拝啓、取引様
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「ヤソップさーんおはようございますー」
「・・・・元気ねーな?」
「そんなことないですよー。・・・・はあ」
今日も元気に出勤してきましたよ。
・・・・色々問題はあるけど、負けない。
「言ってる側からため息かよ」
「すみません・・・」
「あー・・・ため息吐くとあれだ、幸せが逃げるぞ」
「もう手遅れです」
今の自分が不幸だとは思わないけど、
幸せだとも思えない。
「喧嘩でもしたか?」
「・・・・一歩的に喧嘩売って逃げてきちゃいました」
どう考えてもアレはそういう状況だった。
私が悪い。
・・・しかもそのせいで、
何も進まなかったどころか次の予定すら決めてない。
このまま終わったら、確実にうちの会社は潰れる。
・・・・せっかく再開出来たシャンクスとも、
このまま疎遠になっちゃう。
謝罪に行かなきゃいけないのはわかってるんだけど。
自分の気持ちがまだわからなくて、
もやもやしたままで。
こんな気持ちのまま行っても同じことの繰り返しになりそうで怖い。
「ま、若いうちは色々あるもんだ」
「他人事みたいに言わないで下さいよ・・・社運かけた企画なのに」
「会社よりお前ら若ェもんの未来の方が気になるんだよ、おっさんは」
「・・・・でも私、謝ってきます今日」
会社の為にも。
「謝りたくないなら別にいいぜ」
「え、でも」
「お前が嫌な思いをするだけの男なら無理する必要はねーよ」
「・・・ヤソップさぁぁん!」
ヤソップさんがカッコ良く見えて、
そんなヤソップさんの為にも頑張ろう!と決心した時、電話が鳴った。
「俺が出る」
出ようとしたらヤソップさんが出てくれたので、
私は別の部屋に向かって仕事の準備。
・・・・アポとっておいた方がいいかな。
や、でもそれだと会ってくれない可能性もあるし突撃した方がいいか。
何か謝罪のお菓子でも持って行った方がいいよね。
・・・・はあ。
考えながら準備を終えて戻ったら、ヤソップさんは電話を終えて鞄を持ってた。
「あれ、お出かけですか?」
「ああ、ちょっとな。お前俺が帰ってくるまで絶対出るなよ」
「え、はい」
少し不思議に思いながらも頷いて、
ヤソップさんを見送ってからパソコンの前に座った。
謝罪、お土産で検索でもしてみようかなあ。
あとは昨日考えたデザインを・・・・と。
うーん、これとこれを・・・この辺を。
考えてたら、コンコン。
ドアのノック音。
会社の人間はノックなんてしないで入ってくるから、
珍しいお客様。
まだ私とヤソップさんしか出勤してなくて、
ヤソップさん出かけちゃったし、
誰のお客様だろ。
「はいー」
ガチャ、とドアを開けて。
固まった。
見覚えのある、赤い髪。
いつもより少し生気がない瞳。
「・・・・しゃん、くす?どうしたの?」
シャンクスが、立っていた。
「さっき電話したんだが」
「え!?」
さっき・・・電話って、ヤソップさんしか居ない!
「邪魔・・・だったか?」
「あ、や、別に・・・」
電話してたんなら仕方ない。
悪いのはうち・・・というかヤソップさん1人だ。
「昨日のことを謝りに来た」
「へ?・・・・え、シャンクスが?」
思ってもみなかったシャンクスの来訪、
シャンクスからの謝罪の言葉。
間抜けな反応しか、出来なかった。
「調子に乗りすぎた、悪かった」
真面目な顔でそう言ってシャンクスは深く頭を下げた。
「ええええ!?ちょ、ちょっと待って!とりあえず頭あげて!お願いだから!!」
慌てて叫んで、
「ととととりあえずね、応接室あるから!こんな会社でも!」
行こう!?と半ば無理やりシャンクスを、
それはそれは狭い、
オーロジャクソン㈱の会議室の半分もない応接室へ連れてきた。
「ど・・・どうぞ」
シャンクスは私に促されて座って、
「アコ1人か?」
不思議そうに聞いてきた。
「あ、朝は私とヤソップさんだけで・・・他は皆午後出勤」
「ああ、さっきの電話の」
「ごめんね私、電話のこと聞いてなくて・・・驚いちゃって」
「・・・察するに妻子持ちだな」
「は」
「ヤソップって男」
「・・・・・何でわかるの!?」
ヤソップさんは病気がちな奥様とお子さんがいる。
シャンクスすごい・・・!
