いざ、勝負
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「アコ、悪いんだが明日島に着いたら買出し行ってもらえるか?」
「あ、はい」
「まだ当番じゃないんだけどな、買うモンが少ないんだ。メモは渡しとくから、頼む」
ロンさんからメモを受け取って、今度は絶対に忘れないようにしなきゃ、と思った。
「次の島は香水で有名な島らしいから、お頭に買ってもらったらどうだ?」
「駄目ですよ、ロンさん。料理人にそんなこと言っちゃ」
「おっと、そうだったな」
化粧も香水も料理人にとってはご法度だ。
「まあ、楽しんで来いってことさ」
「・・・・・はーい」
「え、っと、これで最後ですね」
渡されたメモを見ながら買い物。
「よし、じゃあ行くか」
「はい?」
メモに書かれたすべての食材を購入して、
買い忘れがないかメモを見直している私にあっさりと言い切ったシャンクス。
行くか、って。
何処に行くつもりなのこの人。
「何処に行くんですか?」
「買い物はもう終わっただろう?ならすることは1つだ」
「・・・・何かありましたっけ?」
「決まってるだろう?デート、だ」
・・・・・いや、そんなドヤ顔で言われても。
「ここは香水が有名だってのは聞いてるが、アコにゃやれねェしなぁ」
シャンクスの行くままついて行けば、なるほど観光街らしい。
「お気遣いなく。あ、でも桃の香り、いいですね」
いろんな匂いが鼻をくすぐる。
けれどよく見てみればハンカチや小物なども見えた。
へえ、雑貨屋さんもあるんだ、とちょっとだけ興味をそそられる。
「香りつきのハンドクリームなんかどうだ?手ェ荒れてるだろ」
「・・・もっと駄目ですよ。手は食材に直に触れるんですから」
「それもそうか。残念だな」
デートということでシャンクスは何か買ってくれるつもりみたいだけど、
「ルフィ君の話聞かせてくれるだけで十分ですよ、私は」
それだけで本当に嬉しくて、幸せ。
けれどシャンクスは納得出来ない様子で、
「前から思っていたんだが、アコ」
「・・・はい?」
「ルフィへの想いは恋なのか?」
「・・・・・・・・ズバリ、ですね」
ていうか、今それを聞きますか。
「正直に言えばよくわかりません。でも手配書の笑顔を見て幸せな気持ちになれて」
この笑顔をもっと見ていたいと思った。
「ああ好きだなって、会いたいって思ったんです。その気持ちは今でも変わってないです」
「・・・・・そうか」
シャンクスは何を考えているのかわからない笑顔を浮かべて低くそれだけ呟いた。
何を考えてるのかしら、と探るように横顔を見つめてみるけどまったくわかりそうにない。
途端、ぽつ、と冷たい何かが頭に当たった。
「・・・・・あ、雨」
何事かと見上げてみれば予想に違わず雨。
「こりゃ降ってくるな。何処かで雨宿りするか」
「・・・・ですね」
ぽつりぽつりと増えだした水滴に慌てて目の前にあったお店に入った。
「通り雨だろう。すぐやむ」
「わ、このお店可愛い小物いっぱいですね。見てもいいですか?時間つぶしにもなるし」
たまたま入ったその店は、
化粧品にアクセサリー、文具小物に調理器具まで揃ってる雑貨店。
「ああ、勿論だ」
シャンクスの了承を得て店の中を物色。
「あ、この醤油さし可愛いっ」
自然と目につくのは調理器具のコーナー。
「この入れ物砂糖と塩入れるのに良くないですか?あ、これもいいっ」
普通に部屋に置く小物入れにするのもいいなーなんて思いながらシャンクスを見れば、優しい視線とぶつかった。
「・・・・・しゃん、くす?」
「ああ、すまん。アコが可愛いんで見惚れてた」
「・・・・・褒めても何も出ないですよ?」
可愛い、と言ってもらえるのは嬉しいけど。
「思ったから口にしただけだ、気にするな」
「・・・・・・・・有難う御座います」
「しかしアコは化粧品やアクセサリーには目もくれなかったな」
「必要ないですもん。化粧品なんてつけられないですし」
「つけようと思ったことはないのか?」
「今のとこないですね。それで料理が出来ないならしなくていいです」
「はは、アコらしいな。アクセサリーなんかはどうなんだ?」
「それこそ料理する時邪魔ですから。それより今あの菜箸気になってて!」
目の前にある菜箸はデザインもさることながら手触りもいいし使いやすそう。
「あ、でもこっちも気になる!」
「何なら全部買えばいい」
「・・・・・私そんなにお金持ってないです」
「俺が出す」
さらりと言ってのけるシャンクスに、そういえばこの人偉い人なんだった、と思い出す。
「でも、悪いです」
「好きな女に喜んでもらえるなら安いもんだ」
未だに慣れない、こういう台詞には。
それでも、
「・・・じゃあ、お願いします。せっかくのデート、ですもんね」
ロンさんに楽しんで来い、とも言われたし。
シャンクスがデート、って言ってくれるなら、たまには女の子になってみたいと思ったから。
素直になってそう言えば、
頭に大きな手が乗せられた。
そして、優しく撫でられた。
「・・・・可愛いな、アコ」
「可愛く・・・なりたいです」
「もう十分可愛い」
シャンクスの『可愛い』が胸に響いて、
「・・・・・・・・・あの時、私に求婚してた、あいつ」
「ああ、アコが大根で殴った奴らの」
「私に言ったんです。料理馬鹿の可愛くもない君に求婚してやってるのに、って。でもその通りだと思います」
だって料理が本当に好きだから。
顔だって中の下くらいだと思うし、可愛いとは思ってない。
「・・・・だから私、可愛いって言われても簡単には信じられないですけど」
「けど、何だ?」
「けど、シャンクスにそう言われるのは嬉しいです」
可愛い、に胸が高鳴った。
・・・・どうしよう、
こんなにも、
嬉しい。
+嬉しい、デート 終+