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ちら、と時計を確認。
よし、今日は大丈夫。
まだ余裕ある。
そして改めて、鏡で確認。
化粧はばっちりしたし、
ワンピースも完璧。
・・・・この間のデートは酷かったし、
色々お世話になったこともあるから、ということで私から誘った。
海の見える公園デート。
「忘れ物なし、服ほつれなし、お弁当よし!」
2人分のお弁当は、ちょっと重い。
・・・・・一応、シャンクスの口に合うか試すってことで今日は私の作るお弁当がお昼ご飯。
シャンクスとデート、っていまだに不思議な感覚だけど。
2人で遊ぶって考えれば・・・・いいんだよね。
よし、行こう!
・・・・・・・って早めに来たのに。
「・・・・・・・・早いねシャンクス」
待ち合わせ場所にシャンクスはもう来てた。
「楽しみにしてたからな」
「・・・・お弁当?」
「も、あるが。アコから誘ってくれたデートだ」
「・・・・・・・・・あんまりプレッシャーかけないで下さいな」
「期待してるんだが」
「シャンクスくーん・・・」
にこにこと笑顔でプレッシャーかけてくるシャンクスに苦笑しか返せない。
「家庭科の成績悪くなかっただろ?」
「弁当作りはまた違うもんだよ・・・センスも必要だし」
「その点なら心配はしてねェよ」
「・・・・・さようで」
「何にせよいい天気で良かった」
「確かに。せっかくの海が雨だったら悲惨だもんねー」
お弁当食べるにもね。
そして、電車で数分の駅から徒歩5分。
海の見える、広い公園に到着。
「気持ちいいねえ」
いい天気だし、花も咲いてる為か人も多い。
売店もたくさん出てるし。
「観覧車もあるな。後で行ってみないか?」
「いいねえ観覧車ー」
「とりあえず散歩するか。・・・っと、その前に」
「あ、」
一瞬にして私が持っていた弁当入りの紙袋を奪い取るシャンクス。
「これ、弁当だろう?」
「そう、だけど・・・持つよ?」
シャンクスはしっかりと紙袋を握って離さない。
「俺の大事な弁当だ、俺が持つ」
まるで大好きなオモチャを買ってもらった子供のような顔のシャンクス、ちょっと可愛い。
「あはは、ありがと」
気楽に笑って歩き出そうとしたら、
「じゃあ、行くか」
「あ・・・・・・・うん」
いきなりシャンクスに手を取られて、一瞬固まった。
・・・・シャンクスと、手を繋ぐなんて。
昔は、想像したこともなかった。
心臓がどくんどくんと動き出して、
体に力が入ったのがわかった。
「・・・・アコ」
「ん、何?」
顔を向けたけど、シャンクスは私の方を見ないで、前を見据えたまま。
「嫌だったら、言ってくれ」
「・・・・・・・・・うん」
そんな風に言われたら、嫌とは言えない。
ただ2人黙ったまま、海辺を歩く。
「・・・・・アレだね、想像はしてたけどカップル多いね」
若いカップルから、それなりの年齢であろうカップルまで。
男女仲良さそうに歩いてる。
「俺達もそう見られてるだろうな」
「・・・・・・・・・・だね」
「で、どうだ?」
「へ?」
いきなり何かを聞かれて訳わからず首を捻る。
「俺と初めて手を繋いだ感想」
「・・・・手、おっきいね」
「男だからな」
・・・・・・いつかのシャンクスじゃないけど。
シャンクスが『男』で、
私が『女』だって。
意識させられる。
「つかみ取りとか有利だよね、手大きいとさ」
「必要なら呼んでくれ」
ぎゅ、と握られた手に力が入って、
一気に顔が熱くなった。
・・・・・何かこの間と違う。
この間はもっと、2人だけの同窓会みたいな感じで。
高校の頃に、戻ったようだった。
「・・・・・・・・・なんか、ドキドキしてきた」
「そりゃいい傾向だ」
「・・・・・・あ、トウモロコシの屋台」
何か恥ずかしくなって目を背けたらトウモロコシの屋台発見。
しかもいい匂い。
「食欲があるのはいいことだが、弁当まで我慢した方が良くないか?」
「じゃあお弁当の後にトウモロコシね。あ、クレープもある!」
「よく食うなァ」
「呆れた?」
「いや、俺も賛成だ」
にぃ、と唇を引き上げて笑うシャンクスはよく知った顔のはずなんだけど。
・・・・・・・・変な感じ。
「私・・・・シャンクスのこと好きなのかなあ」
思ったままを口にしたら、シャンクスは驚いた顔で私を見た。
「きっとそうだ、と言いたいとこだが・・・ゆっくり考えてくれりゃいいさ」
「・・・・優しいね」
「アコみたいなタイプは思い込みで好きだってなったら簡単な思い込みで嫌いになる可能性があるからな」
・・・・・私どんなタイプ?
「・・・・そ、そうかなあ」
「まあ、そのうちアコの方から好きだと言わせてみせる」
不敵な笑みを浮かべたシャンクスは何だかシャンクスらしくて少しだけ安心した。
「・・・・・・よろしく」
そんな話をしながら歩いて数分。
「あ、あそこにテーブルとイスある。ご飯にしよっか」
「飲み物買って来よう。お茶でいいか?」
「うん、ありがとー」
私がお弁当を広げてる間にシャンクスがお茶を買ってきてくれて、
「では・・・いただきます!」
「美味そうだな。いただきます」
おにぎり2個に、ウィンナーに卵焼き、ハンバーグ。
サラダもつけて。
私なりに頑張った。
「美味い。ハンバーグも手作りか」
「昨日の残りのお肉で作ったやつだけど、ね」
「俺の好きな味付けだ」
「そう?良かった」
ほっとしておにぎりに噛り付いたら、
「こんな飯なら毎日でも食いてェもんだ」
言いながらシャンクスの手が伸びてきて、
「え、」
私の頬からご飯粒をとって、ぺろりと食べた。
「うっわぁ、恥ずかしい!ごめんね・・・!」
「いや、最高に美味い」
情けないやら、恥ずかしいやら。
でもなんだかデートっぽくて、
この後どうなっちゃうんだろう、と色んな意味で心配になった。
+こんなはずでは 終+