「わかるんだ、俺の敵になりそうなのは」
「敵?」
「安心した」
「安心?」
何が?と首をひねる私を見てシャンクスが苦笑した。
「いや、そんなこと言ってる場合じゃねェな。謝りに来たんだ、俺は」
「あ・・・・そんな、シャンクスが謝ることなんて」
「今更焦っちゃいねェはずなんだが・・・嬉しかったんだな、調子に乗っちまった」
悪かった、と言ってシャンクスは再び頭を下げた。
シャンクスは悪くないのに・・・。
こみあげてくる罪悪感。
「シャンクスは悪くない、私が勝手に失礼な態度とって出てきちゃって・・・私が謝らないと」
「俺がアコを傷つけたんだ、俺が1番悪ィ」
「返事待たせてる私が1番悪いよ!」
「・・・・頑固だなァ、相変わらず」
「・・・・シャンクスも」
困って笑ったらシャンクスも同じように笑った。
「アコ、これ」
「・・・・・何これ?」
「謝罪の品だ」
シャンクスから手渡された、小さな箱。
「開けていい?」
「ああ」
承諾を得て、開けてみた。
「・・・・口紅?」
ちょっと高そうな、可愛いデザインの口紅。
「許してくれるなら、今度のデートにそれをつけてきてくれないか?」
「・・・・可愛い」
こんな可愛い口紅、初めて。
「・・・・・・アコ?」
「私、だって悪いのに・・・」
「もらってくれ、頼む」
「うー・・・嬉しいけど、でも」
なかなか納得しない私に、シャンクスが提案をした。
「ならアコ、こうしよう」
「え?」
「今度のデートで・・・もしくは途中でもいい、アコがそれをつけてくれたら俺はキスをする」
「・・・・・・・・・・・・はひ!?」
「嫌ならつけなくていい。とにかくもらってくれ」
俺が持ってても仕方ねェしな、とシャンクスが笑った。
きっ・・・・キス・・・!!
「それと企画は続行で問題ねェな?」
「むしろお願いします!!」
「じゃあ明後日、いつもの時間で大丈夫か?」
「大丈夫・・・!」
待って待って、頭回ってないよ!?
明後日、明後日仕事!?
「よろしく頼む」
「こちらこそ!?」
「じゃあ俺はそろそろ社に戻るかな」
「あ・・・・・ありがと、シャンクス」
とにかく何か言わないと、と口から出てきた感謝の言葉。
これは本音だ。
だって本来なら私が行かなきゃいけないのに来てくれたんだから。
でも・・・でも、キス!
真っ白な頭でシャンクスを見送って。
・・・・キス、という言葉がぐるぐる回ってる。
とりあえずヤソップさんにはあとでガツンと言っておこうと思った。
+とりあえず 終+
「・・・・元気ねーな?」
「そんなことないですよー。・・・・はあ」
今日も元気に出勤してきましたよ。
・・・・色々問題はあるけど、負けない。
「言ってる側からため息かよ」
「すみません・・・」
「あー・・・ため息吐くとあれだ、幸せが逃げるぞ」
「もう手遅れです」
今の自分が不幸だとは思わないけど、
幸せだとも思えない。
「喧嘩でもしたか?」
「・・・・一歩的に喧嘩売って逃げてきちゃいました」
どう考えてもアレはそういう状況だった。
私が悪い。
・・・しかもそのせいで、
何も進まなかったどころか次の予定すら決めてない。
このまま終わったら、確実にうちの会社は潰れる。
・・・・せっかく再開出来たシャンクスとも、
このまま疎遠になっちゃう。
謝罪に行かなきゃいけないのはわかってるんだけど。
自分の気持ちがまだわからなくて、
もやもやしたままで。
こんな気持ちのまま行っても同じことの繰り返しになりそうで怖い。
「ま、若いうちは色々あるもんだ」
「他人事みたいに言わないで下さいよ・・・社運かけた企画なのに」
「会社よりお前ら若ェもんの未来の方が気になるんだよ、おっさんは」
「・・・・でも私、謝ってきます今日」
会社の為にも。
「謝りたくないなら別にいいぜ」
「え、でも」
「お前が嫌な思いをするだけの男なら無理する必要はねーよ」
「・・・ヤソップさぁぁん!」
ヤソップさんがカッコ良く見えて、
そんなヤソップさんの為にも頑張ろう!と決心した時、電話が鳴った。
「俺が出る」
出ようとしたらヤソップさんが出てくれたので、
私は別の部屋に向かって仕事の準備。
・・・・アポとっておいた方がいいかな。
や、でもそれだと会ってくれない可能性もあるし突撃した方がいいか。
何か謝罪のお菓子でも持って行った方がいいよね。
・・・・はあ。
考えながら準備を終えて戻ったら、ヤソップさんは電話を終えて鞄を持ってた。
「あれ、お出かけですか?」
「ああ、ちょっとな。お前俺が帰ってくるまで絶対出るなよ」
「え、はい」
少し不思議に思いながらも頷いて、
ヤソップさんを見送ってからパソコンの前に座った。
謝罪、お土産で検索でもしてみようかなあ。
あとは昨日考えたデザインを・・・・と。
うーん、これとこれを・・・この辺を。
考えてたら、コンコン。
ドアのノック音。
会社の人間はノックなんてしないで入ってくるから、
珍しいお客様。
まだ私とヤソップさんしか出勤してなくて、
ヤソップさん出かけちゃったし、
誰のお客様だろ。
「はいー」
ガチャ、とドアを開けて。
固まった。
見覚えのある、赤い髪。
いつもより少し生気がない瞳。
「・・・・しゃん、くす?どうしたの?」
シャンクスが、立っていた。
「さっき電話したんだが」
「え!?」
さっき・・・電話って、ヤソップさんしか居ない!
