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「久しぶりの再会に、かんぱーい!」
「ああ、乾杯」
約束どおり8時に駅前で待ち合わせた私とシャンクスは、
私のおススメの焼き鳥の美味しい居酒屋に来ていた。
生ビール2つと焼き鳥の盛り合わせを注文して、
2人で乾杯。
「やー久しぶり過ぎてわかんなかったよシャンクス」
「俺はすぐにわかったけどな」
「私変わってない?」
「ああ、変わってない」
ぐさっと来た。
嬉しいやら悲しいやら。
「・・・シャンクスはちょっと大人になったよね」
見た目とか、雰囲気が。
昔はもっとヤンチャな感じだった。
・・・・・・と思う。
「そりゃあまあな。もう少ししたら独立もしようと考えてるとこだ」
「・・・・・・・・・・・すごいねえ」
あと1歩で路頭に迷うかもしれない私とは大違いだ。
「まあ、それには信頼できる仲間が必要なんだがな・・・・」
なかなかな、とシャンクスも大変らしい。
「でも私としては助かったよーシャンクスのおかげで首繋がったもん」
「アコじゃなかったらあの企画は断ってたさ」
「やるからには全力でやらせて頂きます!」
受け入れてくれたシャンクスの為にも。
「仕事の話はやめにしねェか、アコ」
「あ、ごめん」
それから到着したばかりの焼き鳥に手をつけた。
「ほォ、美味いな」
「ここは皮が美味しいんだよー」
「・・・・・いつも1人で来るのか?」
「ううん、友達と」
「・・・・・・・・そうか」
「美味しくない?」
「いや、美味い」
シャンクスはさっきから変わらない笑顔で焼き鳥を食べてる。
・・・・・・・・・なんだかそれが、営業スマイルのように見えた。
昔はこんな顔する人じゃなかったんだけどな。
仕事、大変なのかも。
なにか・・・元気が出そうな会話をせねば!
と、
「シャンクスは普段どんなとこでご飯食べてるの?」
・・・・・・思いついた結果、これ。
シャンクスは何気ない顔で、
「○○付近の△△って料亭知ってるか?」
「・・・・・・・・マジで?」
「あの辺はよく行く」
行くんだ・・・・!
△△料亭と言ったら結構有名なんだけど。
私なんか名前聞いただけでビビっちゃうんだけど。
「な・・・・・なんかごめんねこんなトコ誘っちゃって」
駅の高架下の、居酒屋。
しかも焼き鳥。
「謝ることはねェだろう?焼き鳥も好きだしな」
「気遣わなくていいよ・・・・ははは」
渇いた笑いしか出てこない。
シャンクスはそんな私を見て、
「どんなにいい料亭に行こうが、堅苦しい野郎相手じゃなァ」
と呟いた。
「恋人さん連れてけばいいのに」
ふと湧き出た疑問にシャンクスはむっとした顔を見せた。
「居ると思うか?」
「居ないの?・・・・あ、仕事忙しい?」
悪いこと言っちゃったな。
「・・・忙しいのもあるが、好きな奴が居るんだ」
「あ、そうなんだ。がっ頑張って」
じ、っと目を見つめられた。
・・・・・・お、怒ってる?
「・・・・アコは?」
「へ?」
「居ないのか、そういう奴」
「あ、恋人?居ない居ない、そんなの」
だって今の仕事続けるので精一杯だし。
「恋人どころか私の人生お先まっくらだし」
「ああ、アコの会社か。名前は聞かないが悪い噂も聞かないな」
「そうそう、結構いい会社なんだよ。でなきゃ続かないし」
「社員はどれくらい居るんだ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・10人」
「・・・・・・・・そうか」
「ご・・・・・ごめんね」
「まあ、そんな顔するな」
凹み続ける私にシャンクスが慌てた様子で、
「次、何飲む?」
メニュー表を見せてくれた。
「生3つ」
「・・・・・・・1人で飲む気か?」
「盛り合わせも追加で。・・・って言いたいとこだけど私あんまりお金持ってなかった」
更にずーん・・・・と気が重くなった。
空気も重くなった。
「俺が誘ったんだ、ここは俺が出すさ」
「いやいやいや!いいよ、大丈夫!お金降ろすし!」
「気にするな」
「・・・・・・・・・・重ね重ね申し訳ない。あ、じゃあレモンハイを」
「わかった」
それから何気ない話しをして、
焼き鳥もたくさん食べた。
2人だけの同窓会も、
「美味しかったー!」
「ああ、楽しかった」
終了の時間。
シャンクスが奢るって言ってくれたけど、
さすがに申し訳なかったので少し出させてもらった。
「アコ、明日は?」
「明日?午前に定例報告会議があって、午後からは空いてるけど」
「じゃあ明日午後に、打ち合わせでいいか?」
「大丈夫です!」
「・・・楽しみにしてる」
「ほんと有り難うね」
「いや。・・・・・・アコ」
「ん?」
「これからうちに来ないか?」
結構飲んだのに全然顔が赤くないシャンクスが言う。
「シャンクスの家?何で?」
単純な疑問を口にしてみれば、シャンクスは何故か困ったように笑った。
「いい歳した男が女を家に誘う時ってのはそういう関係になりたいからだと思うが?」
「そういう関係?」
どういう関係?
首を捻る私に、
「男と女の関係ってことだ」
さらりと言ってのけてくれちゃった、シャンクス。
「おとこ、とおんなの・・・・・・・・・・って」
・・・・・・・・・・・・えええ!?
「何が!?誰が!?何!?」
いいいいきなり過ぎて訳わかんない!
「わかったか?」
「しゃしゃしゃ・・・シャンクス、ってそうなの?」
「ああ、そうなんだ」
「すすす好きな人って」
「アコだ」
「初耳ですけど!?」
「初めて言ったな」
「・・・・・・・・・・・・・・そうだね」
初めて、聞いたね。
「・・・・・・・アコ?」
あれれ、大変なことを聞いたはずなのに全然ドキドキしてない。
でも何か大変なことになってるのはわかる。
よし。
とりあえず帰ろう。
帰って一回状況を整理してみよう。
そうしよう。
「こ・・・・このお話はいったん持ち帰りで!」
「ああ、わかった」
「明日は2時頃伺います!よろしいでしょうか!?」
「問題ない」
「よろしく御願いしますっ!では!」
失礼します!
言うだけ言って、私は一目散に店を出た。
急いで電車に乗り込んで、
深呼吸。
ちょっと待って、ちょっと待って。
・・・・・・・・ぜ、前途多難過ぎる!!
+お先真っ暗すぎる 終+