拝啓、取引様
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「・・・・・ぅう」
まだまだって思ってたけど、あっという間にシャンクスとのデートの日。
昨日はよく眠れなかった。
・・・・口紅、どうしよう。
迷って、そっとポーチに入れた。
・・・・途中でつけても、いいんだもんね。
ああっでもどうしよう、
ああああもうこんな時間!行かないと!
心臓ばくばくで、
頭の中どうしようの言葉ばっかりがぐるぐる回ってて。
で、案の定。
「・・・・緊張しすぎだな、アコ」
「う・・・・だって」
シャンクスに突っ込まれた。
元はと言えばシャンクスが変なこと言ったせいなのに・・・!
・・・・とは言わないけどさ。
「好きな動物は?」
「・・・・アルパカ」
シャンクスはそんな私を気遣ってくれてるみたいだけど、
シャンクスの顔を見る度に『キス』の2文字が脳裏を過って正直動物どこじゃない。
「アルパカは・・・・奥の方だな。順番すっ飛ばして行ってみるか?」
・・・とはいえ、そこまで甘える訳にいかない。
「・・・順番に見る」
いきなりアルパカ見たってつまんないよね・・・シャンクスは。
「じゃあ行こう」
その言葉と同時にシャンクスの大きい手が私の手を取って、身体が過剰に反応してしまった。
しっ心臓が止まったかと思った・・・!
「・・・アコ、少し休まないか?」
「え、だってまた来たばっかりだよ?」
確かに緊張してるけどまだ疲れてない。
そしたらシャンクスは目の前を指さして、
「あれが食いたい」
言った。
・・・・え?あの看板の?
「・・・・・あれ?」
シャンクスが指すそこには、
『大人気!ウサ子さんウサ男くんソフト!』
・・・・・可愛らしいウサギの耳がついたソフトクリーム。
あれ食べるの?シャンクスが?
「アルパカソフトもあるみてェだな」
「食べる!」
ちら、と移った視線に私も向ければ何とも可愛いアルパカさんソフトの写真と文字。
「アルパカソフト下さいっ!」
アルパカソフト楽しみだなあ、初めてだし。
シャンクスとウサ男君ソフトの組み合わせも楽しみだけど!
「ウサ男ソフト1つ」
「・・・・シャンクスが・・・・うさぎ」
注文してすぐに出てきたアルパカソフトと、
・・・・ウサ男君ソフト。
「美味そうだろ?」
爽やかに笑いかけてくるシャンクスに、こみあげてくる笑い。
・・・堪え切れなかった。
「・・・っていうか、可愛すぎ・・・あははっ」
空いてたベンチに座って、
「・・・これはいらないってことだな、アコ」
シャンクスの目が笑ってない顔に
「とってもよくお似合いです」
慌ててフォローした。だって美味しそうなんだもん、ウサ男君ソフトも。
それから自分のアルパカさんソフトに目をやって、
何処から食べてやろうか!と最初のポイントを探す。
口元のクッキーを取ってみたら既に何の動物かわかんなくなったけど、
せっかくなのでクッキーをぱくり。
何気なくシャンクスを見たら、
ウサ男君の耳を取って食べるとこで。
・・・・いたずら心が湧いた。
「痛いよー」
「ん?」
「僕を食べないでおくれよぅー耳を取らないでおくれよぅ」
ウサ男君(よく知らない)になりきってみた。
シャンクスは一瞬きょとん、とした後、にや、と笑った。
「じゃあ食わないでおくか。その代りアコを食わせてもらうぞ?」
そして空いてる方の手をそっと私の頬に当てる。
・・・・・っ!!
やられた・・・!!
「・・・・ごゆっくりお召し上がり下さい」
「アコを?」
「ち、ちがっ!!・・・・アイス」
うう、何でこうなっちゃうの!?
「俺より先にアルパカとキスしたのか、アコ」
『キス』の言葉に心臓が大きく動いた。
「・・・・・・・・・・っ、ごめん、てば」
・・・何でシャンクスは平然としてられるんだろう。
・・・・私もう泣きそう。
「・・・悪かった、いじめすぎたな」
「・・・・・・もうシャンクスとデートしない」
私だけがやられっぱなしなのが悔しくてせめてもの反撃。
「・・・・・っそれは・・・効くな」
これが想像以上に効いたようで。
・・・シャンクスの悲しそうな目が見えて、
「嘘・・・・する」
・・・前言撤回。
敵わないなあ、もう。
「・・・・嬉しいよ、アコ」
・・・・ま、いっか。
アイスも美味しかったし。
せっかくだから動物園、楽しもう。
「・・・美味しかった、アイス」
細かいことはその時に考えればいいよね!