「邪魔・・・だったか?」
「あ、や、別に・・・」
電話してたんなら仕方ない。
悪いのはうち・・・というかヤソップさん1人だ。
「昨日のことを謝りに来た」
「へ?・・・・え、シャンクスが?」
思ってもみなかったシャンクスの来訪、
シャンクスからの謝罪の言葉。
間抜けな反応しか、出来なかった。
「調子に乗りすぎた、悪かった」
真面目な顔でそう言ってシャンクスは深く頭を下げた。
「ええええ!?ちょ、ちょっと待って!とりあえず頭あげて!お願いだから!!」
慌てて叫んで、
「ととととりあえずね、応接室あるから!こんな会社でも!」
行こう!?と半ば無理やりシャンクスを、
それはそれは狭い、
オーロジャクソン㈱の会議室の半分もない応接室へ連れてきた。
「ど・・・どうぞ」
シャンクスは私に促されて座って、
「アコ1人か?」
不思議そうに聞いてきた。
「あ、朝は私とヤソップさんだけで・・・他は皆午後出勤」
「ああ、さっきの電話の」
「ごめんね私、電話のこと聞いてなくて・・・驚いちゃって」
「・・・察するに妻子持ちだな」
「は」
「ヤソップって男」
「・・・・・何でわかるの!?」
ヤソップさんは病気がちな奥様とお子さんがいる。
シャンクスすごい・・・!
「わかるんだ、俺の敵になりそうなのは」
「敵?」
「安心した」
「安心?」
何が?と首をひねる私を見てシャンクスが苦笑した。
「いや、そんなこと言ってる場合じゃねェな。謝りに来たんだ、俺は」
「あ・・・・そんな、シャンクスが謝ることなんて」
「今更焦っちゃいねェはずなんだが・・・嬉しかったんだな、調子に乗っちまった」
悪かった、と言ってシャンクスは再び頭を下げた。
シャンクスは悪くないのに・・・。
こみあげてくる罪悪感。
「シャンクスは悪くない、私が勝手に失礼な態度とって出てきちゃって・・・私が謝らないと」
「俺がアコを傷つけたんだ、俺が1番悪ィ」
「返事待たせてる私が1番悪いよ!」
「・・・・頑固だなァ、相変わらず」
「・・・・シャンクスも」
困って笑ったらシャンクスも同じように笑った。
「アコ、これ」
「・・・・・何これ?」
「謝罪の品だ」
シャンクスから手渡された、小さな箱。
「開けていい?」
「ああ」
承諾を得て、開けてみた。
「・・・・口紅?」
ちょっと高そうな、可愛いデザインの口紅。
「許してくれるなら、今度のデートにそれをつけてきてくれないか?」
「・・・・可愛い」
こんな可愛い口紅、初めて。
「・・・・・・アコ?」
「私、だって悪いのに・・・」
「もらってくれ、頼む」
「うー・・・嬉しいけど、でも」
なかなか納得しない私に、シャンクスが提案をした。
「ならアコ、こうしよう」
「え?」
「今度のデートで・・・もしくは途中でもいい、アコがそれをつけてくれたら俺はキスをする」
「・・・・・・・・・・・・はひ!?」
「嫌ならつけなくていい。とにかくもらってくれ」
俺が持ってても仕方ねェしな、とシャンクスが笑った。
きっ・・・・キス・・・!!
「それと企画は続行で問題ねェな?」
「むしろお願いします!!」
「じゃあ明後日、いつもの時間で大丈夫か?」
「大丈夫・・・!」
待って待って、頭回ってないよ!?
明後日、明後日仕事!?
「よろしく頼む」
「こちらこそ!?」
「じゃあ俺はそろそろ社に戻るかな」
「あ・・・・・ありがと、シャンクス」
とにかく何か言わないと、と口から出てきた感謝の言葉。
これは本音だ。
だって本来なら私が行かなきゃいけないのに来てくれたんだから。
でも・・・でも、キス!
真っ白な頭でシャンクスを見送って。
・・・・キス、という言葉がぐるぐる回ってる。
とりあえずヤソップさんにはあとでガツンと言っておこうと思った。
+とりあえず 終+