いざ、勝負
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「風邪だ」
「・・・・・・・でしょうね」
船医さんから告げられた言葉は、予想通りだった。
あれから急いでお風呂に入らせてもらって、シャンクスとは話さずに1晩眠った。
起きて身体がだるかったのでロンさんに伝えれば今日は休んでいい、と言われたので、
そのまま船医さんのところへ。
まあ、風邪だろうなとは思ったけど。
「あったかくして休んでれば、まあ3日もあれば治る」
「・・・・はぁい」
3日も大人しくしてなきゃいけないのか、と思うものの、身体は重い。
頭も少し痛いし、寒い。
これで咳なんて出てこようもんなら料理なんて絶対出来ない。
そんなの嫌だし、仕方なく大人しくすることにする。
部屋に戻れば、シャンクスが待っていた。
「風邪か?」
「・・・・そうみたいです」
「すまんな、守ってやれなくて」
気まずそうに苦笑するシャンクスにまた泣きそうになる。
・・・・・・シャンクスはちゃんと守ってくれた。
「いえ、そんなこと。・・・・ていうか、シャンクスは大丈夫なんですか?」
「何がだ?」
「風邪。シャンクスも一緒に水かぶったのに」
私だけ風邪ひくなんて。
「あれくらいで風邪ひくような身体じゃねえさ」
「・・・・・・・・・・・・何かずるい」
「おいおい」
「あ、でも」
・・・・・・・・・・・・・・気づいた。
「ん、何だ?」
不思議そうに首を傾げるシャンクスの目をじっと見つめた。
「・・・・・・・・・・わかりました。私が今までシャンクスのこと避けてた理由」
そう答えると、シャンクスは興味深そうに笑った。
「ほう?」
「悔しかったんです、私」
「悔しかった?って何が」
「・・・あの時、私目を逸らしたでしょう?今まで目逸らしたことなんてなかったのに」
逸らしてしまったことが。
悔しかったんだ、と気づいた。
「・・・・・・・・・・・・・俺はそれだけで避けられてたのか」
「・・・・・すみません。自分でもこんなに負けず嫌いだとは思ってませんでした」
確かにそれで避けてたのは申し訳なかった、かも。
でも私は今、避けていたもう1つの理由にも気づいてしまった。
「もう避けないでくれよ?結構凹んだんだ、これでも」
「・・・・・・・・・・・はい」
「それで、食欲はありそうか?飯まだだろう?」
「・・・・うーん」
ない訳じゃないけど、がっつり食べるのは難しそうだ。
「食いたいモンあるか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・にらたまおじや」
「わかった。持ってくるから、それまで大人しく寝てろよ?」
「有難う、御座います」
私の頭をぽんぽん、と優しく叩いてから出て行くシャンクスの後姿を見送って、私はベッドに横になった。
数分後、にら玉おじやのいい匂いと共にシャンクスが戻ってきた。
「起きれそうか?アコ」
「・・・・はい、有難う御座います」
重い身体を起こして、持って来てくれたおじやを見て私は首を傾げた。
「・・・・・・・・・・・・・これ、ロンさんが?」
失礼ながら、あまり見た目がよろしくない。
そう思いながらシャンクスを見れば、
「いや、俺が作った」
「シャンクスが!?」
「アコにはいつも美味い飯作ってもらってるし、こんな時くらいはと思ってな。味見はしたから安心しろ」
・・・・・最後まで抗おうと思ってたのに。
「頂きます」
熱々のおじやを掬って、口に入れた。
心にまで染みる、優しい味。
懐かしくて、愛おしくなる。
これはもう、諦めるしかないのかも。
私はおじやを飲み込んで、はあ、とため息を吐いた。
「・・・・不味いか?」
それを見たシャンクスが心配そうに私の顔を見た。
「美味しい。すごく」
「そうか!良かった」
「でも」
「・・・・・でも?」
この味は、
この味が、
「敗北の味、なのかな」
「敗北の味?」
けれどこれなら、悪くない。
「こんなの食べさせられたら、シャンクスのこと好きって認めるしかないじゃない」
そう答えれば、シャンクスは二ィ、と笑った。
「それは・・・俺の勝ち、ってことか?」
「すーっごく悔しいけど」
「よし、今日は宴だな!」
勝ち誇ったその笑みが余計に腹立たしい。
「料理人として、シャンクスの作った料理に落とされるなんて悔しすぎる」
「アコらしいっちゃらしいと思うがな」
「私これからずっとシャンクスの側に居る。そして、もっとずっと美味しい料理作る」
「ああ」
「・・・・・・・・ずっと、シャンクスに美味しいって言ってもらえるように」
シャンクスの、
『美味い」が聞きたいから。
「あ、でもルフィ君にも会いたい気持ちは変わらないから」
「はァ!?」
驚くシャンクスに私はにっこり微笑む。
「この船にずっと居ればいつかはルフィ君に会えるのよね?シャンクスの側にはずっと居るけど、ルフィ君にも会うの楽しみ」
「・・・・・・・・・ちょっと待てアコ」
「なーに?」
「俺は勝ったのか?」
複雑な顔のシャンクスがおかしくて、笑った。
「・・・・さあ?」
シャンクスのことが好きだ、と。
認めたくなかったんだ、私。
認めるのが悔しくて、怖かった。
だからシャンクスを避けていたんだと気づいた。
・・・・・あの時にはもう、手遅れだったんだ。
・・・・・・・悔しいけど、