・・・・・とはいえ、
手が繋がれてる以上はシャンクスを意識しない訳にはいかなくて。
まだ少し緊張してるけど。
でもやっぱり非日常である動物園は楽しい。
キリンのコーナーとか、
「これだけ首長いと首凝り大変そうだよね」
「マッサージ料金割り増しだな」
・・・現実的だね。
「さすがにライオンは迫力があるね・・・」
ライオンのコーナーとかを見て。
「見応えがあるなァ」
「あ、アルパカ!」
アルパカもしっかり堪能。
あー可愛いなーアルパカ。
君たちは何を考えて生きてるんだろうねえ。
なんて聞いてみたい。
「はあ・・・・」
思わず漏れたため息にシャンクスが、
「どうかしたか?」
・・・素早く反応。
「あ、なんでも」
「つまらねェか?」
「ううん、可愛い」
「疲れたら言ってくれよ」
「・・・うん、ありがと」
シャンクスのことは好きだし、
・・・想像しようとしても出来ないから、
してみるのもいいかもしれない。
キス。
そんなことを考えながら歩いてたら、サルが見えた。
「わ、小猿がいるー」
「ははっ、ホントだ」
あ、あの2匹毛づくろいしてる。
仲いいなー。
何気なくその2匹を見ていたら、
・・・・あ。キス、した。今。
・・・シャンクスは小猿を見てて、
今のは見てない。
どくんどくんと大きく動き始めた心臓。
・・・・・シャンクスとキスしたら、
何か変わるかもしれない。
変わらないかもしれないけど。
・・・・・もし、したら。
「お手洗いに行ってくるね」
さっきの場面が瞼の裏に張り付いて離れなくて、
ドキドキしたままトイレに。
ポーチから口紅を取り出して・・・・まだ、悩む。
あんまり待たせる訳にはいかないし・・・でも。
つけるなら今、だよね?
思い切って口紅を、引いた。
鏡で見て確認して。
・・・・・・・シャンクス気付くかな。
「お・・・お待たせ、しました」
「・・・・・アコ」
「・・・・・・え、っと」
シャンクスはすぐに気付いた様子で、
私の口元を見つめて目を丸くした。
「・・・・確認するが・・・つけてる、な?」
確認されると恥ずかしい・・・!
っていうかこれからするのかと思ったら一気に顔が熱くなって、
シャンクスの顔・・・見れなくて俯いた。
でも言うべきことはちゃんと言わないと!
「・・・・つけてる。でも・・あのね?シャンクスのこと好きかはまだわかんなくて」
だから本当はすごく失礼なことかもしれないけど、
「・・・けど、キス・・・してみたいって思った、から」
そう・・・思ったから。
「ここで・・・はダメだな」
シャンクスはすぐに私の手をとって、
トイレの裏まで急ぐ。
そして私を壁に押さえつけた。
・・・・逃げないのに。
「・・・いいんだな、アコ」
最後の確認、とばかりにシャンクスが尋ねる。
口に出すのも恥ずかしくてゆっくり頷くのが精いっぱい。
けれどすぐに顔が近づいて、
あっという間に唇が重なった。
あ・・・。
「・・・・・・・・甘い」
唇が離れてすぐシャンクスが嬉しそうに呟いた。
私は、といえば。
「・・・・よく、わかんなかった」
嫌じゃなかった、少なくとも。
ただ、何も変わらなかった・・・?
気がする。
「・・・じゃあ、もう1回」
何処か色っぽい表情でシャンクスの顔が近づいたので、
「やっ、あの、だいじょぶ!!」
慌てて手でガードしたら、
くくっ、と笑い声。そして、
「理由は何でもいい。したくなたったらいつでも言ってくれ」
「・・・・・うん」
手も繋ぐ、
キスもする。
・・・・それでも私たちは、恋人じゃない。
+そういう関係 終+