拝啓、取引様
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「じゃあ、行くぞ」
「あ、うん」
オーロジャクソン㈱で打ち合わせを済ませて、
うちの会社には連絡をしたうえで直帰させてもらうことになった。
シャンクスの車で、うちに送ってもらって。
・・・・シャンクスがうちに泊まる。
緊張するけど・・・・仕方ない。
シャンクスの車に乗り込んで、
道案内。
途中シャンクスの家も寄った。
必要なものを取りに行ってもらう為に。
「あ、そこ右。・・・で、この道突き当りで左が駐車場」
「了解」
駐車場に車を止めてもらって、
私の部屋の前。
「ちょ・・・ちょっとここで待ってて?」
「ああ、わかった」
朝はまさかこんな状況になるなんて思ってもみなかったから散らかしっぱなしの部屋。
少しでも片付けないと。
シャンクスを外に待たせて中をぱぱっと片付け。
これとこれと・・・・・これはここにしまって、
「あ」
シャンクスからもらった口紅。
・・・・ここに飾っておこ。
よし、こんなもん。
「お・・・お待たせ、どうぞ」
「邪魔する」
外で待たせていたシャンクスに声をかけて、
中に入ってもらう。
・・・・緊張するなぁ。
「適当に座って。何か食べる?」
「急だったし食材もないだろう?適当で構わねェ」
「大丈夫、買い置きがあるから・・・・んーっと、ラーメン・・・・でもいい?」
「酒があると有難い」
「はーい」
生麺がちょうど2人前(3人前だけど余ってた)を使ってラーメンを作る。
お湯沸かしてー麺入れてーネギ切ってー。
「へいお待ちっ!」
「美味そうだ」
完成したラーメンと缶ビールを持って行った。
「じゃあいただきまーす!」
ずるずるとラーメンを啜りながら、
お客様用の布団あったっけ、綺麗・・・だったっけ。
「アコ、どうした?」
「んー・・・・シャンクス何処で寝る?」
「俺は何処でも・・・と言いたいとこだが、出来ればアコの近くの方が安全だろうな」
「う・・・・そう、だよね」
「勿論アコが嫌でなければ、の話しだ」
「・・・・考えとく」
それから缶ビールをごくり。
と、
「そういや最近つけてないんだな、アレ」
シャンクスが指したのはさっき飾った口紅。
「・・・・や、つけてはいるよ」
シャンクスの居ないとこで。
「・・・そうか」
寂しそうにシャンクスが笑ったので、
思わず少し胸が痛んだ。
・・・・引き出しにしまっておけば良かった。
「俺の居ないとこであまり他の男を誘惑してくれるなよ」
「・・・・いい口紅だねって言われたらシャンクスにもらったって言うから大丈夫」
嘘は言ってないし。
「・・・酒、もうやめとく」
「え、もういいの?」
突然シャンクスが飲んでいた缶ビールを置いた。
何事かと思ったら、
「酔いに任せて何するかわからなくなりそうだ」
・・・・・だそうで。
・・・・・・ドキドキしてきた。
「えと・・・・とりあえずこんな感じで」
私のお布団の、右およそ1メートル隣にシャンクスの布団。
「・・・・いいのか?」
「・・・・何もしない?」
「・・・・・自信はない」
「う・・・・」
それは困る・・・んだけど。
「まぁ、俺も嫌われたくはない」
「・・・ありがと」
何とかお風呂には入ったけど、
色々気になって全然集中出来なかった。
シャンクスがお風呂入ってる時も。
「戸締りは問題ないか?」
「うん、大丈夫」
玄関には鍵もかけたしチェーンもした。
窓もしっかり施錠した。
「あとはおやすみのキスだな?」
「・・・・しないよ?」
「夫婦だろ?」
「・・・っ夫婦でも、です!」
今キスなんてしたら眠れなくなる。
断固反対の意を示せばシャンクスは笑って、
「そうだな。・・・キスなんかしちまったら止められなくなる」
・・・やっぱりドキドキさせるようなこと言う。
「・・・・じゃあおやすみシャンクス」
「ああ、おやすみアコ」
電気を消して布団に横になったけど、
鼓動の速さは増すし音は大きくなっていくし、
見えないけど右が気になるしで、
結局眠れなさそう。
今・・・隣にシャンクスがいるなんて、
不思議。
・・・・シャンクスは寝れるのかな。
私は眠れそうにないけど。
「・・・・シャンクス寝れそう?」
思い切って声をかけてみたら、
「たぶんな。気遣いは無用だ」
「・・・・そっか」
「俺が居たら寝れねェか?」
「・・・・頑張る」
「ははっ、そうか」
シャンクスは全然緊張してなさそう。
・・・家の主の私が緊張してるのに。
「・・・・・ねえ、シャンクス」
「ん?」
暗闇に響く声。
やけに耳に残る。
「私、考えたんだけど」
「・・・・何をだ?」
「私どんな状況になっても戦いたい」
この間シャンクスに言われたことを、ずっと考えてた。
あの時は頷いちゃったけど。
『俺たちがどうなっても自分を守るんだ』
この言葉を。
「アコ、駄目だ」
「結婚に関しては肯定しない。でも否定もしない」
「・・・アコ」
咎めるような声に心臓が痛んだけど、
私は続ける。
「これは私の戦いだから、シャンクスもヤソップさんも傷ついたらその時点で私の負けだし」
「気持ちは嬉しいが・・・」
「私負けたくない」
「負けず嫌いだったな、アコは」
「・・・うん」
「わかった。・・・だが、無理だけはしてくれるな」
「・・・ごめんねワガママで」
守られてる立場なのに。
「いいさ。どんなことになっても必ず守る」
・・・守ってくれなくて、いいのに。
私はこの時心の何処かで、ほんの一瞬確かにそう思った。
シャンクスが傷つくくらいなら。
「・・・有難う、おやすみ」
「・・・・ああ、おやすみ」
眠れないかな、と思ったけど。
色々なことがあったせいか、
考え過ぎたせいか、
次に目が覚めた時にはもう朝だった。
しかも、
「そろそろ起きなくていいのか?アコ」
・・・・シャンクスに起こされた。
「・・・・起きる」
無意識に返事してから、意識が覚醒した。
「あ・・・おはよ。寝れた?」
「ああ、問題なく。アコも寝てたみたいだな」
「みっ見たの!?」
まさか寝顔見られた!?
「寝息が聞こえてた。寝顔なら今さっきまで堪能させてもらってたが?」
「あー・・・・そうだった!」
言われてみればそうだよ・・・何か恥ずかしい。
絶対間抜け面だ私。
「可愛かったから気にすることはねェ。それより着替えるだろ?」
「っ、私あっちで着替えてくるから!」
恥ずかしくなって着替えの服を掴んで別の部屋に避難した。
・・・・あぁ、情けない。
せめて着替えは落ち着いてしよう。
いつも以上に鏡をチェック。
よし、オッケー。
「シャンクスー終わったよー」
ちら、と覗いてみたらシャンクスも着替え終わってた。
「朝ごはんパンでいい?バタートーストと珈琲」
「十分だ」
トーストの準備をしながらメールチェック。
あ、ヤソップさんから来てる。
・・・・・・・。
「はい、トーストと珈琲」
「悪いな」
「いいえー」
トーストをかじりながら、
「・・・・明後日、だって」
「明後日?・・・・決まったのか」
シャンクスはそれだけで理解してくれた。
「うん。・・・・お見合い」
金獅子の社長とのお見合いが、
明後日になったと。
「気合入れていくか」
「押忍!」
シャンクスの笑顔と力強い言葉が、
心強い。
+戦いに 終+