拝啓、取引様
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「・・・・ですから、株式会社シロップの」
「誰がデカッ鼻だァ!!!」
「だから言ってませんて!!」
何なのこの人!!
いつも通り打ち合わせの為に来たオーロジャクソン㈱で。
入ってすぐに変な人に絡まれてしまった。
『お前ェ見ない顔だなァ、もしやスパイか!?』
とか言うもんだから会社名言って、
取引させて頂いてーとか言っても会話にならない。
・・・・怖いよー。
「えーと、こちらのシャンクスさんに用がありまして」
「あァ!?おめー赤髪の客か」
「・・・・はい」
やっと話が通じた。
「やめとけやめとけ、あんな奴。俺の方が能力あるぜ?」
「え、えーっと・・・・すごい方なんですね?」
「おうよ!俺様はなァ、」
ええええ何この事態。
パニックになった瞬間、
「悪いなァバギー。俺の客なんだ」
「あ・・・」
そっと腰に当てられた手。
その手に押されるがまま、
「てめっ、シャンクス!」
「またゆっくり飲もう!な!」
怒るバギーさんを置いて私たちは歩き出した。
ただ、呆然と押されるがまま歩いて、
バタン。
いつもの会議室に入って、
「・・・・・・・すごい人だったね」
これだけ言うのが精いっぱい。
「すまん、同僚なんだ。妙な奴だが悪い奴じゃないんだ」
「個性的な人が多いの?・・・その、この会社」
「少なくはないだろうな。楽しい会社だぞ」
「・・・・すごいねシャンクス」
私はきっとこの会社を楽しいとは言えないなあ。
「そうか?・・・で、持ってきたか?」
「あ、うん。パッケージ案」
この間行ったスイーツパークとシャンクスの言葉からヒントを得て、
思いついたものをそのまま描いて来た。
「これ」
渾身の1枚を差し出すと、
「・・・いいな。これにしよう」
シャンクスも賛成してくれた。
「これて・・・いい?」
「ああ、文句なしだ」
シャンクスの満足そうな笑みにほっとした。
色鉛筆で書いた、リボン。
言葉は一言。
『恋の味』
恋、この言葉を引き立たせる為には色鉛筆の淡い感じがぴったりだと思ったから。
「じゃあこれ印刷にかけて・・・」
「サイズはこれくらいか?」
「予算大丈夫?」
「任せろ」
久しぶりに会議はさくさく進んで、
「休憩にするか。飲み物買ってくる」
「あ、有難う」
小休憩。
その間に携帯をチェック。
あ、メール来てる。
ヤソップさんからだ。
えーと・・・・・・え?
『すまん』
・・・・・謝罪のみ。
何これ。
困惑する私に、
「アコ」
シャンクスが真剣な顔で帰って来た。
「・・・・・どしたの?」
「見合い・・・するのか?」
「・・・・・・・・・・は?」
え、何それ。
「バギーから聞いた。アコと事実上の結婚を条件に脅されてると」
「・・・・・ちょっと待って」
急いで会社に電話をかける。
数回のコール音のあと、
『はいー株式会社シロップー』
「ヤソップさん!?どういうことですか!?」
都合良くヤソップさんが電話に出た。
『あー・・・アコ。あのな、お前さんの気持ちはよっくわかってる。すまんっつーのは』
「お見合いってなんですか!私知りませんけど!?」
『何、お前何でそこまで知ってんだ?』
「シャンクスから聞きました」
『相手さんも知っちまったか・・・詳しくは戻ってから話す。とりあえず心配すんな』
「そんなっ、」
抵抗空しく通話は途切れてしまった。
「・・・・聞いてなかったのか?アコ」
「なんっにも!・・・待って、ほんとに訳わかんない」
お見合い?結婚?私が?何で?
「戻った方がいいだろうな。送っていく」
「う・・・・ん」
「・・・大丈夫か、アコ」
シャンクスの気遣いは嬉しいけど、
とてもじゃないけど大丈夫なんて即答出来る状態じゃない。
でも言えるのは、
「私・・・しないよ。お見合いも、結婚も」
「ああ、させねェよ」
シャンクスの力強い声に立ち上がって、
車に乗せてもらった。
走ってる間、何も話せなかったけど、
始終シャンクスが大丈夫だ、と言ってくれて。
少しだけ、落ち着いて来た。
「有難う、シャンクス」
「俺も行かせてもらっていいか?」
「え、でも」
「頼む」
「・・・・わかった」
シャンクスに頷いて、ドアを開けた。
「戻りました、ヤソップさん」
「おう。・・・・お相手さんも一緒か」
「話聞かせて下さい、シャンクスも一緒に」
シャンクスと一緒に入って来たのを見てヤソップさんが苦笑する。
「聞かれてまずいことがあったら忘れると約束する」
「いや、ちょうどいい。前にも聞いたが、お前らどうなってるか聞きたい」
「どうって・・・」
言われても。
困惑する私をよそにシャンクスは、
「俺はアコを愛してるし、見合いも結婚もさせたくない」
平然とした顔で即答する。
「アコにもその気があんならこの話は断固として抵抗してやる。その気がないんなら」
受け入れるつもりだ。
・・・・ヤソップさんがそう言った。
「その前に詳しい説明、して下さい」
「・・・うちがヤバい状況にあるってのは知ってるな?」
「はい」
「要は向こうさんがお前に惚れて、手に入れる為にこのヤバい状況を救ってくれるんだそうだ」
「そんなの断ればいいじゃないですか!」
「断ってんだけどな、こっちも。一筋縄じゃいかねぇんだよ」
「なるほど、このままだと俺たちの企画にも支障が出ると」
「そういうこった。見合いだけでもすりゃとりあえず納得はさせられるらしい」
・・・・お見合いなんかしたら、きっと無理やり結婚までもっていかれる。
「会社名は?」
「金獅子、って言やわかるか?」
「・・・・・また、すごいとこに狙われましたね・・・うち」
オーロジャクソン㈱と恐らく同じくらい有名な会社だ。
「正確には狙われてんのはお前だ」
「・・・・・ですね」
「まあお前も結婚適齢期だし、する気があるなら考える」
「ないです」
「・・・・ないか」
「結婚したいと思う人は居ません。今はする気もないですし・・・シャンクスのことも、あるし」
しかも知らない人となんて御免だ。
「金獅子はうちの敵でもある。俺が何とか話しをつけようと思うんだが」
シャンクスの心強い発言も嬉しいけど、
「嬉しいけど、狙われたのは私だし、シャンクスにばっか任せられない」
シャンクスには前にも助けてもらったし。
「ま、うちも借りばっかじゃな」
「ですよねヤソップさん!」
「頼もしいな。じゃあアコをしばらく借りても?」
「おー好きなだけ好きなように」
「ちょっとヤソップさん」
「覚悟、あんだろ?」
「・・・・・・・はい」
私に出来ることがあるなら。
やるべきだ。
「任せてくれ。情報戦ならこっちにはスペシャリストがいる」
「おお・・・さすが」
「今日会っただろ?バギーだ」
「・・・・・・・・・マジで」
赤鼻のバギーさんが、
助けてくれるらしい。
・・・・・人は見かけによらないなあ。
+赤いお鼻の 終+