね!」
「勿論だ。・・・アコを渡す気はねェさ」
・・・ちょっと黒いけど、シャンクスに笑顔が戻ってほっとした。
「そういえばシャンクス、今まで引き抜きの時に拉致監禁されて無理やり引き抜かれてた人が居るんでしょ?」
「居るが・・・」
「警察に訴えたりとかしなかったの?」
「証拠がなかったからな。脅迫もあったが同じように証拠として残せなかった」
「・・・・証拠があったら警察に訴えられるよね?」
「そりゃそうだな」
「向こうも情報あるかもしれないけど、こっちだって負けてないんだからさ」
「・・・何をする気だ?」
「赤鼻さんの情報から考えてみたんだけど・・・」
きょろきょろと周りを見渡して、
怪しい人が居ないのを確認。
そして、
シャンクスに、
「耳貸して?」
耳元でごにょごにょ。
「・・・・・・・・って感じで」
考えてみたことを相談。
「悪いが賛成出来ねェなそれは」
でもシャンクスは渋い顔。
「でもあの情報さえわかれば、」
「危険すぎる。少しでも遅れれば傷つくのはアコだ」
「でも・・・シャンクス、どんなことになっても守ってくれるってこの間言った」
「側に居なきゃ守るのは難しい。わかるだろ?」
「傷つく覚悟もなしに戦えないでしょ?・・・これが成功したら言うこと1つ何でも聞くから」
ただ、必死だった。
この計画が成功する自信はなかったけど、
もし成功すれば。
すべて上手くいくから。
「・・・・何でも?」
「何でも。だから・・・・お願い」
「頷いてやりたいが・・・アコが危険な目に合うのは本意じゃねェからな・・・」
シャンクスの優しさはわかるし嬉しい。
でもやるしかないと、思ってる。
「シャンクス、高校の時覚えてる?」
「・・・・俺がさんざん止めたのに先輩に喧嘩吹っ掛けたやつか?」
「そうソレ。あの時私無意識だったから」
「・・・・参ったな、俺を脅すとは」
「・・・そんなつもりは」
あるけれど。
「わかった。バギーの報告次第でそれを呑もう」
「ほんと!?」
「約束だ。何でもするっての忘れるなよ」
「うん、約束」
小指と小指を絡めて、
約束の証。
「それともう1つ、約束だ」
「え?」
もう1つ?
「この間も言ったが、無理はしないでくれ」
「・・・うん、わかった。有難う」
この約束を、勇気に変えて。
負けない為の戦いへ。
+負けない為に+