私はシャンクスのことが、
好き、だ。
+あ、わかった 終+
「・・・・・・・でしょうね」
船医さんから告げられた言葉は、予想通りだった。
あれから急いでお風呂に入らせてもらって、シャンクスとは話さずに1晩眠った。
起きて身体がだるかったのでロンさんに伝えれば今日は休んでいい、と言われたので、
そのまま船医さんのところへ。
まあ、風邪だろうなとは思ったけど。
「あったかくして休んでれば、まあ3日もあれば治る」
「・・・・はぁい」
3日も大人しくしてなきゃいけないのか、と思うものの、身体は重い。
頭も少し痛いし、寒い。
これで咳なんて出てこようもんなら料理なんて絶対出来ない。
そんなの嫌だし、仕方なく大人しくすることにする。
部屋に戻れば、シャンクスが待っていた。
「風邪か?」
「・・・・そうみたいです」
「すまんな、守ってやれなくて」
気まずそうに苦笑するシャンクスにまた泣きそうになる。
・・・・・・シャンクスはちゃんと守ってくれた。
「いえ、そんなこと。・・・・ていうか、シャンクスは大丈夫なんですか?」
「何がだ?」
「風邪。シャンクスも一緒に水かぶったのに」
私だけ風邪ひくなんて。
「あれくらいで風邪ひくような身体じゃねえさ」
「・・・・・・・・・・・・何かずるい」
「おいおい」
「あ、でも」
・・・・・・・・・・・・・・気づいた。
「ん、何だ?」
不思議そうに首を傾げるシャンクスの目をじっと見つめた。
「・・・・・・・・・・わかりました。私が今までシャンクスのこと避けてた理由」
そう答えると、シャンクスは興味深そうに笑った。
「ほう?」
「悔しかったんです、私」
「悔しかった?って何が」
「・・・あの時、私目を逸らしたでしょう?今まで目逸らしたことなんてなかったのに」
逸らしてしまったことが。
悔しかったんだ、と気づいた。
「・・・・・・・・・・・・・俺はそれだけで避けられてたのか」
「・・・・・すみません。自分でもこんなに負けず嫌いだとは思ってませんでした」
確かにそれで避けてたのは申し訳なかった、かも。
でも私は今、避けていたもう1つの理由にも気づいてしまった。
「もう避けないでくれよ?結構凹んだんだ、これでも」
「・・・・・・・・・・・はい」
「それで、食欲はありそうか?飯まだだろう?」
「・・・・うーん」
ない訳じゃないけど、がっつり食べるのは難しそうだ。
「食いたいモンあるか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・にらたまおじや」
「わかった。持ってくるから、それまで大人しく寝てろよ?」
「有難う、御座います」
私の頭をぽんぽん、と優しく叩いてから出て行くシャンクスの後姿を見送って、私はベッドに横になった。
数分後、にら玉おじやのいい匂いと共にシャンクスが戻ってきた。
「起きれそうか?アコ」
「・・・・はい、有難う御座います」
重い身体を起こして、持って来てくれたおじやを見て私は首を傾げた。
「・・・・・・・・・・・・・これ、ロンさんが?」
失礼ながら、あまり見た目がよろしくない。
そう思いながらシャンクスを見れば、
「いや、俺が作った」
「シャンクスが!?」
「アコにはいつも美味い飯作ってもらってるし、こんな時くらいはと思ってな。味見はしたから安心しろ」
・・・・・最後まで抗おうと思ってたのに。
「頂きます」
熱々のおじやを掬って、口に入れた。
心にまで染みる、優しい味。
懐かしくて、愛おしくなる。
これはもう、諦めるしかないのかも。
私はおじやを飲み込んで、はあ、とため息を吐いた。
「・・・・不味いか?」
それを見たシャンクスが心配そうに私の顔を見た。
「美味しい。すごく」
「そうか!良かった」
「でも」
「・・・・・でも?」
この味は、
この味が、
「敗北の味、なのかな」
「敗北の味?」
けれどこれなら、悪くない。
「こんなの食べさせられたら、シャンクスのこと好きって認めるしかないじゃない」
そう答えれば、シャンクスは二ィ、と笑った。
「それは・・・俺の勝ち、ってことか?」
「すーっごく悔しいけど」
「よし、今日は宴だな!」
勝ち誇ったその笑みが余計に腹立たしい。
「料理人として、シャンクスの作った料理に落とされるなんて悔しすぎる」
「アコらしいっちゃらしいと思うがな」
「私これからずっとシャンクスの側に居る。そして、もっとずっと美味しい料理作る」
「ああ」
「・・・・・・・・ずっと、シャンクスに美味しいって言ってもらえるように」
シャンクスの、
『美味い」が聞きたいから。
「あ、でもルフィ君にも会いたい気持ちは変わらないから」
「はァ!?」
驚くシャンクスに私はにっこり微笑む。
「この船にずっと居ればいつかはルフィ君に会えるのよね?シャンクスの側にはずっと居るけど、ルフィ君にも会うの楽しみ」
「・・・・・・・・・ちょっと待てアコ」
「なーに?」
「俺は勝ったのか?」
複雑な顔のシャンクスがおかしくて、笑った。
「・・・・さあ?」
シャンクスのことが好きだ、と。
認めたくなかったんだ、私。
認めるのが悔しくて、怖かった。
だからシャンクスを避けていたんだと気づいた。
・・・・・あの時にはもう、手遅れだったんだ。
・・・・・・・悔しいけど、
私はシャンクスのことが、
好き、だ。
+あ、わかった 終+