いざ、勝負
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祝いの宴。
・・・・・・・・・・さっきから周りの視線が気になる。
「お頭の何処が良かったんだ?アコ」
「っつーか今までくっついてなかったのが不思議だぜ。ずっと同じ部屋で寝てたのに。なぁ、アコ」
「これから夜は早く部屋に帰してやらねえとなあ、アコ」
ニヤニヤニヤニヤと。
それはもう、
「気持ち悪い!」
これに尽きる。
「照れんなって、アコ」
と、お酒を手にこちらもニコニコのシャンクス。
「シャンクスも気持ち悪い」
ったくどいつもこいつも。
「今日くらい許してやれよアコ。惚れた女がやっと自分のモンになったんだ」
「・・・・・何かむかつきますヤソップさん」
「これで俺も自由の身ってもんだしな」
「・・・・・・・・・自由の身?」
ヤソップさんの発言に首を傾げる。
「お頭、たまに帰ってこなかっただろ?」
「あ、はい」
言われて見ればシャンクスはたまに居ない時があった。
「俺の部屋に来てたんだよ」
「・・・・・・・・・・・何で?」
「そりゃお前、惚れた女と同室なんて、我慢ってもんがあるだろうよ」
「我慢?」
「今までお頭に襲われたことなかったろ?アコ。これもひとえに俺の犠牲のおかげなんだぞ」
なるほど、謎が解けた。
・・・・・・・・・でも何か複雑。
「・・・・・私もうシャンクスとは一緒に寝ないことにする」
「じゃあルフィの話はいいんだな?」
「うぐ!・・・・・それは、嫌」
シャンクスがニヤリと笑う。
痛いトコ突くなぁ。
「おいお頭、ルフィに勝ったんじゃなかったのか」
「・・・・・・・・・・・・・聞くな、ベン」
「しかし負けず嫌いのアコがよく負けを認めたな」
と、これはロンさん。
「・・・・・・・・・シャンクスの作ってくれたおじやが美味しかったから」
「ああ、お頭がニラと卵使わせてくれ、って言った時だな」
「料理人として美味しいものを不味いなんて絶対言いたくなかったんです。・・・悔しかったけど」
「まあ、アコはすぐ顔に出るけどな」
「・・・・あの時は不味いか?って不安そうだったじゃない」
「だっはっはっは!細かいことは気にすんなって!」
すこぶる上機嫌のシャンクス。
・・・・ホントにもう、この人は。
「シャンクスが浮気したら1ヶ月ご飯抜きってことでいいですか?ロンさん」
「いや、飯より酒抜きの方がいいんじゃないか」
「むしろ1ヶ月宴禁止とかもいいですね」
「・・・・・・・・・冗談だよな?ロン」
少しだけ青くなった顔でシャンクスがロンさんにゆっくり問い詰める。
「お頭が浮気しなきゃいいけだけですよ」
「俺がすると思うか?」
「とにかくアコは俺の可愛い娘ですからね、泣かしたらお頭でも容赦しませんよ」
「さっすが父さん、大好き」
「ちょっと待てアコ、俺には?」
「浮気するような人は知りません」
周りからどっと大きな笑い声が湧き上がって、
「だぁから俺は浮気なんかしねえ!」
大声で叫んだシャンクスが可愛くて、
私も笑った。
「楽しかった・・・けど、私やっぱり後片付け手伝いに行こう、かな」
お酒も食事も楽しんで、
眠くなってきたので片付けなきゃ、と言ったらロンさんが今日はいい、と言う。
ただでさえ今日は宴の主役なんだから、と料理もしなかったのに。
それでもロンさんの言葉に甘えてシャンクスと2人で部屋に戻ってきた。
でもやっぱり気になる訳で。
ぽつりと呟けば後ろから片腕で簡単に拘束されてしまった。
「却下」
「・・・・・・・・・・・でも」
「でも、じゃねえよ。こんな時くらい俺のことだけ考えてくれてもいいんじゃねえのかアコ」
その声音がいつになく真剣で、思わず口を噤んだ。
「それ、は」
「それに身体、まだ本調子じゃないだろ?」
シャンクスとしては私がシャンクスに好き、と伝えたその日に宴をしたかったみたいだけど、
私が風邪をひいていた為に3日後の今日になった。
「・・・・・・・・やっぱりシャンクス、むかつく」
隠してたのに。
うまく、隠せてたと思ってたのに。
「ははっそうか。じゃあ・・・こんなことしたら怒られちまうな」
そう言ってシャンクスは私の顔をシャンクスの方に向けさせて、
「ん・・・・・・・っ」
深い口付け。
角度を変えては何度も深くなる口づけに、身体の力が抜けていく。
