拝啓、取引様
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「ヤソップさーん、これお願いしまーす」
「あいよー」
今日も今日とてまったりお仕事。
倒産寸前、とはいえまだお仕事あるし。
ヤソップさんにチェックしてもらう書類を渡して、
「私飲み物買ってきますーヤソップさん何かいります?」
「コーヒー無糖で」
「了解でーす」
外にある自販機で自分のお茶と、ヤソップさんのコーヒーを買って戻ったら、
「おーいいとこに。お前に電話だ」
「電話?何処です?」
「ヒーロー様から、だ」
ニヤ、と笑ったヤソップさんから電話を受け取って、
「・・・お電話かわりました、アコです」
『ああアコ、今大丈夫か?』
予想通りの声。
「うん、どうしたの?」
『今度の日曜、空いてるかと思ってな』
「日曜日?大丈夫だけど、何かトラブル?」
私のヒーロー。
オーロジャクソン㈱の重役社員、
シャンクス。
『いや・・・・』
「休日出勤出来るよ?」
『・・・・・俺が悪かった、仕事中にするべきじゃなかったな』
「・・・・・・・・・・何が?」
『デートの誘いだ』
「えっ・・・・・・あ・・・・・ご、ごめん」
予想外の言葉に思わず言葉に詰まった。
『デートじゃ嫌か?』
「いいいい行きます!」
『無理はしなくていいぞ?』
「ううん、行く・・・!よろしくお願いしますっ」
『じゃあ日曜日、駅前に10時でいいか?』
「了解です・・・!」
電話を置いたら、
「楽しんで来いよー」
・・・・・・・・・・ヤソップさんが楽しそうに笑った。
「そう出来たら、いいんですけどね・・・」
力なく答えて、
「あとで120円徴収しますからねヤソップさん」
「げ」
コーヒー代はしっかりもらうことにした。
「わああああごめんシャンクスぅぅ!!」
待ち合わせ当日。
私が待ち合わせの場所に着いた時間は、10時ギリギリ。
「何かあったのか?」
「なっ、何でもない・・・・!!」
息切れでものすごい大変な状態で、
髪はぼさぼさ、化粧はほぼなし。
・・・・・・・・・・・これが、
『デート』か。
いくらまだそういう関係じゃないとはいえちょっと申し訳なくなってきた。
シャンクスと『デート』っていうのも実感湧かなくて、
昨日さんざん着ていく服やらを悩みまくって、
挙句に眠れなくて。
朝、見事に寝坊。
そして慌てて飛び出てきたら携帯忘れて取りに帰って・・・・で、この始末。
「少し休むか?」
「ううん・・・・大丈夫・・・・!」
ぜーはーぜーはーと、息を整えながらシャンクスを見たら、
「あんまり歩くのも疲れるし、そこに喫茶店もある。行かないか?」
「・・・・・・・・・・私の為?」
「言っただろ?疲れるって」
「・・・・・・・・・・・あのさシャンクス、私達まだ若い部類に入ると思うんだけど」
絶対、私の為だと思う。
シャンクスは絶対にうんとは言わないけど。
「まあ、細かいことは気にするな」
軽く笑って、シャンクスが歩き出した。
「・・・・・・・有り難う」
駅前にあったその喫茶店に入って、
「あぁー・・・・・落ち着くぅ」
アイスティーで休憩。
「その声はとてもじゃないが若者の声じゃねェな、アコ」
「声はいいの、声は」
「だははっ、変わらねェなァ本当に」
・・・・・・・・そうだ、高校の時も仲が良かった。
こんな風に話したり、した。
でも、
「・・・・・・高校の時それなりに仲良かったけど、あの時シャンクスモテてたよね」
「あの頃から好きだったのはアコだけだったけどな」
「そうなの?」
「わからなかっただろ?」
「まったく」
「それなりにアプローチはしてたがな、あまり仲良くなりすぎないようにしてたんだ」
「え、何で?」
「あの頃のアコは恋愛に興味なかったみてェだし、下手に仲良くなったら親友、とか言われそうだったんでな」
「あー・・・・・・・・」
言うね。
確かにね。
「で、どうするか考えてるうちに卒業しちまったって訳だ」
「今私が結婚してたらどうしてたの?恋人居たりとか」
「・・・・さあ、どうしてただろうな。ただ焦ってはいたな、こうしてアコと再会するまでは」
「普通に連絡くれれば良かったのに。同窓会にも来ないし」
「普通の男のままじゃアコの恋人にはなれねェと思ったんだ」
「いや私普通の人で十分ですけど」
「でも印象は薄いだろ?」
「そんなもんかなぁ」
まあ確かに、再会した時シャンクスが大手の社員で驚いたけど。
「再会した時少しでもアコの印象に残るように必死だったんで、忙しかったからなァ」
「ふーん・・・・・」
シャンクスがそんなことを考えてたなんて全然知らなかった。
「ところで、初めて見たなアコの私服」
「私もシャンクスの私服初めて見たよー。いつもお互い制服かスーツだもんね」
「ああ、見られて良かった」
「・・・・・・・・・うん、私も新鮮」
結局私が着てきたのはシンプルなカットソーとこれまたシンプルなパンツ。
デートだからスカートにした方がいいのかなあとも思ったりしたけど、
いつもの私でいくことに決めた。
で、シャンクスは白いシャツにジーパン。
・・・・・・なんだけど、ところどころにセンスが光っててダサさくない。
「あ、そろそろ出る?」
「そうだな、行くか」
ガタン、と席を立ったらシャンクスが伝票を取った。
「あ、」
そしてそのまますんなりお会計してしまって。
「いくら!?」
「ここはいいさ」
「良くないさ!払う!いくら!?」
お財布に手を突っこんだまま私はシャンクスを睨みつけるけど、
「そんな顔されてもなァ・・・・」
困ったように笑うだけ。
「いいですか、お金は1円から大事。貸し借りしたら大変なことになるの!」
「任せろ、大変なことになったら俺が助けてやるさ」
「・・・・・・・・・・あのねェ」
誰のせいだと。
いや、まだなった訳じゃないけど。
「わかった!じゃあお昼ご飯は私が出すっ」
「・・・・・・単価が違わないか?」
「いいの。シャンクスには感謝してるし」
この間のネクタイは会社のお金だったし。
「・・・そうか、じゃあ素直に受けよう」
「よっし、任せて」
「その前に行きたいとこはないのか?」
「本屋!あと家電ショップ」
「了解」
シャンクスとデート、ってどんなもんだろうと思ってたけど。
元々仲は良かったし、
普通に話も弾んで、
楽しい1日だった。
+思わぬ日 終+