「・・・・ん、はっ、もう!勝者の余裕?」
悔しい私は負け犬の遠吠え。
「余裕?そんなものないさ。・・・そもそもこの勝負だって俺の負けだよ」
「え、何で?」
「言っただろう?アコに一目惚れした、と。こういうのは最初に惚れた方の負けだ」
余裕がない、と言ったシャンクスの顔は、とても優しい笑顔だった。
「・・・・・・・・・じゃあ私のお願い聞いてくれる?」
私が勝ったら、シャンクスは私の言うことを何でも聞いてくれる、という約束だった。
「元々アコの願うことなら何でも叶えてやるつもりだったんだ。どんな願いなんだ?」
「これからもずっとシャンクスの隣で料理を作りたい。私は母さんみたいに離れて待ったりしたくないの」
じ、っとシャンクスの目を見つめれば、シャンクスは少しだけ呆れたように、ふ、と笑った。
「あのなアコ。何の為に俺が今まで苦労して口説いてきたと思ってんだ。離しやしねェよ」
「苦労したの?」
そうは見えなかったけど。
「そりゃアコがルフィルフィって・・・今でもそうか」
「・・・・だって可愛いんだもの。でもルフィ君への好きは、ただの好き」
「俺は?」
「シャンクスへの好きは、愛」
だからこの勝負、私の負けでもある。
結局2人とも負け、ってことになるのかな。
「アコの好みは変わったってことか?」
「変わってないけど?シャンクスが可愛いってことに気づいただけ」
「アコの方が可愛いって、知ってるか?」
シャンクスに可愛い、と言われる度に胸が締め付けられる。
「・・・・私、今まで可愛いって言われても嬉しくなかった。だって料理人だから。
美味しいって言われることの方がよっぽと嬉しかった」
「アコらしいな」
「でもシャンクスには、可愛いって言われるのも、美味しい、って言われるのも同じくらい嬉しい」
「・・・・・・・・・可愛いよ、アコ」
そう言って1本しかない腕で優しく撫でてくれるシャンクスに身体を預けた。
「明日も、明後日も、美味しいって言わせてみせるから」
「楽しみだな」
シャンクスの『可愛い』と、
『美味しい』
が聞きたくて。
私はずっとこの場所で、
シャンクスの隣で料理を作り続けることを、
ここに誓います。
+ご馳走様でした 終+
・・・・・・・・・・さっきから周りの視線が気になる。
「お頭の何処が良かったんだ?アコ」
「っつーか今までくっついてなかったのが不思議だぜ。ずっと同じ部屋で寝てたのに。なぁ、アコ」
「これから夜は早く部屋に帰してやらねえとなあ、アコ」
ニヤニヤニヤニヤと。
それはもう、
「気持ち悪い!」
これに尽きる。
「照れんなって、アコ」
と、お酒を手にこちらもニコニコのシャンクス。
「シャンクスも気持ち悪い」
ったくどいつもこいつも。
「今日くらい許してやれよアコ。惚れた女がやっと自分のモンになったんだ」
「・・・・・何かむかつきますヤソップさん」
「これで俺も自由の身ってもんだしな」
「・・・・・・・・・自由の身?」
ヤソップさんの発言に首を傾げる。
「お頭、たまに帰ってこなかっただろ?」
「あ、はい」
言われて見ればシャンクスはたまに居ない時があった。
「俺の部屋に来てたんだよ」
「・・・・・・・・・・・何で?」
「そりゃお前、惚れた女と同室なんて、我慢ってもんがあるだろうよ」
「我慢?」
「今までお頭に襲われたことなかったろ?アコ。これもひとえに俺の犠牲のおかげなんだぞ」
なるほど、謎が解けた。
・・・・・・・・・でも何か複雑。
「・・・・・私もうシャンクスとは一緒に寝ないことにする」
「じゃあルフィの話はいいんだな?」
「うぐ!・・・・・それは、嫌」
シャンクスがニヤリと笑う。
痛いトコ突くなぁ。
「おいお頭、ルフィに勝ったんじゃなかったのか」
「・・・・・・・・・・・・・聞くな、ベン」
「しかし負けず嫌いのアコがよく負けを認めたな」
と、これはロンさん。
「・・・・・・・・・シャンクスの作ってくれたおじやが美味しかったから」
「ああ、お頭がニラと卵使わせてくれ、って言った時だな」
「料理人として美味しいものを不味いなんて絶対言いたくなかったんです。・・・悔しかったけど」
「まあ、アコはすぐ顔に出るけどな」
「・・・・あの時は不味いか?って不安そうだったじゃない」
「だっはっはっは!細かいことは気にすんなって!」
すこぶる上機嫌のシャンクス。
・・・・ホントにもう、この人は。
「シャンクスが浮気したら1ヶ月ご飯抜きってことでいいですか?ロンさん」
「いや、飯より酒抜きの方がいいんじゃないか」
「むしろ1ヶ月宴禁止とかもいいですね」
「・・・・・・・・・冗談だよな?ロン」
少しだけ青くなった顔でシャンクスがロンさんにゆっくり問い詰める。
「お頭が浮気しなきゃいいけだけですよ」
「俺がすると思うか?」
「とにかくアコは俺の可愛い娘ですからね、泣かしたらお頭でも容赦しませんよ」
「さっすが父さん、大好き」
「ちょっと待てアコ、俺には?」
「浮気するような人は知りません」
周りからどっと大きな笑い声が湧き上がって、
「だぁから俺は浮気なんかしねえ!」
大声で叫んだシャンクスが可愛くて、
私も笑った。
「楽しかった・・・けど、私やっぱり後片付け手伝いに行こう、かな」
お酒も食事も楽しんで、
眠くなってきたので片付けなきゃ、と言ったらロンさんが今日はいい、と言う。
ただでさえ今日は宴の主役なんだから、と料理もしなかったのに。
それでもロンさんの言葉に甘えてシャンクスと2人で部屋に戻ってきた。
でもやっぱり気になる訳で。
ぽつりと呟けば後ろから片腕で簡単に拘束されてしまった。
「却下」
「・・・・・・・・・・・でも」
「でも、じゃねえよ。こんな時くらい俺のことだけ考えてくれてもいいんじゃねえのかアコ」
その声音がいつになく真剣で、思わず口を噤んだ。
「それ、は」
「それに身体、まだ本調子じゃないだろ?」
シャンクスとしては私がシャンクスに好き、と伝えたその日に宴をしたかったみたいだけど、
私が風邪をひいていた為に3日後の今日になった。
「・・・・・・・・やっぱりシャンクス、むかつく」
隠してたのに。
うまく、隠せてたと思ってたのに。
「ははっそうか。じゃあ・・・こんなことしたら怒られちまうな」
そう言ってシャンクスは私の顔をシャンクスの方に向けさせて、
「ん・・・・・・・っ」
深い口付け。
角度を変えては何度も深くなる口づけに、身体の力が抜けていく。
「・・・・ん、はっ、もう!勝者の余裕?」
悔しい私は負け犬の遠吠え。
「余裕?そんなものないさ。・・・そもそもこの勝負だって俺の負けだよ」
「え、何で?」
「言っただろう?アコに一目惚れした、と。こういうのは最初に惚れた方の負けだ」
余裕がない、と言ったシャンクスの顔は、とても優しい笑顔だった。
「・・・・・・・・・じゃあ私のお願い聞いてくれる?」
私が勝ったら、シャンクスは私の言うことを何でも聞いてくれる、という約束だった。
「元々アコの願うことなら何でも叶えてやるつもりだったんだ。どんな願いなんだ?」
「これからもずっとシャンクスの隣で料理を作りたい。私は母さんみたいに離れて待ったりしたくないの」
じ、っとシャンクスの目を見つめれば、シャンクスは少しだけ呆れたように、ふ、と笑った。
「あのなアコ。何の為に俺が今まで苦労して口説いてきたと思ってんだ。離しやしねェよ」
「苦労したの?」
そうは見えなかったけど。
「そりゃアコがルフィルフィって・・・今でもそうか」
「・・・・だって可愛いんだもの。でもルフィ君への好きは、ただの好き」
「俺は?」
「シャンクスへの好きは、愛」
だからこの勝負、私の負けでもある。
結局2人とも負け、ってことになるのかな。
「アコの好みは変わったってことか?」
「変わってないけど?シャンクスが可愛いってことに気づいただけ」
「アコの方が可愛いって、知ってるか?」
シャンクスに可愛い、と言われる度に胸が締め付けられる。
「・・・・私、今まで可愛いって言われても嬉しくなかった。だって料理人だから。
美味しいって言われることの方がよっぽと嬉しかった」
「アコらしいな」
「でもシャンクスには、可愛いって言われるのも、美味しい、って言われるのも同じくらい嬉しい」
「・・・・・・・・・可愛いよ、アコ」
そう言って1本しかない腕で優しく撫でてくれるシャンクスに身体を預けた。
「明日も、明後日も、美味しいって言わせてみせるから」
「楽しみだな」
シャンクスの『可愛い』と、
『美味しい』
が聞きたくて。
私はずっとこの場所で、
シャンクスの隣で料理を作り続けることを、
ここに誓います。
+ご馳走様でした 終+